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2007.12.14

国立能楽堂特別企画公演・その1(狂言)

12月13日(木) 「国立能楽堂特別企画公演 新作狂言と復曲能」 18:30~ 於・国立能楽堂

「新作狂言 夢てふものは作/帆足正規 演出/茂山千之丞 出演/千之丞(黍団子売り)、忠三郎(吉備真備)、あきら(夢合せ・船頭)、野村小三郎(太郎の君)、良暢(下道真備)--休憩-- 「復曲能 実方シテ(藤原実方の霊)大槻文蔵、ワキ(西行法師)宝生閑、アイ(里人)野村万作、笛松田弘之、小鼓大倉源次郎、大鼓亀井忠雄、太鼓金春惣右衛門ほか

 企画公演でとても珍しい能と狂言を、それぞれ1曲ずつ。狂言はこれが全くの初演で、宇治拾遺物語に材を取ったもの。そして能「実方」は1993年に観世榮夫師により復曲公演がなされ、今回の再演にも意欲を示しておられたとのこと。それが叶わず、梅若六郎(12日)と大槻文蔵(13日)の両師が、志を継いでシテを勤める。「波瀾の人生を駆け抜けた先輩に捧げる鎮魂歌でもある」(プログラム・西野春雄)

 そして、新作狂言で備中国・国司の世継ぎ(太郎の君)を明るく演じた野村小三郎さんの父・又三郎師は昨日、亡くなられたそう・・・。

 まずは新作狂言の感想を、以下に。

 私がこの公演を見に行ったのは、とにもかくにも狂言の「黍団子売り」「吉備真備」「下道(しもつみち)」などというキーワードによる。そらぁ、「きびだんご」としては放っておけないでしょう。吉備真備の墓には、実家から頑張れば自転車で行けるくらいで、小さい時から馴染みのある人物だしね。しかし、能楽堂で上演時間の予定を見て、まずビックリ。狂言が50分もある!

 「夢てふものは」は橋掛りから登場した2人(小三郎・良暢)が、すぐさまコックリコックリ始めるところから。あ、名乗らないんだ、と。そしてそこへ作り物の船(というか船枠)が運ばれて2人は夢の中で船に乗っている、という次第。嵐でずいぶん揺れたりする様子もおかしい。実は夢を占ってもらいに来た太郎は、とても出世するという占いも嬉しくない。なぜなら、中国までの船旅もイヤだし、これ以上勉強するのだってまっぴらだから。というわけで、家来の真備がその夢を買うことに。

 ここまでが前半。船頭と吉備津神社の神官を演じた茂山あきらさんが、船を漕いでるときにちょっと台詞があやしかったりしたのが、いかにも新作狂言。で、2人は切戸から引っ込んで、数十年後。夢を買って留学した真備は出世して都で勤めているが、吉備津神社へお参りにくる。暢気な黍団子売りもいる。実はこの黍団子売りこそ、かつて夢を売った太郎!! かつてと立場が逆転してる。

 となると、なんとなく「夢を売ったことを後悔する太郎」というのをイメージするんだけど、決してそうはならないところが、まさに狂言!ということかな。むしろ、吉備真備の方が、仕事は大変だしウツウツと面白くない日々を過ごしていると、泣き言を言う(「心の病」だなと黍団子売り)。その解決策(?)として神官が「乞食になったら」と。黍団子売りも話を合わせる。それはカンベンカンベン・・・。

 前半から後半へ、キャラクターがきちんと受け継がれている点がわかりやすさにもつながっている気がする。太郎の君→黍団子売りは、出世よりも日々の安穏。家来だった真備→右大臣の真備は、上昇志向なんだけど行き詰まって、と。だけども、最後がちょっとあっけないというか物足りないというか。長かったわりに、あらこれで終わり?と思ったことは否めない。言葉はわかりやすいし、面白い企画だとは思うので、もうちょっと濃縮されるといいんじゃないかなー??

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コメント

なるほどなるほど、魅力的な公演でしたね~
国立の歌舞伎を先に入れてしまい、仕事量の関係でコレは諦めねばなりませんでしたが、肝心の歌舞伎があれだとちょっと悲しい、いやうんと悲しいです(T_T)
亀井忠雄さんの大鼓だけだって聞きたいくらい。
難しい組み合わせだけども、役者が代わってもいいから再演しないかなぁ。

投稿: 猫並 | 2007.12.14 21:21

猫並さま
残念でした~。
>肝心の歌舞伎があれだとちょっと悲しい、いやうんと悲しいです(T_T)
その気持ちはよーくわかります! 再演してほしいですね。お能の感想は別項に書きますが、亀井さんの大鼓だけでなく、金春さんの太鼓もやたらカッコよく、笛もこんなにずっと聞いてたことない、というくらいでしたよ。裂帛、という言葉が浮かびました。

投稿: きびだんご | 2007.12.14 22:08

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