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2009.01.21

さいたま芸術劇場に7時間

1月21日(水) 朝日カルチャーセンター「『冬物語』を楽しむ」 於・彩の国さいたま芸術劇場(プレレクチャー:松岡和子 11:00~12:00、「冬物語」鑑賞 13:00~16:25頃、アフタートーク:横田栄司&松岡和子 17:00~18:00)

原作/W・シェイクスピア 翻訳/松岡和子 演出/蜷川幸雄 出演/唐沢寿明(レオンティーズ)、田中裕子(ハーマイオニ/パーディタ)、横田栄司(ポリクシニーズ)、長谷川博己(フロリゼル)、藤田弓子(ポーライナ)、六平直政(羊飼い)、瑳川哲朗(オートリカス)ほか

 朝日カルチャーセンター新宿の会員ではあるし、この企画ならば自分でチケット取りの苦労をしなくてもいいな、と3ヶ月以上も前に申し込んでいた。しかし、冷静に考えると、現地に10時50分に到着するためには家を9時過ぎに出なくてはならない・・・。一日仕事とはまさにこのことよ。お芝居を見て疲れたらアフタートークはパスしようか、なんて思っていたけど、いやいや、ものすごく面白かったので、当然のように居残ったのでした。

 松岡先生のプレレクチャーでは、「冬物語」をはじめとするシェイクスピアの「ロマンス劇」の定義、冬物語との関わりの歴史、翻訳手法などなどが語られた。でも、本公演に関しては、先入観(知識)なしに見てほしいから、あっというような事に関してはアフタートークで、という感じだった。

 ま、蜷川演出の特徴として、対立するものをはっきり色分けするので、と、パンフレットの左ページは赤色でシチリアの人物関係、右ページに青色でボヘミアの人物関係が書かれた見開きが示された。実際に舞台上でも、シチリアは「赤」なのだ。以下、あまり詳しくは内容に触れずに。

 この「冬物語」の面白さは、ほんとキャスティングの成功にあると思う。私はどうも唐沢さんに縁がないんだけど(チケット取ってたのに行けなかったことが何回かある)、いやー初めて魅了されました! 発端の、嫉妬心を抱くところ(台詞はない)の、えっまさか、という表情から始まって、疑念が確信となって一人荒れ狂い、それがもたらしたことに激しく苦しみ・・・と、もう目が離せないのだ。本で読んだだけでは決して理解できないレオンティーズの心に、観客も寄り添える、そんな存在。

 そして、ポリクシニーズの横田さんも、レオンティーズが疑念を持つのも納得できるような「いい男」なんだなー。彼と王妃の不義密通なんて、全くの濡れ衣であっても、疑いを持つことに説得力がなくっちゃね。

 田中裕子さんは、ハーマイオニとパーディタの二役。この2つの役を1人が兼ねるような演出はあまりないという。が、王妃としての気品、羊飼いの家の娘の可愛らしさのどちらも素晴らしかった。なんとなくテレビのイメージから(といっても最近はほとんど見てないが)庶民的な雰囲気が強いように思っていたけど、それは気持ちよく裏切られたなぁ。

 2幕の喜劇的な(息抜きの)シーンが、ちょっと長くてダレたかも、という気はする。六平さん、瑳川さん、大石継太さんなどはもっぱらこちら。

 シンプルな舞台装置に象徴的な小道具。王妃の衣裳のコントラストなどなど、視覚的にもものすごく記憶に残っている。これがシアターコクーンあたりでの上演ならば、なんとか頑張ってもう一度見に行くかもしれないな。

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演劇」カテゴリの記事

コメント

あらああ!!!私も同じ日の観劇でしたぁ。あのどこかにいらしたのですね。
えっ、アフタートークなんてあったの? 気づきませんでした。それとも朝日カルチャーの方だけ?
唐沢さん、私は2度目ですが、やはりうまいなあと思います。
田中裕子さんがすご~くよかった。1人2役はあまりないのですか。道理で、パーディタを見ても誰もハーマイオニの娘だと思わないわけですゎ。
私も喜劇的部分、少しダレました。
それにしても、きびだんご様はますますタフでいらっしゃいますね~

投稿: SwingingFujisan | 2009.01.22 01:35

SwingingFujisanさま
きゃーっ。なんとまあ一緒に観劇とは。私はK列22だったんですよ。右ブロックだけど通路から2つ目で、ここを使う役者さんがよく見えました そして幕間には赤ワインを飲んでました
プレレクチャー、アフタートークともに、カルチャーの人だけで会場は映像ホールでした。チケット込みで申し込んだ人と、プレとアフターのトークだけの人がいたようです。しかもアフターだけ目当ての人もかなりいたみたい。

