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2008.12.07

下北沢OFFOFFで、不覚にも泣く

12月7日(日) 「小宮孝泰一人芝居vol.2 線路は続くよどこまでも」 13:00~ 於・OFF・OFFシアター(下北沢)

作・演出/鄭義信 出演/小宮孝泰

 下北沢駅の南口そばのビルの3階。休日に行くにはとても便利な所である。場所は知ってたけど、行くのは初めて。ここでコント赤信号の小宮さんの一人芝居・・・って、私にはちょっと珍しいでしょう。むふふ。

 それもこれも翁庵寄席のおかげなんだけれど、たしか前回、小宮さんがご出演のとき、鉄道マンだった父親をテーマにした一人芝居をやります、と仰っていた・・・ような気がする。それがこの公演。わりと年輩のカップルとか、中年の女性グループとか、若者とか、客層は様々な感じ。小さい会場だから、ぎっちぎちさぁ。

 詰め襟(当時の国鉄の制服。「学生コントをやるんじゃありません」)に駅員さんの帽子スタイルで登場した小宮さんは、まず前説。駅の助役で鉄道マン人生を終えた父上のことを紹介。戦前は、朝鮮鉄道で働いていたという。前説が必要なのは、まず「今の若い人」に戦前といったら第二次世界大戦のことですよー、などと教えなくちゃいけないから(?) いや、私たちだって、朝鮮半島の鉄道事情なんか知らないし、衝立に設えられた地図でふむふむ、というくらい。しかし、この衝立の地図は大活躍というか、すごいアイディアだったのだと最後にわかったのでした。

 この前説のときに、東海道新幹線開業当時の、熱海駅で写した父上の写真も見ることができた。だから、というのではないけれど、親の思いが子どもに伝わるとか、何かを継承するというのは、必ずしも同じ職業ではなくてもいいんだよね、なんて思ったりした。たぶん「精一杯生きた」まじめな父親の姿やなんかが、こんなふうに伝わってるんだな、と。それはそれで、幸せな親子関係なんじゃないかしら。ご存命なら、お芝居にしてないかもしれないけど。

 さて、お芝居はこの父上が勤務していた「新安州駅」での、終戦の翌日からの物語。駅長さんがいて、小宮くん(小宮助役だったっけ)も働いている。父上が主人公かと誤解していたら(思いこみのせい)、主役はこの駅長さんなのだった。

 とにかく一人芝居なんだから、とうぜんすべての役を一人でやってるわけだけど、大勢がやってくる時の挨拶なんかが、まったく落語なんだわ~。落語の手法みたいなのを随所に感じたりした。特にこの挨拶と、湯飲みで飲むしぐさね。そんな風にいろいろ笑わせるところがあって、でも話はだんだん悲惨になってくるのだ。つまり、なんとか引き揚げなくてはいけないから、難民キャンプみたいな所にいたり、山中を歩いたり。

 そこで魅力的なのが駅長の奥さん。そもそも、愛すべきおかみさんキャラとして描かれていた人なんだけど、おっとりしていて、ふかし芋ばっかり食べてたのに、いざとなったら強いんだ。途中からどんどんこの奥さんが好きになった。なのに、ラスト、やっと釜山まで行けるというぎゅう詰め列車の中で、どうして死んじゃうかね。この時は死ななくても、なんて勝手に思ってたから涙は出なかったんだけど、最後にやられましたワ。

 もうちょっと刈り込んでもいいんじゃないか、と思うところもあったけど(←ナマイキにも。少し中だるみしたので)、いや~、笑わせて泣かせて、いい作品に出会えたと思ったのでした。

 プログラムがB5の表裏とばかり思っていたら、B4を半分に折ってあって内側には「豆知識」も載っていた。先に読んでおけばよかったけど気づかなかったんだよー。38度線なんて「朝鮮戦争」としか思わない私は、かなり駄目じゃん。それ以前に分割されてたからこその1950年なのにねぇ。

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