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2006.06.18

明日は桜桃忌

6月18日(日) 「第七回 太宰を聴く〜太宰治朗読会〜」 14:00〜 於・三鷹市芸術文化センター 星のホール

(三鷹市長挨拶、第22回太宰賞受賞者インタビュー)朗読:長塚京三「帰去来」「故郷

毎年、桜桃忌のころに行われる朗読会。気になりながらも足を運ぶまでには至らなかった。大杉漣さん(去年)、田口トモロヲさん(一昨年)…と読み手も多彩。
で、今年長塚さんで腰を上げたというのもどうかと思うけど、ま、根っからのミーハーってことで。

ところで、私は長年、太宰は苦手と避けてきた。そもそも中学校の図書室でまず出合ったのが、彼の評伝めいたものだったからいけない。なァにこの人、許せない!と13歳くらいの私は思ったわけ。
そのままずっと来てしまい…そのくせ、家族旅行に厳寒の斜陽館を訪ねるなんて酔狂もやってるのが、我ながらわからないところだけど。
そして三鷹の地は凖地元と言ってもいいから、何かと太宰は身近だったりする。だいたい、彼の遺体が上がった場所は息子が通った高校の正門前だし。
いまは水量も少なくて、とても溺れたりはできないけど、昔はどんなだったのかしら、と学校へ行くたびに思っていた。

さて、長塚さん。まずはなんと着流しスタイルでご登場。「三鷹文士のイメージで。…でも、安い噺家みたい」なんておっしゃりながら、帰去来を読まれた。最初ずいぶん早口?と思ったけど、すぐに慣れて、ソフトな語りの向こうに三鷹や津軽の風景が思い浮かぶのだった。
休憩の後、おっとびっくり白のジャケット姿にお召し替えでなんとなくリラックス、かな。両方の作品に呉服屋のナカバタさんと洋服屋のキタさんが登場して、何くれとなく「私」の面倒を見てくれるのだが、後半はキタさんの感じだそう。
聞きながら、やっぱり主人公を「しっかりしろよ」「困った人」なんて思ってしまう私がいる。

読み終えてから、少し長塚さんのお喋りがあって、これも楽しかった。「何が悲しくて朗読なんてのを引き受けたのかといえば」、やっぱり俳優としての自分の勉強になるから。
でも、太宰の今日の作品は(会場で1対200で一度に聞くなど)多くの人と共有するように書かれたものじゃなく、あくまで1対1のもの。バルザックを比較に出されたけど、私小説とはそういうものだろう、と。
ゆえに、文章を一部割愛したところもあるし、句読点を3/10くらい、自分で変えたのだそう。そして、弱い人と言われる太宰だけど、すごく強靭さを感じるとも。

梅雨の午後、いろんなイメージが広がる豊かな時間を過ごせて、ほんわか幸せってところかな。こんな企画を1500円で見せてくれる三鷹はエライ。
終演後、ロビーで筑摩の松田さんをお見掛けしたのは、太宰賞だからだね。外は呆れるほどの大雨だったけど、あっという間に帰宅できるし、これからも三鷹と仲良くしようっと。

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