横田さんの話では、ゲネプロの日に、彼と長谷川さんが「居残り」させられたとか。
あと2幕の最初、「時」が出てくるけど、ここをどういうふうにするかが、演出家でものすごく違うところなので、今後、「冬物語」を見ることがあったら、注目!だそうです。(「時の翁」の典型的スタイルは、羽根があって砂時計を持ってるのだとか)
ハーマイオニとパーディタが特に2役ゆえに「そっくり」な点は、横田さんも「わー、似てる。そっくり」と思ってやってらっしゃるそうですよ。あまりそれを見せないけれど。そういう意味では、唐沢さんもかなり驚愕している演技だとか。
あと、ハーマイオニの彫像が動き出すところ、昨日は笑いが来ましたが、固唾をのんで見守る、という日もあるそうで、ほんとに日によって様々というのを、役者さんも実感してらっしゃるようです。昨日は客席もどこかで笑いのスイッチが入ったもよう

投稿: きびだんご | 2009.01.22 09:04

いろいろ詳しいご解説、ありがとうございます。
「時」の演出は面白かったですね。面を次々取っていくという手法は、歌舞伎の舞踊か何かで見たことがあるように思いました。演出家によって大きく異なるとなると、他の演出家の「冬物語」も見てみたくなりました。
そっくりに対する驚愕は、残念ながら私はあまり感じ取ることができませんでした。というより、自分で勝手に「そっくりを強調したストーリー」を作り上げていたのかもしれません。
彫像のところは、日によって反応が違うのですか。ここは本来固唾を呑んで見守るところじゃないの?と思っていたのですが、昨日は笑いの反応に唐沢さんも応じるような演技になっていませんでしたか?唐沢さんって、そういうアドリブやりそうな気がする。

アフタートークはやっぱりカルチャーの方だけだったのですね。横田さんの人気が窺えますね。

K-22はいいお席でしたね。長谷川さんも通路通りましたしね~。私はN-3でしたので、きびだんご様とは反対側。あの劇場はそんな位置でも見やすいと思いました(最近、いい席が当たらないのですよ)。
幕間にワインなんて、やっぱりきびだんご様はタフ。私だったら完全に寝てしまいます 私は幕間、ひたすらトイレ行列をしておりました。

投稿: SwingingFujisan | 2009.01.22 10:37

SwinginFujisanさま
ハーマイオニそっくりなパーディタを見たときの驚愕、というのは、実は演技としてはあまり現れてないんだと思うんですが・・・。でも、横田さん、松岡先生ともに、「唐沢さん、かなり驚いた演技をしてる」と仰ってたんですよね。そもそもこの件は、「ポリクシニーズはびっくりしないんですか」という質問に答えたものですし。
それと、最初の本読みの段階で、蜷川さんが松岡さんに「どうしてこれが名作なの? 説明して!!」と言われたんだそうですよ。戯曲を読んだだけではやっぱりレオンティーズの勝手な嫉妬がワカランし、最後の「めでたしめでたし? それでいいのか」とか、ツッコミどころが満載で。でも、それが舞台になると全然違うね。私は特に、唐沢さんの「えっ、どうしたんだこの二人は、あやしい」と思う瞬間の目に、射抜かれました。
あと、みんながハーマイオニの彫像を見に行くというので、客席を回り、舞台の上で、「途中でいろんな像を見たけど」云々のところで、笑いが来たでしょう。あれも横田さんはなぜ笑いが来るのかさっぱりわからず、2、3日前に人に聞いてやっとわかったんだそうです。作る側が意図しない笑いがくるのが、面白い化学反応という感じです。逆に、「喜劇担当」の人たちは、笑わせなければならないから逆に大変なのかも。

投稿: きびだんご | 2009.01.22 22:11

きびだんごさま
はじめまして。スキップと申します。
大阪で「冬物語」を観て、とても感動し、
1/21のこのさい芸でのイベントのことを
後で知って、様子を知りたいと検索して
いてこちらに辿りつきました(笑)。
詳細なレポと、コメント欄のやり取りでも
演出のことや役者さん達の演技のことなど
つっこんだお話を知ることができて、
とても興味深く読ませていただきました。
どうもありがとうございました。
他のお芝居や歌舞伎のレポもこれから
ゆっくり読ませていただきたいです。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: スキップ | 2009.03.01 22:31

スキップさま
コメントありがとうございます!
そもそもこのブログは、自分の記録用に始めたので、あんまり見つからないようにしていたつもりだったのに、見つかっちゃいましたか(笑)。
「冬物語」ほんと感動でしたね。いまこうしてコメントをいただいて、改めて思い出しています。やっぱりあの唐沢さんの「えっ」という表情や、紙飛行機が象徴的な2人の友情、赤と青、などなど、すぐに思い浮かんできます。
スキップさまは大阪在住でいらっしゃるのかしら。私も時々、大阪に行ってますよ!!
また、遊びにいらして下さいね。

投稿: きびだんご | 2009.03.01 22:59

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