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2008.11.23

「友の会」貸切の狂言劇場

11月23日(日) 「狂言劇場 その伍 Bプロ」 18:00~ 於・世田谷パブリックシアター

苞山伏使いの者万之介、山人高野和憲、山伏深田博治 能楽囃子(笛松田弘之・太鼓小寺真佐人)--休憩--狂言による彦市ばなし彦市萬斎、天狗の子月崎晴夫、殿様石田幸雄、(囃子方)--休憩--友の会会長挨拶、抽選コーナー、萬斎トーク

 去年開場10周年記念で、友の会貸切公演が行われた(国盗人)。それは抽選で外れてガックリ、だったんだけど、今年(たぶん去年の貸切公演が好評だったから今年もあったらしい)は、めでたく当たりました チケットが届いてみれば、うへへー、2階の2列目なのぉ ではあったけれど、行ってみたらほぼ真正面だし見やすいし、意外とよかった気がする。最前列よりはいろんなものがよく見えそう(舞台の前方の床に映るものなどが)。

 会場の設営が遅れている、とのことで、開場時間が過ぎてもロビーフロアで10分以上待つことになった。人が溢れて息苦しいくらい。設営といっても、たいしたものはないはずなのに・・・と内心おもっていたけれど、萬斎さんのトークによると、たぶんコンピュータの故障。

 そして、上演時間情報を見れば、単純に、開演 休憩、そして終演19:55が書いてあって、あれれれ、特にイベントみたいなのはないのかしら?? と心配していたら、「彦市ばなし」が終わった時点で、アナウンスがあって、あぁよかった

 そうそう、今回のテーマは、ずばり「ウソ」なのでした。以下、萬斎さんの解説も織り交ぜながら。

 ウソその1「苞山伏」。山の中で昼寝していた山人のお弁当(藁づとに入っている)を、通りかかった男が食べてしまい、それを傍で眠っていた山伏のせいにするけれども・・・。これはトークで萬斎さんが「叔父の怪演」と言ってらした通り、万之介さんらしさ全開。こっそり食べるところ、逃げ出すものの山伏の祈祷で引き戻されるところetc.  よく考えれば困ったヤツなのに、憎めないのよねー。それと、狂言ではたいていバカにされてる山伏だけど、ここではちゃんと素晴らしい祈祷の力を発揮する(でもむざむざ濡れ衣をきせられるなんてのは、やはりちょっと・・・)。

 能楽堂で上演するときは、もちろん橋掛りは1本だから、3人が同じところから登場するけれど、パブリックシアターでは3本の橋掛りのそれぞれから出てくる。だから、山の中で出会う、という感じがよりリアルなんだそうです(実は私はそのあたりボンヤリ見てました。言われてナルホド、と)。

 ウソその2「彦市ばなし」は木下順二の原作、今回は万作・萬斎おふたりの演出となっている。私は今まで全く見たことがないのだけれど、様々に上演されてきたんだ 歌舞伎も初演・菊五郎劇団(1954年)以来、なんどか上演されていて、直近では去年2月の博多座がある(松緑の彦市)。パンフレットには97年、菊五郎の彦市、辰之助の天狗の子の写真が載っている。

 狂言バージョンであっても民話劇なので、九州(熊本)の言葉の面白さがまずある。化粧も面もなく演じる狂言では(子天狗は面をつけてるけど)、萬斎さんが九州の方言で喋るということ自体が、ちょっとおかしいというか・・・あんまりイメージじゃないんだもん。じっさいこれを地元熊本で上演すると、言葉のいちいちに反応があるので、どどどっと沸いたあとで次の台詞を言うことになり、長引くんだそう。

 子天狗は愛嬌があって可愛くて、いい役だわねー。神出鬼没の感じも、劇場の特性を生かして工夫されてたし。工夫といえば、やはりスクリーンやライティングなどが効果的だった。彦市がシメシメというふうに大酒を飲むところなんて、シルエットで、盃→徳利→と、樽まで徐々に大きくなっていくのを見せたりね(ちょっと魚屋宗五郎を思い浮かべる)。

 殿様役の石田さんも、ポヨーンとした殿の雰囲気がピッタリ。「カッパを釣るために」と彦市に言われて鯨肉を持ってくるんだけど、それが傑作なの。全編に遊びゴコロが溢れてました。水中シーンも必見。

 というわけで、そういえばBプロでは万作さんの登場はナシなのでした。Aプロ(「磁石」と「彦市ばなし」)も見たいとは思ったけど、日にちが合わないのと、やはりS席だといい値段なんで、この貸切公演のみで我慢するなり。

 抽選コーナーで当たるのは、なんと2月の「MANSAI 解体新書」のペア入場券が15名に。ええ、とうぜんハズレでした。

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コメント

レポ、ありがとうございます。
やっぱりこれ、見たかったなぁ~。とくに、博多座の「彦市ばなし」見ているので、狂言で見てみたい思いは強かったんですけどねえ(博多ではすっかり橘太郎さんのファンになってしまいました)。
日程的にどうなるかわかりませんが、「解体新書」にも興味津々。いずれにしても、これからもたまには行ってみたいなぁ、と「獅子虎傳阿吽堂」を見て思ったのでした。

投稿: SwingingFujisan | 2008.11.24 17:13

SwingingFujisanさま
あらまっ、博多座でご覧になったのでしたか。橘太郎さんが天狗の子だったのかな(って、どんな方かもわからずに書いてます
単純に面白いのと、やっぱり民話ということで郷愁を誘われる部分もありますね。そして、教訓的なわけでもないし、わけわかんないうちに大団円、みたいな大らかさが楽しかったです。
「解体新書」、私はなかなか行く機会がないのですが(次回もすでに予定が)、競争率も高いので、ファイト(ビギナーズラックもありえますね)。

投稿: きびだんご | 2008.11.24 21:55

楽しいレポ、ありがとうございました。
パブリックシアターの友の会限定公演なんていうのもあるのですねぇ。あそこは好きな劇場ですが、いかんせん自宅から遠いもので(涙)。
「彦市ばなし」は新宿狂言で見ました。天狗の子は月崎さんでした(^-^)
能楽堂以外の公演はここのところパスしていたのですが、やっぱりそれぞれのよさがあるのですね。う~ん、困った(^_^;

12月はちょっとおとなしくしていようと思っているからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2008.11.25 17:39

からつぎさま
あら~、新宿狂言でご覧になったんですね 私は逆に、新宿狂言に行ったことがないんですよ。でも、来年2月の新宿狂言は、萬斎さんの「木六駄」というのを知って、行こうかなと思っているところです。月崎さんの天狗の子はほんとに可愛かったです。コンピュータが故障していなければ、もっと仕掛けがあったみたいですけど、十二分に楽しみました。
からつぎさまとパブリックシアター・・・私がさいたま芸術劇場に「よいしょ」と思わないと行けないのと同じ感じでしょうか。

私も12月は少しおとなしめ、なんですが、1月が大爆発の予感

投稿: きびだんご | 2008.11.25 19:33

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