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2008.05.21

「わが魂は輝く水なり」から思いをめぐらす

5月20日(火) 「わが魂は輝く水なり」その3 19:00~ 於・シアターコクーン

 時々話題にする「おけぴ」で、中2階のバルコニー席(袖席ですかね)が安く出たのを急遽買ってしまった。でも同じA席なら、正面つまり2階の後ろから見たかったな、と、思ったりもしたので、今後はA席を買う時は気をつけよう(手放す場合も考えて)。 で、私が買った右側のバルコニー席には、後ろに立ち見の人がいた。終盤、その後ろの人の鼻息が耳の近くで聞こえて、一瞬、気分が悪くなったのかと心配してしまった。興奮したのかしらん。

 右側だけど、見切れるということもほぼなくて、気楽にじっくり見られてとても満足。誰かと見るのももちろん楽しいんだけど(特に歌舞伎なんかはね)、こういうお芝居は、自分ひとりだけで浸るのが私には合ってるなあと思ったり。

 (で、以下はそんな「思い」があちこち飛び回っての、まあタワゴトなのです。)

 じっくりゆったり見ながら、触発されて様々に思いをめぐらしたのは、特に、父親と息子の関係(実盛-五郎・六郎)、そして時の流れとそれへの抗い(実盛-巴)について。

 名もあり大きな存在である父親は、ある時期までは息子にとって憧れでもあるかもしれない。いつも夢のごとくに語ってくれた「森」への思いも含めて。森へ行くことは、あるいは「父親」を超えるために必要だったのだろうか。

 しかし、長子・五郎は若くして亡くなる。その死の原因は今は問わない。ただ、息子に死なれた父親は、折りにふれてその息子に語りかける。もしかしたら、自分のなしえなかったことができたかもしれないのに。そして自分は老いていくばかり。いっぽう弟・六郎にとっては、大きな父がいる、兄がいる。兄とは違うんだという強い自負心がある。父を乗り越えるのだ、と。

 ・・・という、親子兄弟のことに単純化すれば、いつの時代にも変わらないものがあるともいえる。そういえば、私がこの戯曲を読んだ「清水邦夫全仕事」のあとがきで、清水邦夫は父親のことを語っていたのだった。たしかよくできた兄もいて、だけど、父親が亡くなったときに茫然自失の兄にかわって、実務的に動いたのは彼だった。でもそうなれる兄が羨ましい・・・と、いうような内容だったかと。ものすごく恣意的に誤読しているかもしれないけれど。なんだか、見ながらそんなことも思い出したのだった。

 「時」ということから言えば、過去にすがっているかのような巴と、過去の記憶は大切に思いながらも「時」の流れに従い、老いを受け入れる実盛。巴は過去を美しく思い出さなければ、前に進めないのだろうか。狂気のような行動を正当化する術がない・・・。実盛は巴と(夢の中で)はっきり決別して、とらわれるものがなくなったんじゃないかな。

 と、ストーリーから離れてしまう? やっぱり連合赤軍に関してはあまり考えがいかない私。書かれたのはそういう時代だった、というくらいでいいかしら。

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コメント

おはようございます。
何度もご覧になると、色々な思いが新たに湧いてきたり、最初に感じたことが深まったりして、よりお芝居に対する思いが強くなるでしょうね。
この作品は1回しか見ていない私の心にも何かを深く落としていったような気がします。
亀三郎さんの大役、嬉しかったですねえ。これから歌舞伎でも大きな役がつくといいなあ。

投稿: SwingignFujisan | 2008.05.21 08:30

SwingingFujisanさま
むはっ。つい歯止めがきかなくなっちゃうんですよ。でも、萬斎&菊之助、というのが何度もあるとは思えないし、時間的に大丈夫な日だと「行っちゃえ
そうやって何回も行っておきながらナンですが、でも一期一会というか、この一回だけ、という思いは大事だとも思ってるんです・・・。
亀三郎さん、よかったですよね 歌舞伎を見るのも一段と楽しみになりました。

投稿: きびだんご | 2008.05.21 09:05

先週、見てきました。
うーん。もっとメッセージがある芝居なのかと思ったのですが、意外にも、ストレートな斉藤実盛とその息子たちの物語って感じでしたね・・・。
勝手に、連合赤軍のこととかがもっと表面に出てくるのかな?と思っていたので、ちょっと拍子抜けな気も。

しかし、役者を見るという意味では、菊ちゃん・亀ちゃん・萬斎さんを堪能させていただきましたので、文句はございません(笑)。
やっぱり、この3人の台詞術と身体能力はすばらしい!と思いました。
鍛錬のされ方が違うんですね。
亀ちゃん、前々から好きでしたが、いやはや、惚れ直しました(爆)。
松竹さん、もっと亀ちゃんに役をつけてくださ~い!!!って感じです。

投稿: おまさ | 2008.05.26 16:54

おまささま
そうなんですよね。どうも連合赤軍のことが言われすぎてる、と私は思っているんです。どんな戯曲でも、それが書かれた時代と無縁ではいられないわけだし。まあストレートにそれを描いたのではなくて、木曽軍に仮託してる、ということではあるのでしょうが。

ほんとに古典芸能の人たちは、小さいころからしっかり訓練しているからこそ、なのでしょうね。
実は私は今日、最後のコクーンで、今までで一番前からしっかり見て、亀三郎さんの敏捷な動き(目も小動物みたいな感じ)も、堪能しました。

投稿: きびだんご | 2008.05.26 23:50

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