« むさしのシリーズ? 本日は吉祥寺 | トップページ | 狂言の中の妻たち »

2008.02.29

「家の子」はツライよ

 1月の半ばころだったのだろうか、NHKの土曜スタジオパークに「ちりとてちん」の小草若と四草が出ていた。たまたま、見るともなく見ていたら、小草若=茂山宗彦さんが「家の子はツライんです」みたいなことを言っていた。役の上での、「立派な草若師匠の実の息子」小草若を語っていたときだが、それは茂山宗彦としての言葉でもあった。(後に、平日のスタジオパークにも、今度は一人で出演されて、幼い頃の修業のことなども語っていた)

 たまたま同じ時期に見ていたのが、3年も前にNHKで放映された「鼓の家」。見逃したのがずっと気にかかっていたのだが、友だちの「DVDに焼いて送ってあげますよ」という有り難いお言葉に甘えて、何度も繰り返し見たところだった。こちらは亀井&田中家の3兄弟の話(と、さかのぼって父と娘の「二人鼓」の時代)。

 もっと前に見た、野村万作家の「狂言三代の初舞台」も、同じく。

 単に言葉として「伝統芸能」なんて軽く言うんだけど、「伝統」を継承する「家」というものの前に、ははぁーっとひれ伏してしまいたくなるような、圧倒的な迫力を感じるとともに、「大変だよね~」とあっけらかんと言ってみたくもなる。そう言ったとしても、彼らは全てを飲み込んで何事もなかったかのように飄々と、そこに存在し演じているのだろう。

 ついつい「平凡な家の子」で幸せ、なんて思っちゃうけど、年端もいかないころから「伝統」の中で鍛えられると(しかも実の親から)、そりゃ顔つきも違ってくるだろう。「何事かをなす」ことの前に広がる、巨大な空間を思うと、私もまた新たな気持ちで舞台を見なければ、なんて殊勝なことを思ってしまう(が、単なるミーハーは不変なのだ)。

|

« むさしのシリーズ? 本日は吉祥寺 | トップページ | 狂言の中の妻たち »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

ホント、普通の家の子でよかった、と私も思います。あの海老蔵さんにして、若い頃重圧に耐え切れず逃げ出したとか。そういう葛藤の末に今の海老蔵さんがあるんだなあ、と海老蔵さんがとても愛おしく感じられました。
「狂言三代の初舞台」って、萬斎さんが息子さんに靫猿を教え込むシーンがあった番組でしたかしら?非常に興味深く感じると同時に、芸を継承することの重みに圧倒もされました。
こうやって役者さんたちが鍛えられ、さらに自分を磨いていくから、私たちが舞台を楽しむことができるんだなあ、と私も殊勝に感謝したくなります。でも、きびだんごさんとご同様、ミーハー精神は不変でございます

投稿: SwingingFujisan | 2008.03.01 00:57

SwingingFujisanさま
うふふっ、ミーハーなくして何の人生・・・ですよねっ。
って、まずコメントのそこに反応してしまう私。
海老蔵さんなんていかにも自由にやってそうだけど、
そんなわけないし、まして市川宗家となれば、ほんとにねぇ(ため息)。
狂言三代は、そうです「靱猿」。涙なくしては見られません。

投稿: きびだんご | 2008.03.01 10:23

万作家の番組も鼓の家も「へー」って感じで見ちゃいましたが(^^ゞ、その後で、一昨年だったかな、新作狂言関連のコメントで、千作ジイサンのお言葉…家の子なら何をやっても狂言になるが、家の子じゃないなら(どんなに修行を積んで技に優れても)型の通り継承しないと狂言にならない、ってなことを言っていて、室町以来の一子相伝っていう言葉の重さを再認識したような気分になりました。
弟子筋は、弟子筋ってことでしょうかね。
歌舞伎の襲名なんかをみていても、そっくりなカッコしてるのに、市川宗家とそれ以外じゃ髷が微妙に違うっていうし、助六なんざはっきり分けてますもんね~
だからこそ、舞踊家や華道家は分家したり別家をたてたり一気に独立開業しちゃったりするんだなぁ、とも。
家の子の辛さと、家の子じゃない(でも能力はある)の辛さ。道を究めるのはどっちも難儀なことで。
そこいくと、政治家なんてのは、家の子だろうとそうでなかろうと、分家も別派も楽そうでいいっすよね(爆)

投稿: 猫並 | 2008.03.02 10:09

猫並さま
このコメントを読んでるときに、ちょうどテレビ(「波瀾万丈」)で春猿さんを見てたので、さらに「家の子」「非・家の子」について考えちゃいました。
そうですか、千作さんのお言葉・・・。いや~、まさにその真ん中(頂点)にいらっしゃるからこそ、ですね。

で、話が政治の世界に及ぶのが、いかにも猫並流?(笑)でも、いずれ「家の子」か「見た目がいい」の2通りしかいなくなるのかも~。

投稿: きびだんご | 2008.03.02 11:14

鼓の家、ことあるごとに見ております(笑)。
「あの家は、そういう家の中でも特殊」と、業界関係の方が前におっしゃってましたが・・・。
能楽と歌舞伎の人間国宝がおじいちゃんで、お父さんも国宝って・・・。

家の子に生まれてみたかたった、という気持ちが半分と、家の子じゃなくてよかった、という気持ちが半分ですかね、わたしは。
せめて、若い頃にもっとちゃんとお稽古しとけばよかった・・・なんて思ったりして(笑)。

投稿: おまさ | 2008.03.03 00:22

おまささま
どうもありがとうございます(^_-)
「鼓の家」はそういう国宝の方々プラス母親、ですものねー。「家の中に男が二人いるんですよ」とか「男の料理」とか、傳次郎さんが仰ってましたよね。また、そういう発言をするのが3男である、というところも象徴的かな、なんて思っちゃいました。
私はあんまり自分がどうこうとは思わなくて、つい息子と比べてしまうんですよ。何も強制されず、好きなことをやって20年余り生きてきてる(つまり一般の若者ってことですが)。そらぁボンヤリした顔にもなるって。
うちの夫は、最初の方のナレーションで、長男は歌舞伎の世界を嫌って研究者の道へ、というところにだけ反応してました。普通の商家だけど跡をつがずに研究者をやって、結局、家業は廃業してるもんで(そういえば3男1女なのに後継者ナシだったのです。いや、商売も才能だから)。これは余談。

投稿: きびだんご | 2008.03.03 01:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« むさしのシリーズ? 本日は吉祥寺 | トップページ | 狂言の中の妻たち »