« 私の昨日今日 | トップページ | 「カノッサの屈辱」とヘンリー四世 »

2009.02.18

「鑓の権三」をめぐる、よしなしごと

2月16日(月) 「文楽公演 第一部」 11:00~ 於・国立劇場小劇場

鑓の権三重帷子」 浜の宮馬場の段/浅香市之進留守宅の段/数寄屋の段/岩木忠太兵衛屋敷の段/伏見京橋妻敵討の段

 今月の文楽で見るのはこれだけ。私は「鑓の権三」には思い入れがあったんだけど、一番人気がないんだよねぇ・・・。朝というのもあるし、住大夫さん、簑助さん、勘十郎さんの出演もないし、ストーリーも??

 もう記憶は霧の遥か彼方、とはいえ、たしか私が初めて見た文楽が「鑓の権三」ではなかったかと思う。25年くらい前かしら、国立劇場にて。「不義密通もの」の特集めいた演目の一つだった・・・のではなかったか。悲しいことに、ほぼ記憶に残ってないんだなぁ。なのに、なぜ「鑓の権三」を見た、と言えるのかというと。

 その後に、これまたたまたま、サンシャイン劇場の「近松女敵討」(杉村春子・江守徹)を見に行った。たまたまというより、女性誌のプレゼントに何気なく応募したら当たったのだ。寒い冬で、雪がしんしんと降ってる日のソワレ公演であった(終演後、劇場を出たら随分つもっていた)。あらまぁ、鑓の権三の話なのか、と。ただただ舞台に圧倒された気がする。しかし、なんだかやたらと「権三」がインプットされちゃった。

 で、ここまでくれば、映画も見なきゃ、というわけで、普段なら見てないだろう映画まで、見たのです。こちらは篠田正浩監督、岩下志麻、郷ひろみ。ものすごく映像が綺麗だった(お屋敷の庭の緑とか)、という記憶はある。

 ・・・かすかな記憶の中で、文楽→お芝居→映画がひとめぐりして、25年ほどたって戻ってきた、という感じなのである。で、基本的にストーリーも忘れてるんだよね。そもそも、松江藩の話でありましたか、と、いきなり親近感が増すじゃないの。お茶が盛んだっただけのことはある。

 と言っても、現代からは「どう見たらいいの?」というお話ではある。おさゐ奥さま、そらぁあなたがダメでしょう、共感はできんゾ、みたいな。でも、12年下なだけのイケメンくんが相手なら?? 私の後ろの席にいらしたのが、声からすれば年輩のご夫婦のようだったけど、奥さんのほうが「要は男の論理なのよね」と幕間に喋ってたのが印象的。ちょうど、おさゐの理屈は身勝手(夫の名誉のために妻敵として討たれてほしい)では、という「数寄屋の段」の後だったから、ご主人が「男の論理?」と聞き返してたけど。

 そんな理屈というかお話はともかく、最後の妻敵討の段が、盆踊りの賑やかさと死なねばならぬ討たねばならぬ男女の悲しさが、対照的で哀れをさそう。ここ、咲甫大夫さん(権三)がしっかり語っててよかった。

|

« 私の昨日今日 | トップページ | 「カノッサの屈辱」とヘンリー四世 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

歌舞伎・文楽」カテゴリの記事

コメント

私は昨日観てきました。
ヒロミ・ゴーの映画は確かに覚えているのに、観たのか、それともCMとか紹介番組で見ただけなのか、それがはっきりしません(爆)
おさゐが「討たれてくれ」というの、根がオジサンの私から見ると、どうせ死ぬなら夫の役に立ってくれない?死ぬんだから同じでしょ?っていう、実に女性らしい合理性を感じるんですが。
ああいう奥さん、現代でもあるような…2時間ドラマとかで夫・政治家の秘書であるイイオトコに恋慕する若い後妻なんての(笑)、まぁそうでなくても、私はこの話、近松の中ではとても現代的に感じちゃうのでありました。
あ!それは、私が奥さんじゃないからか!!!

投稿: 猫並 | 2009.02.19 08:18

猫並さま
あはは~。そう言われれば確かに現代的ですかね。私はタイトルだけをやけに鮮明に覚えていて、ストーリーを忘れてたので、「こういう話だったっけ」というのがまずあって
奥さまの嫉妬~討たれてくれあたり、近くの女性に大受け(汗)で、アハハとか「なんてヤツだ」とか合いの手が入ってました。そうか、2時間ドラマを見てる気分になれるのね。
男も女も、ワキが甘くちゃいかんよ、という教訓かも

投稿: きびだんご | 2009.02.19 08:43

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 私の昨日今日 | トップページ | 「カノッサの屈辱」とヘンリー四世 »