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2009.07.21

練り上げられた構成、演出の「テンペスト」

7月20日(月・祝) 「りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ第六弾 テンペスト」 14:00~ 於・銕仙会能楽研修所

作/W・シェイクスピア 翻訳/松岡和子 構成・演出/栗田芳宏 出演/栗田芳宏(プロスペロー)、廣田高志(アントーニオ/ステファノー)、山賀晴代(ミランダ)、津村禮次郎(エアリアル)ほか

 前回、劇場版の「冬物語」がとても面白かったので、能楽堂で演じられるのならぜひ見なくちゃ、と。・・・それはいいんだけど、ついチケットを買い損ねていて(全席自由ならいつでもいいなと思ってボンヤリしてた)、あらら~と思っていたら、「おけぴ」で安く買うことができてラッキー。差額でちょうどパンフレットが買えたのでした。

 銕仙会能楽研修所も中へ入ったのは初めて。実はモダンな感じで見やすいのね。開演の15分ほど前に到着したんだけど、もうかなり一杯になっていて、正面は正座が苦しい場所しかなかった。でも、正面席の後方、左右中央くらい。・・・で、「テンペスト」は見るのも初めてなら、戯曲も読んでないの。わかるかしら、とやや不安もあった。

 しかし、そんな不安は全く杞憂。能楽堂で演じられるにふさわしい「研ぎ澄まされた」構成・演出、そして演技だった。それぞれの発声であれ動きであれ、ゆるぎないとしか言いようがない。ムダとか迷いがない? それが場所ともあいまって、一種のすがすがしさを生んでいるように感じた。いや、見ていて気持ちいいもんだな、と感じたので。

 プロスペローの栗田さんは、最初のなんというか、おどろおどろしい雰囲気(なんたって魔術師だからね)から、ラストの魔術を捨てたおだやかさへの変化が、声だけで伝わってきた。観世流の能楽師である津村さんの存在感(言葉は発しない)と、言葉を担う4人(のエアリアル)という演出が見事(最初はちょっとわかんなかったけど)。ミランダ(プロスペローの娘)の、高貴で無垢な雰囲気、キャリバン(奇形の奴隷)のいかがわしさ愚鈍さなんかも印象的。

 衣裳も素敵だったなー。そうそう、登場人物の中では、存在としてのエアリアルとファーディナンド(ナポリ王の息子)が面をつけていたっけ。

 様々な葛藤を経て、やがて孤島から魔術を捨てて生身の人間としてミラノに帰る、その姿の中に、現代へのメッセージを強く感じたのだった。

 このシリーズにおいて、実際に能楽師が出演するのは初めてという。また能管と大鼓がエアリアルの存在に美しいハーモニーとなっていたように思う。

 今月、文楽劇場で「テンペスト」が上演されていて(「天変斯止嵐后晴--てんぺすと あらしのちはれ」)、それが見られないのは残念だけど、9月には東京でも上演されるとのことで、これまた楽しみ。

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コメント

りゅーとぴあの能楽堂シリーズ、植本潤や笑也が出たオセローや右近と笑也のマクベスなどがとてもよかったので気に入ってたんですが、ここ2回、どうしても予定があわせられずに見送っております。
うーん、感想を伺うと、見送ったのがとても残念ですー
無理すればよかったなー

投稿: 猫並 | 2009.07.22 01:01

猫並さま
銕仙会能楽研修所の適度な広さ(狭さ)や質感も、すごくマッチしてたように思います。なにぶん、能楽堂でこのシリーズを見ること自体が初めてなので、比較はできませんが。
能楽師出演ということで、見た目、「和」のミックス?なんて想像していたら、津村さんは白いフワフワのドレスで、むしろ他の貴族たちの衣裳に「和」のテイストがあったりして。
また次もあるでしょうから見てみたいと思ってます。猫並さんも、そのときはぜひ!!

投稿: きびだんご | 2009.07.22 02:02

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