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2009.02.10

中野翠さんが怒ってる

中野翠「歌舞伎座取壊し 私は許せない」(『文藝春秋」3月号)

 「歌舞伎座の建て替え」の話は、いつ頃から始まっていたのだっけ。なんかかなり前から出ていて、「そんなこと言ってたけど、やめたの?」というくらい、長い時間が経っているような気がする。

 しかし、現実には昨秋くらいから、我々の目にはっきり見えるかたちで、事態が動き始めている。「歌舞伎座さよなら公演」は来年4月まで続くし、つい先頃には、新聞紙上に「完成予想図」が載っていた(あれを見て、ぎょっとしなかった人はいないのでは・・・)。

 中野翠さんがこの件に関して、最新号の「文藝春秋」に寄稿されていて、取壊しを「文化破戒」と怒ってらっしゃる。そして予想図は「悲惨」と。いまの歌舞伎座の建物の歴史、「銀座ルール」(銀座の建物に関する中央区の条例)などなどにも触れつつ、松竹の「名誉ある撤退」を求めている。

 文脈の中で、私もハタと思い当たるのは、昨今の「消えゆくもの」商売の隆盛。もちろん「歌舞伎座さよなら公演」という感傷への誘導(疑問や抗議ではなく)についてだけど、「三丁目の夕日」的なもの、あるいは列車などがなくなるといえばワンサカ、人が押し寄せるような状況って、たしかにちょっと苦々しくはある。感傷が生み出すものは自己満足だけかも、と。

 中野さんは文章を歌右衛門の名を挙げて閉じているけれども、歌右衛門にそれほど思い入れのない私には、ちょっとピンと来ないんだな・・・。

 私は方向音痴でもあり、歌舞伎座も京都南座も、そこへ行こうと思わずに出会って「わぁぁ」と心が躍った建物。その建物自体から生まれる昂揚も、観劇には意外なプラスアルファとなっているに違いない。

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コメント

読んでないので…図書館で立ち読みしてこようかな。

完成予想図が出ると、どんなものが出ても貶す人はいるでしょうし、変な話ですが、全く同じものを再建してもやっぱり貶されるような気がします…というのは、私自身、京都や奈良で修復されたばっかりのまっかっかな鳥居や五重塔なんかを見ると凄い違和感を感じるからなんですけど。
まず、古くないといけない、みたいな感情がある…
外観そのままで中身だけ新しくせよ…というのにも限界があるし、そのまま保存せよとなったら、劇場ではなくて資料館にでもするしかないと思うんですよね。

初めて金丸座に行った時は感激しましたけど、毎月あそこで観劇するのはきついなって思います・笑

投稿: 猫並 | 2009.02.10 08:44

猫並さま
若干フライング気味に書いたので、確か本日発売、芥川賞掲載の号です。
「消えゆくもの」商売に関しては、自分でも歌舞伎座に限らず乗っちゃてるなぁと思うんですよ。「なくなる」と聞くまでは見向きもせずに、最後というからワーっとなっちゃう。そんなに好きなのか? それなら今まで何を自分はしてきたのか?みたいな・・・。
まあねー、歌舞伎座も古けりゃ古いで、エレベーターがないなんて、とか様々言ってましたし、万人が納得するようなことはありえないでしょう。が、ここまでの経緯とかも(経済情勢もある)、ぴっとした筋道が見えないよー、とは思ってます。

投稿: きびだんご | 2009.02.10 09:53

何気なく新聞を見ていたら、『文藝春秋」中野翠「歌舞伎座取壊し 私は許せない」が目にはいって

だれも歌舞伎座のこと言わないなぁと思っていたので、中野さんが口火を切ったんたんだぁと、思っていた所でした

基本的になんでも壊さないでよの立場を頑固に貫いてしまう方なのですが、建築・都市の人々からの残したい論は正否は別にして、ちっとも力にならなくて、連戦連敗が続くものだから、中野さんならどんな風に言うのかなぁ、強い味方が現れたのかなぁと言う興味から、どこかで文芸春秋のぞいてみようと思っていた所でした

投稿: ひろゆき | 2009.02.10 13:46

ひろゆきさま
ひろゆきさんはお仕事として、建築物とかその保存、景観などを考えてらっしゃると思うんですが、歌舞伎座に関しても、とうぜん今の姿を残してよ、なのですよね。
そう言われれば、建て替えとか完成予想図に対する専門家のコメントは、何も聞こえてこないんでした。中野さんも、歌舞伎の評論家たちが沈黙しているとは言ってらっしゃいます。

投稿: きびだんご | 2009.02.10 20:15

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