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2005.08.24

追悼・倉橋由美子

kurahashi  買いそびれていた「偏愛文学館」(倉橋由美子)をやっと入手。ある時期、まさに倉橋由美子の描く世界を偏愛していたのである。とはいえ、昔からの読者というわけではなくて、きっかけは「大人のための残酷童話」。小さいひとに「童話」を読む生活の中で、‘きれいでやさしいおはなし’にウンザリしていた私は、甘美な毒にやられてしまったのだ。ただし偏愛したのは、残酷童話以外では桂子さんを中心とする幽玄の世界の話で、どれもこれも好き、という読者ではなかった。

 彼女の死後に刊行されたこの本の帯には「37篇、39冊の偏愛書評集」とある。古今東西、彼女の好きな本が並んでいるので、漱石や鴎外あり、宮部みゆきに杉浦日向子、蘇東坡にカミュにJ・アーチャー、エトセトラ。

 目次を見ていて目を奪われたのは、「海市」(福永武彦)が入っていること。だって倉橋由美子を偏愛する前の10年あまりは、福永を偏愛していて、中でも「海市」がベスト1だったのだから。彼の小説ではそれほど話題になったとは思えない「海市」の何を、倉橋さんは偏愛するのか・・・と、読んでみると、その昔、私がノックアウトされたのは、こういうことだったのかもしれない、と妙に当時の記憶が甦ってくるようだった。

 ここで取り上げられている本は、どれもこれも読みたくなってしまう。彼女がこう読んでいるから、ということではなくて、単純にへえぇ、と興味をかきたてられるのである。いやその前に、秋の夜長には絶対「交歓」あたりを再読、だな。

 ところで、少し前の朝日新聞の書評欄(夏休み・拡大版)で、豊崎由美が、「偏愛文学館」と「海市」を真っ先に挙げていて、私はしんそこ驚いたのだった。うーむ、トヨザキ社長と私には、何ら共通点がないと思っていたのに。

 

 

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