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2008.10.30

いま戦争の時代を語ることについて

10月29日(水) 「1945」 14:00~ 於・世田谷パブリックシアター

脚本・演出/ロバート・アラン・アッカーマン 出演/高橋和也(半田)、瀬川亮(哲)、松浦佐知子(タミ)、中村ゆり(光武紗耶子)、山本亨(光武弘)、パク・ソヒ(大木襄)ほか

 正直言って、見てもいいけど・・・俳優もすごく好きな人は出ないし、なんか暗そう?と思っていた。でも、お誘いがあって、じゃあ、と。芥川「薮の中」から、と言われても、それ自体読んでないし、全く見当もつかず出かけたのだった。

 そういえばこの演出家、そしてパク・ソヒといえば、寺島しのぶ主演「楡の木陰の欲望」@シアター1010ではないか、と、劇場に行ってから気がついた。あのお芝居は上演期間中に大雨だの地震(開始直後の地震で中断、やりなおし)だのがあって、内容もちょっと苦しかったっけなー。

 2階C列(最後列)中央から見たので、細かい表情などはもちろんわからなかったけど、セットがかなり高く組んであって、そういう意味では全体は見やすかったと思う。舞台の前方左端(下手側)で、ほんとにかなり高くまで垂直に上る梯子で見晴台みたいなのが作ってあって、主に高橋さんが使用(一度、瀬川さんも)。高所恐怖症だったら絶対ダメでしょう、というくらい。

 舞台は「1945年」、終戦直後の日本である。価値観が一変し、人々は食べるために必死だった頃のこと。・・・と、書いてもすでに60年以上も前のことで、絵空事のようですらある。闇市、進駐軍、マッカーサー、天皇、朝鮮人、三国人、特攻etc. 発せられる言葉にギョッとするようではいけないなぁ、と思う。

 この闇市の近く(教会の地下)で、美しい妻を伴いペニシリンを買いにきた大金持ちの男の死体が発見される。殺したのは誰? ペニシリンを持ってると騙した朝鮮人、それとも妻?? 彼が亡くなったという事実は同じなのに、違うストーリーが再現される。この男を演じた山本亨の演技力と演出もあって、緊迫感が印象的。闇市に集まる人々も。

 正直、いろんな意味で絵空事っぽさがどうも、と思うんだけど、「人は自分が見たいようにしか物事を見ない」というのは、普遍なんじゃないかと思う。見たいように聞きたいように、「事実」をも作り替えているのでは、と。そんな中で、トランペットを吹いている哲(瀬川亮)の存在は、なんか救いだったなぁ。イタコのタミばあさんの超自然の部分は余計なんじゃないかと思う。

 平日の昼でもあり、見に来てるのは中高年の人々。それでも記憶に残っているほど戦争を体験した人は少なかったと思う。でも、そういう人々が見たら、どう受け止めるのだろうか。

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