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2004.11.03

「新・明暗」(二兎社)・・・予習は半分!

11月3日(水・祝) 14:00~ 於・世田谷パブリックシアター
♪作・演出/永井愛
♪キャスト/佐々木蔵之介(津田)、山本郁子(お延、清子)、木野花(吉川夫人ほか)、下総源太朗(小林ほか)、小山萌子(継子、秀子ほか)、鴨川てんし、中村方隆、土屋良太

「漱石未完の絶筆・現代劇版 待望の再演」(チラシより)ということなので、この機会に未読だった「明暗」を読んでから劇場に行こう、と思っていたのに、時間切れ。半分近くまでは読めたんだけど。まあ永井愛・作のお芝居なんだからいいか、と切り替えも早い私。

ロビーに入ると、いつものように永井愛さんの著書などが売られていたが、そのほかに「新・明暗まんじゅう」と「新・明暗」ラベル(出演者のサイン入り)の日本酒もあって、おぉっ!だった。日本酒は京都の「佐々木酒造」製、ということは、佐々木蔵之介さんの実家なの? 勿論、日本酒1本購入。あ、非戦Tシャツと地震の募金箱もアリ。

芝居は、まず診察室のシーンから。いきなり「やっぱり穴が腸まで続いているんでした」という、漱石「明暗」と同じ始まりに、おや!と思う。設定は現代(津田は商社マンだし、津田父は官僚からゼネコンに天下り、延子の父がハム会社。オペラを見に行くなどの設定)だけれど、ストーリー的にはかなり原作に忠実なんだな、と、半分の予習ながらよくわかり、がぜん先が楽しみになった。
最初のうち、舞台装置:津田は同じ場所にいるのに、その内側のターンテーブル(?要するに床がぐるりと回転する)に乗って、ベンチ(病院の待合室)やダイニングセット(津田のマンション)等が現れて、場面転換される、が目まぐるしくてちょっとなじめない感もあった。しかしこの多用は最初だけで、つまり人間関係などの説明の意味もあったようだ。後にこのターンテーブルはうまく使われてる、という感覚に変わった。また舞台自体、シンプルなセットながら、2階部分と1階部分が同じ建物としてではなくストーリーの重層的な場面を担うことになっており、その点が視覚的にも面白かった。

主演の佐々木蔵之介を見るのはこれが初めて。やっぱり痔瘻病みの役ではあってもカッコイイ(笑)。でも一番感心したのは木野花かなあ。貫禄たっぷりの吉川夫人は、デフォルメされてるんだけどイヤミじゃないし、もう一役の温泉宿の客では、ガラッと雰囲気が変わってなお達者。やはりこういう役者の巧さによって芝居は決まるんじゃないか、と改めて思う。そして、永井愛作品ではお馴染みの小山萌子も、ウブな継子としっかりものの秀子を面白く演じ分けていた。
その後のトークでも話題になった、一人世界の違う小林(ドストエフスキー的世界の住人)については、「ブルジョワ」などの台詞にちょっと違和感もあったのだが、後半の、あたかも津田の「心象風景」「影」のような現れ方がなんだか重く(褒め言葉)、今も残っている。・・・「津田、俺は寂しいよ!!」
あ、ブルジョワという語もちょっと、だったけど、「お延」はどうしても延子じゃだめだったのかなあ・・・。

♪終演後、20分ほどの休憩の後、ポストトーク。夏目房之介さんと永井愛さんに、聞き手は藤本由香里さん。永井愛さんが、高校時代はともかく(授業で読んでとてもつまらなかったとか)、大人になってから「面白がって」この「明暗」を読んだことがよく伝わってきた。読んでいる最中の私は、さて、そんなに面白がっては読んでないんじゃないか。水村美苗「續・明暗」についても触れられていたが、「明暗」読了の暁には、これも読みたいものである。

休憩込みの上演時間3時間少々という長さを少しも感じさせない面白さだった。ポストトークが終わると6時20分くらい。満足感いっぱいで世田谷線に飛び乗った。

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