« 見る前に、あっさり挫折しました | トップページ | 新宿西口のブックファースト »

2008.11.20

ちょっと薄味?な乱歩的世界

11月19日(水) 「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみ あやしのかぎづめ) 明智小五郎と人間豹」 11:30~ 於・国立劇場大劇場

原作/江戸川乱歩「人間豹」 脚本/岩豪友樹子 出演/松本幸四郎、市川染五郎、市川春猿、市川高麗蔵、松本錦吾ほか//新内仲三郎ほか

 なんだかとても久しぶりのような気がする大劇場。先月の「大老」も見たかったんだけど、来てないしね・・・。今月は江戸川乱歩が歌舞伎になる、という、ただそれだけに惹かれて。3階席(2等。あぜくら会で2250円)でも花道はよく見えるし、お財布には優しい劇場なんである。オペラグラスを入れたつもりでいたのに忘れていて、染五郎や春猿の表情は見えなかったのがちょっと残念。おまけになんとなーく筋書も買い損ねた。

 さて、若干睡眠不足の頭におびえつつ見たのだけれど、もっとごてっと濃密なのかと思ってた。私の脳味噌が鈍磨してただけ? とはいえ不気味な「(連続)殺人」の感じというか、もともとは昭和初期の話という時代(幕末に移してある)のせいか、前日のショッキングな殺人事件(政治テロ?)をふと思い浮かべてしまったりも。

 私にとっては特筆すべきは舞台美術。冒頭、池の端の出会茶屋は、蓮池の暗い美しさや遠景、新内の出語りもうまくおさまっていて、ほーっ(ここは殺人の第一現場)。そして第二現場となる芝居小屋も、楽屋と舞台と同時に見せ、そこからぐるっと回って舞台が正面に来るあたりが面白くて。それに比べると、浅草奥山あたりがあっさりしてたのかしらん。あっ、垂直方向の仕掛けがあったのでした。

 薄味と思ったのは、たぶん、もうちょっと明智「探偵」が活躍すると思ってたからかな。乱歩はそれこそ大昔に少し読んだきりで、「人間豹」は未読だけども。ああ、テレビの天地茂=眉間に皺、のイメージが強すぎるんでしょうか。今回の明智は・・・鬼平? それといろんなエピソードがあるわりに、さささっと話が進んでいるんで物足りないのかもしれない。上演時間、正味2時間強だしね。でも、こういうのこそ、6時半開演とかにしてくれるといいのに。

 染五郎2役のうち、神谷サンはいかにも色男なんだけど、どうしてもプレイボーイみたく思っちゃってねぇ・・・。惚れた女を続けて殺されたから気がヘンになったなどという「純愛」路線じゃなくて、もっと「因果」な理由なら納得したかも。いっそ、神谷じつは恩田でもよくってよ。

 あと、芝居小屋での「目がつら」とか、笠森稲荷の乞食の一群とかが、単純になんで?という感じだった。ああ、乞食の方は、もっと「時代のせい」という点を強く打ち出せば納得できるのかな。母と子、人間性、という方向じゃなくて。

 などなど思いついたままを書いたけれど、でもこういう試みってすごく好きだし、気楽にけっこう楽しんだんでした。

|

« 見る前に、あっさり挫折しました | トップページ | 新宿西口のブックファースト »

歌舞伎・文楽」カテゴリの記事

コメント

そう、私も、染五郎は気楽に女道楽してると思ってたのに、2幕目になったら悲しみで正気を失ってたのでびっくりしました!
とーっても、そんなタマには見えませんでしたもんっ
その果てに大川に身を投げたっていうけど、そんな説明的付け足しいらなくない?って思ったくらい(笑)

投稿: 猫並 | 2008.11.20 20:00

猫並さま
やはりそう見えますよねー、染五郎、じゃなくて神谷芳之助。これは初っぱなの池之端のシチュエーションの影響が大きい気がしますが。・・・と書きながら、2人目を目の前で無惨に殺されたショックのせいにしてるのかなぁ、と思ってみたり。
でも、新内も聴けたし(竹本も出るとは思ってなかった)、「新しもの好き」な部分では、かなり満足しました

投稿: きびだんご | 2008.11.21 07:40

神谷じつは恩田っていうの、いいですねぇ。2人は表と裏、光と影と言っているのだから、1人であってもいいわけだし。
明智は、私も鬼平にちょっとかぶるなあと思いました。でも、こういう幸四郎さんは悪くないな。
新内っていうのが、よかったですね。
国立は、安くても見やすい席で本当に助かります。歌舞伎座建替え中もこの料金を維持してくれるのかしら。あぜくら会と歌舞伎会の力関係はどうなるのかしら、なんて今から心配しています(どっちも入っているから、いいんですけどね)。

投稿: SwingingFujisan | 2008.11.22 00:31

SwingingFujisanさま(今週は富士山が綺麗に見えてました)
私はどうも清元というのが苦手・・・ということもあって、新内いいなじゃい、なんて思いつつ聴いてました。でも不忍池のシーンで、蕎麦屋の台詞をすべて新内の方が言ったのには意表を突かれました。後からなるほどね、とは思ったのですが。
来月の国立、ついつい1階の2等席なんぞを買ってしまいました。やはり2250円なんですもの。
あっ、思い出したのでここに書いておきます。この日、また隣の人(おじさん)が物音にうるさい人でして、私の真後ろのビニールがしゃがしゃ音に文句を言って、それが止まなかったから「耳が悪いのか?」なんてそうとう強く言ってました。確かに椅子の高低差がかなりあるから、上の人が手元でがしゃがしゃやると、ちょうど前の席の耳元付近なんですけどね・・・。

投稿: きびだんご | 2008.11.22 22:54

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 見る前に、あっさり挫折しました | トップページ | 新宿西口のブックファースト »