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2008.10.14

「The Diver」にチケットの神様降臨

10月13日(月・祝) 「The Diver」 14:00~ 於・シアタートラム

作・演出/野田秀樹 共同脚本/コリン・ティーバン 作調/田中傳左衛門 出演/キャサリン・ハンター(女)、野田秀樹(精神科医/葵)、ハリー・ホズトロウ(源氏/検察官)、グリン・ブリチャード(署長/頭中将) 囃子方/田中傳左衛門、福原友裕

 本日千秋楽。結局のところ、初日と楽日に見ることになった。もともと初日のほかにもう1回、別の日のチケットを取っていたのを、知人(同世代のお能好き)に譲り、1回見るだけ、と思っていたのだが・・・。数日前に、世田谷パブリックシアターのチケットサイトを何気なく覗いたら、今日だけ△マークがついていて、席が1つあったのですよ! 今日は一日オフ(というより自宅仕事に当てていた。義母訪問は土曜の夫と交代してたし)、これはもう「見に行け」という神様の思し召しと、行くことにした。以前webを見た時ははすべての日が×だったはずから、この劇場にも復活チケが出るんだな、と。今後、要注意と思っておこう。

 というわけで、今日の席はH列のセンターブロックという全体を見やすい場所だった。初日は前方だけれど右サイドだったので。そして、「実際の事件」に動揺して少し平静でいられなかった前回とは違って、そういう覚悟(?)もできていた。現代能楽集「The Diver」として、能「海人」の部分もほんの少々は頭に入れて・・・。

 しかし、うかつにもというか、配役ではただ「女」とだけあるキャサリン・ハンターの、放火殺人犯としての名前が「山中ユミ」=ユミということを、ただの記号のように思っていた。発音しやすい(笑)。今日は繰り返された言葉:You and Me Forever がよく聞き取れた、ということかしら。多重人格? You and Me・・・?

 そして、特に「海人」から呼び起こされる漂うような包み込むような母性と、もっと直接的ななまなましさをもって迫ってくる母という存在(あるいは母になれないのであるが)。ユミの人格のように、それらが交互にこちらに向かってくる気がした。実際には「現実のユミ」の心情にほとんど涙しそうであり、そんな気持ちを夢幻のイメージが和らげてくれたのかもしれない。

 頭中将の「雨夜の品定め」部分が、ちょっと下品なテレビショー仕立てになっていて、このあたり、そしてホテルの所が、息抜きの場、でもあるかな。でもそのTVを見ているという設定のユミと、彼女を観察している精神科医にも目がいくし、なかなか大変。ほんとはこの手のシーンはあまり好きじゃないんだけど、その故にずっと記憶に残るかもしれない。

 あと、不倫の恋人同士が車に乗っているシーン。たしか「The Bee」でも車に乗ってる場面が出てきたと思う。あの時は正面を向いてたっけ? 今回は上手に向かって進んで行くかたち。

 シンプルな舞台装置なのに、ものすごく想像力をかきたてる。小道具としてのいくつもの扇や、面にも、けっこう意表を突かれたのだった。それにしても、携帯電話というものが世の中に出現してから、お芝居も相当変わったのではないかしら。というより、我々の生活が恐ろしいほどに変わっているんだろうな、と思った。葵の上(現実の妻)が何度も何度も、(着信履歴から)女に電話をかけるときのやりきれなさ、むしろ妻のある種の醜さ(絶対的勝者としての)にはゾッとした。で、男は何してんの? でもある。

 さて。これから「母性」はどこへいくのか? そもそもそんなもの、この先も存在するのか?? 密度の濃い90分足らずの間に、千年以上をさかのぼり、むしろ原始を思ったりもするのだった。

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コメント

うらやましぃ~! とはいえ、その日はわたしは一日、浅草にいたわけですが・・・(笑)。

「The Diver」もう一度見たかったのですが、当日券に並ぶ元気がなくて・・・。
一度目はやっぱり字幕に引きずられてしまって「アレ?」と思うと、もうことが舞台の上で起こっていた、という事態がしばしばありました。

「葵上」を題材にという話が、事前に流れていたそうですね。蓋を開けたら結局「海士」にだったわけですが、見てみたら車争いのあたりとか、「あ、やっぱり入ってる」と思ったのでした。

歌舞伎座以外で、はじめて野田さんの芝居を見てみて、コクーンのアレも見たいなぁ~と思いましたが、チケットとりがね・・・。

投稿: おまさ | 2008.10.15 11:54

おまささま
ウフフ。ポッカと一日あいてる日に、チケットが降ってきたようなものです。それは行くでしょ 楽日には立ち見の人も左右の階段にかなりいました。ま、私も当日券に並ぶ元気はなかったなー(上演時間が短いから、なんとか立っても見られるものの・・・)。

野田さんのお芝居は、一度見ただけではなかなか、な部分も多くて。英語で、字幕つきだと尚更。
でも毎度毎度、びしばし刺激されます。
コクーンはメンバーがまたすごいですよね。コンドルズまで加わってるとは。

投稿: きびだんご | 2008.10.15 23:28

今日、久しぶりに舞の稽古に行ったら師匠が「(The Diverを)初日に観に行ったら菊之助君が来てたわ」といってたんですが、確かきびだんごさんも初日だったよな、そんな記事あったっけ、あ、でもあのヘンは確かウチの猫が死んじゃった頃で…、なんて思って探し出せず。
そうでしたか???
師匠は「普通にTSUTAYAの中をふらついたりしてたみたいだけど、誰も気づいてなかった」といっとりましたが…

投稿: 猫並 | 2008.10.16 15:59

猫並さま
えーーーーっ。初日に行きましたが、そんなこととは露知らず。これっぱかりも気づいておりませんでした。ショック。
ことほど左様に、すんごい節穴ですんで、猫並さんともめっちゃニアミスするわけですね。
でも、万一開演前に菊之助くんを発見していたら、いよいよ平静に見られなかったでしょう。・・・と、自分を納得させるのだー。

投稿: きびだんご | 2008.10.16 22:36

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