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2006.05.18

「息子」は「父」を踏み越えて~MYTH

5月17日(水) 「MYTH(ミス)」 19:00~ 於・青山円形劇場

構成・演出/鈴木勝秀 出演/佐藤アツヒロ篠井英介陰山泰中山祐一朗

 演舞場からコーヒーショップや本屋さんで時間調整ののち、表参道へ。雨の中、まったく物好きなことで・・・(歌舞伎が飛び入りのスケジュール)。このお芝居は、内容も何も知らないまま、篠井さん出演で、鈴木さんの演出だから、と決めたもの。

 刀による「親殺し」を見たあとの奇妙な符合と言おうか、こちらはある意味では「精神的な親殺し」なのかもしれない。自分の中で、親を殺して(言葉は悪いけど)、踏み越えて進んでいく、通過儀礼のような。そういえば、前回、この円形劇場で見たのも、鈴勝さんによる「胎内」という、見方によっては「再生」の話だったのだ。

 幼い頃に離別した父が亡くなって、アールデコの家と家財が残されたという知らせを受けた息子が、弁護士と、友人とともにその家を訪れるところから物語は始まる。彼らとの会話を通して、父とのほんとに希薄な関係が語られるのだけれど、父の幽霊が現れて・・・。

 だいたい篠井さんがちゃんと男の役である。しかも父親!だけど幽霊!! と言っても決してドタバタじゃあないし、笑いはあるけど喜劇でもない。息子(佐藤アツヒロ)と友人(中山祐一朗)が、方や全身白ずくめ、方や黒(どちらもカジュアル)。身長も2人は同じくらいだな、でもこの対照的な服装は?と思っていたら・・・。

 たぶん長い間の「父の不在」で、乗り越えられなかった「父」というものに、決着をつけて進んでいく、ということなんだろうけど、手法が斬新だし、よく練られたストーリーだと思う。

 だいたい、父と息子、母と娘の関係は、複雑なんだと思う。まぁ親というのは、いろんな思いをして子どもを育ててきた挙げ句、その子どもに踏みつけられて、先を行かれてしまうんじゃなかろうか。そんな「精神的決別」は一瞬で、仲の良さは表面的には変わらないとしても、たぶん中身は違ってる。な~んて、色々考えることの多い、1時間半なのでした。

 帰りにはつい、渋谷駅前で我が家の近くまで来るバスに乗ってしまい、エンエン1時間もボンヤリ座っていたので、しばし空想に耽る(?)貴重な時間になった。

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