« タンゴちゃん、さようなら。 | トップページ | 長谷部浩さん »

2007.05.13

なんという巡り合わせ

5月13日(日) 「死のバリエーション」 14:00~ 於・シアタートラム

作/ヨン・フォッセ 翻訳/長島確 演出・照明/アントワーヌ・コーベ 出演/高橋恵子(年をとった女)、長塚京三(年をとった男)、伊勢佳世(若い女)、瀬川亮(若い男)、杵鞭麻衣(娘)、笠木誠(友達)

 今日ほど、お芝居を見るということが、自分自身と深く結びついていると感じたことはなかった。友人の突然の死に直面し、昨日お通夜に参列したばかりで、「死のバリエーション」を見ることになろうとは。

 なんだって、今日、「死のバリエーション」なんだろう。そればかり考えて席に座っていた。いざ開演、となり、全ての照明が落ちた瞬間、ああ! 亡くなったタンゴさんから、以前このトラムで上演された芝居にコメントを貰った、それはやはりアントワーヌ・コーベの演出だった!!(永井愛作品)と、思い出したのだった。そんなわけで、彼女と一緒に見ているようなつもりにもなりながら・・・。

 ストーリーを書きづらい作品である。別れて暮らしている二人の、娘が亡くなったという知らせをもって女がやってくる。そこから、彼らの若い頃の情景(お腹に娘がいる)、娘が生まれてからの二人、別れることになる二人、そして娘、ふしぎな「友達」。次々に場面が変わる。だけど、年老いた二人は、常に舞台の上にいる。

 「友達」の存在がすっごく曲者。なんなの、なんなの?と思っていたけれど、だんだん腑に落ちてくる。年とった男女、若い男女が遠景に退いて、娘と「友達」がくっきり浮かぶ。あっという間の100分で、濃密というよりも、ふわふわと漂うような時間だった。

 若い男女と、年とった男女の造形が、うまく連続している気がした。たとえば瀬川亮の頼りなさと、二度離婚して新たな恋人がいる長塚京三、あるいはヒステリックに夫に向かう伊勢佳世と冷たい声の高橋恵子。でも難しいのは「友達」の笠木誠だよね~。日本のお芝居ではなかなか存在しない役柄だから。

 この「友達」と、台詞の語り口が、好き嫌いの別れるところかもしれない。私も、う~と思いつつ台詞を聞いていたけれど、独特のリズムを生んでいたんだな、と、後から気づいたのだった(苦笑)。いろんな「引っかかり」を感じさせることで、最後まで油断ならない舞台、という感じ。ラスト、日本人ならもっと余韻を持たせるかも。

 ポストトークがある日、ということで、今日にしたはずだけれど(トークはアントワーヌ・コーベさん)、一人で考えたりしたくなって、トークは聞かず。

|

« タンゴちゃん、さようなら。 | トップページ | 長谷部浩さん »

演劇」カテゴリの記事

コメント

なるほど。
金曜日に見る予定なんです~

投稿: 猫並 | 2007.05.15 22:29

猫並さま
お楽しみに・・・と言っておきます。
上では高橋恵子の声が「冷たい」と書いたけど
ちょっと表現不足。いろんなことをくぐり抜けて
きただろうということを感じさせる声、
ということで、「若い女」との連続性が納得できました。

投稿: きびだんご | 2007.05.16 01:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« タンゴちゃん、さようなら。 | トップページ | 長谷部浩さん »