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2007.01.10

「ロープ」2007

1月10日(水) 「野田地図 ロープ」(2回目) 19:00~ 於・シアターコクーン

 前回見たのはわずか2週間前とはいえ、12月の終わりだったので、今日はタイトルに2007と付けてみた。3階の横っちょから見たのとは違って、1階2列めという前すぎる席(しかもまた下手側)で、極端から極端へ、という感じではある。

 でも、近いのはもちろんいいことが多いわけで、いろんな状況がよくわかり、そして迫力もたっぷり。リング内のプロレスシーンよりも、ケーブルテレビの3人の迫力が特に。(以下、ネタばれ!)

 前回見えてなかったのは・・・勿論、俳優さんたちの細かい表情。という意味で、AD(三宅弘城)の「視聴率を上げることがすべて、そのためには何でも許される」と考えるようになる、ある種の狂気と、おちゃらかちゃんだった筈のカメレオン(橋本じゅん)が、戦場で「殺される前に皆殺しに」という極限の狂気にとらわれている姿は、忘れられない。

 そして、たった4時間で滅んだミライ(ソンミ村)のシーンでは、逃げまどう村民ばかりではなかったことも、初めて見えた。マスクをし笠をかぶった人たち(顔がないから簡単に殺せる、と、劇中ですでに言われている)の中に、座って普通の生活を営んでいるらしい動き(食事)をするカタマリがある。それは、その日、失われたもの・・・。

 そうそう、プロレスラーの動きが客席から見えやすいように、リングは水平じゃなくてナナメだったんだね。で、プロレスシーンは、不思議なことに3階から見てた時の方が、すごっ!という感じ。近いとなんだかグレイト今川(宇梶剛士)の哀しさにより接近してしまうみたいで。

 あとは、やはり宮沢りえがいいなぁ、と。ミライを実況するときの、徹底的に「観客」(この芝居のではなくて、虐殺の)の興味を惹くような喋りから、子どもを産み落として息絶える女の言葉(感情)へ--しっかり伝わったと言っておきたい。彼女の「コロボックル」の発音って、意識してなのかどうか、ちょっと不思議なのは前も思ったことだった。コロボッルのが、k-oが3割くらい混じったような発音。

 そしてラストシーン。リングの下にまた引きこもったタマシイ(宮沢)に差し入れられた食事トレイが戻される。それまでにも何度もあった動きだけど、最後はゆっくり、なのだ。(思い出した。入国管理官に手錠をかけられるんだけど、外した時に手首が赤くなってた。それで細さも目に焼き付いちゃった)

 前回のハプニングについては書いたけど、やはりそれによって散漫になる部分があったのだとは思う。何度も出てくる「ユダヤ人の社長」という言葉も、わかってはいてもその度にギョッとしてしまう(言葉狩りの弊害?)。最終的に「ユダヤ人であるわけがない」。じゃあ、なぜそう簡単に信じていたのか。

 語られるのはベトナムだけど、それを知らないうちはイラクをイメージしてしまう今の私たち。でも、考えてみれば、「もはや戦後ではない」時期に生まれて、最初に「戦争」というものを意識したのは、ベトナム戦争だったのである(という意味で、作者と同世代だなあと思ったわけで)。あの時は、たんに遠い所の出来事だったけど、世紀が変わって、同じ遠い所の戦争でも常に「観客」でいるのだと、改めて思う。

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コメント

わたしは、2階席だったので、やっぱり表情などは全く見えなかったのがとっても口惜しいです。
宮沢りえ、ほんとによかったですね!

投稿: ポンジュース | 2007.01.22 22:47

ポンジュースさま
まあ、たまには近くから見る、って幸せなこともないとね(ほんとに、コクーンではたま~にですが)。
宮沢りえの「軽やかさ」みたいなものが、すごく気に入ってて、しばらく彼女の舞台は見るぞ!と思ってます。

投稿: きびだんご | 2007.01.23 00:11

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