« 円朝の夏、日本の夏 その一 | トップページ | 上野のお山へ♪シュラシュシュシュ~ »

2007.07.11

初ポツドールは、「ナマ」でした

7月10日(火) 「人間 失格 太宰治をモチーフにした演劇 第4回」 19:30~ 於・三鷹市芸術文化センター星のホール

脚本・演出/三浦大輔 出演/米村亮太朗、古澤裕介、岩瀬亮、白神美央、深谷由梨香

 今月の観劇予定を書いた時に、敵前逃亡しかねない、なんて弱気になってしまってましたが、ちゃんと逃げ出さずに見てきましたよ~。これ、たとえば下北沢あたりでの上演だったら逃亡してたかも。地の利、ではあるなあ。演劇の趣味が微妙に私とずれている(笑。時々は重なるから面白い)ケイジ氏が、麻薬のようにはまっている劇団なので、ちょっとどんなものか見てみたい、という好奇心がまず第一。それに加えて、太宰であり、三鷹であり、という要素も加わったのだった。でも、過激みたいなのよねぇ、ポツドールって。きゃー。

 主人公は、アルバイトもやめちゃって何をするでもなく怠惰にすごしているイサム。何かというとお金を振り込んでくれる甘い母がいる。のっけ、朝っぱらからテレクラ(と思う)への電話。ここがまずエグかったです。ちょっと下を向いてた。でも、それはまだ甘かったと後で気づく。その電話利用料の詐欺にあったりするんだけど、とにかく、イサムってその場しのぎの、甘ちゃんで、しっかりしろよぉ・・・なのに、ほんとにいそうなのだ。隣の席の人がこうでも全く不思議じゃない。等身大という言葉じゃ綺麗すぎるというか、「まんま、ナマの人」なのだ。

 テレクラ電話料の件から、美人局みたいな取り立てさんが来たり、別の友人がお金を返せと言ってきたり、ダメダメなまま進んじゃう。あ、途中で元カノが置いていった「人間失格」を読むんでした。で、「死ぬ」とか、その元カノに電話で言って、いいようにあしらわれてみたり。なんだか出口のない一日が終わった?

 と思いきや、ここから急展開。お芝居に欠かせないものとして携帯電話(かなりの部分が通話シーン)とずっと映ってるテレビがあるんだけど、「あれっ、さっきと同じテレビ画面?」と思ったところから、同じ話が全く別の方向に行く。つまり、途中から2つに分かれるストーリーの両方を見せた、ということ。ぐだぐだ受け身言い逃れのAパターンと、豹変ブチギレ人間Bパターンで、いや~、これにはやられちゃったなあ。後の展開では、Aではすれ違いだったテレクラの子と友人が顔を合わせることになり、レイプと取り立ての男の殺害(を暗示)が。これが(舞台は暗いけど)、舞台の上のことじゃなくて本当みたいな臨場感。「ナマ」な感じなのだ。

 ちょっとの違い(友人が来るのが早いAか遅いBか)で、無気力イイカゲンな男が、暴力的になる。友人だって、さっきは常識があるぽかったのに・・・。そういう「こわさ」、なんでスイッチが入ったの?がものすごくリアルに迫ってくる。しかもありそうだから、よけいに。

 私が「ナマ」と捉えたのは、生々しいという「ナマ」もあるけど、舞台の上の人の「ナマ」のありようが、その「ナマ」なまま、こっちに届いてる、みたいな感覚を持ったから。というか、理屈粉砕。ゲゲゲと正視できないんだけど、いたたまれなくはない、というのかなあ。確かに「中毒患者」を生むだけのことはある。でも、これはまだおとなしかったんですかねぇ?

|

« 円朝の夏、日本の夏 その一 | トップページ | 上野のお山へ♪シュラシュシュシュ~ »

演劇」カテゴリの記事

コメント

きびだんごさん、
ポツドール『人間失格』を観て、次回公演もまた、観に行きたくなりましたか?

ポツドールに登場する人物は、私の友人関係にはいないけれど、「いるだろうなあ、たしかに、こういう人」という人種ばかりが出てきます。そういう人達の言葉遣いや性格を覗き見している感覚が、ついつい麻薬効果のようになって、私はまた足を運んでしまうのです。喬太郎の落語にときどき出てくる現代の若者をよりリアルにした人物たちとでもいうんでしょうか?

12月は女性スタッフが中心になる公演『女の果て』が赤坂で上演されます。前回の『女のみち』は女性特有のドロドロした性格的いやらしさを描いた作品でした。こういうのに興味がありましたら、是非とも足をお運びください。

三浦大輔、作・演出の本公演は来年4月本多劇場。下北沢なので敵前逃亡の可能性もありそうですが、よかったら、また観に行ってください。『人間失格』は、ややおとなしかったですが、なあに、他の作品も大して変わりません(笑)。

投稿: ケイジ | 2007.07.12 08:08

ケイジさま
>次回公演もまた、観に行きたくなりましたか?
と正面切って聞かれると、ムニャムニャという感じですが。
面白かった、という表現は違うと思うけど、うまく言葉になりません。性的な暴力表現なんかも、たぶん必然性があるんだと思うし。でも、ちょっとツライ・・・。
でもねー、「女性の」「ドロドロした性格的いやらしさ」というあたりは、ものすごく苦手な部類なんですよ。「キッパリ」行っとくれ、みたいな(笑)。
様子を見つつ、また、行くような気が・・・します。

投稿: きびだんご | 2007.07.13 00:07

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 円朝の夏、日本の夏 その一 | トップページ | 上野のお山へ♪シュラシュシュシュ~ »