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2008.01.30

「新・雨月物語」と茶道の空気感

1月29日(火) 「新・雨月物語」(ポストトークつき) 19:00~ 於・世田谷パブリックシアター

演劇集団 THE・ガジラ 20周年記念公演・第3弾

脚本・構成・演出/鐘下辰男(川口松太郎原作「雨月物語」より) 出演/山本亨(源十郎)、月影瞳(宮木・葛城)、北村有起哉(藤兵衛)、森山栄治(侍・侍従・従者)、若松武史(月雲・侍大将)、石村みか(阿濱)ほか

 うむむ、THE・ガジラの作品では頭を抱えるかもしれない(いやだというのではなくて、自分がそれに立ち向かえるか)、という気持ちと、北村さん出演を秤にかければ、それはもう圧倒的に北村さんを見たいというのが勝つわけで。ポストトークにもきっとご出演よね、と勝手に決めて(当たってましたが)、行ってきた。

 しかし、ロビーのあたりはなんとなく寂しい雰囲気。観客は、ガジラのファンが圧倒的多数なのでしょうかね、若い演劇好きが多いみたい。でも、空席もけっこうあって、ポストトークの日にこれでは平日は?と、ちょっと心配してしまった。

 席につくとすでに蝉の鳴き声が流れていて、「国盗人」の記憶がよみがえってくる。そういえば、結局のところ舞台装置もめちゃくちゃシンプルで、目付柱か、というのも後半出てきたんだけれど、むしろ茶室のイメージだったのかしらん。

 で、開演前のアナウンスが終わるとすぐに、上手奥から笠をかぶった一人の侍が出てきて下手にむかってゆっくり歩き始める。正面に向き直って身繕いをして前に歩み・・・着座する。その間、物音が何一つしない。音楽も台詞もなく客電もそのまま。これ、時間はどのくらいだったのだろう。当然ながらすごく緊張感を強いられ、それが切れそうだけれどももちこたえる、不思議な時間。そこへ片足の悪い男が出てきて、曼珠沙華の球根を煎じたものを振る舞う・・・。このあたりでは客席は暗くなってたけど。これがまあプロローグ。

 太閤秀吉が天下を取っていた時代の、「山の民」の世界が一方にある。北村さん演じる藤兵衛はこの世界の住人で、やっぱりエネルギッシュ(というか粗野というか)な役どころ。義兄で陶工の源十郎(山本亨)は、そんな藤兵衛に引きずられるように、暮らしの立ちゆかない山を捨てる。兄の妻は山に残り、妹は同行するのだが・・・。

 山中で襲われ、助けられた兄弟だが、そこは「化生」の世界。1000年もの間、家の復興を夢見ていた者たちが住む(と、後でわかる)。ここで「土蜘」という言葉が出てきて、あらまあ。

 きわめてシンプルな舞台の上で進行する、幻のような、とらえきれない世界。舞台の中央、前よりに、穴があって、そこに火が燃え、窯となり、またあやしの者たちが出入りする。ストーリーに全部ついていけなくても、感じ取ればいい類ではないかな、と、勝手に想像する。台詞の応酬ですべてわかることの対極にあるような感じ。秀吉がお茶に熱中していたことは劇中でも語られ、また「器つくり」であることなど、そういえばプロローグのあたりからずっと、茶道を意識した作りだったのかもしれない、と、これも後から思い至る。

 そういう静かな舞台(多くの場面は)であったために、月影さんが台詞をややとちった2カ所が目立ってしまったのと、「化生」の世界ではあれエコーの使いすぎでは、と思った部分もあった。あ、*pnish*の森山さんは、いかにも若い女の子のファンがつきそうな感じでしたねー。袴姿のお点前を見てみたいくらいだ。若松さんはどうしたってあやしすぎるし。というキャストも面白かった。 

(ポストトークは別エントリーにて)

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