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2009.09.03

演劇の魅力(魔力)を、実感

9月1日(火) 「ザ・ダイバー」 19:00~ 於・東京芸術劇場 小ホール1

作・演出/野田秀樹 出演/大竹しのぶ(女)、渡辺いっけい(警部/頭中将)、北村有起哉(検察官/源氏)、野田秀樹(精神科医) 囃子方/田中傳左衛門(囃子)、増田桂一(笛)

 やや疲れ気味の身体をひきずって、池袋に行った。席はM列の中央・・・これは後ろから2列目なんだけれど、小さい会場だし、席はどこでもいいです、という感じ。そもそも復活チケットだから贅沢は言わない。じっさい遠いことは遠いけど、傾斜がかなりあって見やすかった。今回、お囃子は舞台上手で(ロンドン・バージョンでは下手だったよね?)、そちらはあまりよく見えなかった・・・。

 ストーリーはまだ記憶に新しい。だけど細部は当然ながら、かなり違うんだと思う。なので、これはこれとして、特に役者さんを比較するという意識も起こらずに見た。でも時々、ああとロンドン・バージョンを反芻している自分に気づく、というところ。

 今回は、能「海士」に依った部分は、私自身が少しイメージを持つことができていたからか、自然に感傷的に見てしまい、そんな自分に驚いてしまった。別にウルッとくるわけじゃないんだけど、「母」に寄り添う気持ち、というか。

 出演者は、先にロンドン・バージョンを見ていたせいで(たぶん)、脂っぽさをあまり感じなかった。特に源氏(検察官)がね。たとえば不倫関係におちいるときに、ロンドン:パワーでぐいぐい、日本:ちょっとした言葉や気配りで、という感じかなー。で、ユキヤくんもとてもよかった。演技の幅が広くて、これからも楽しみな存在。そうそう、ピザ(に見立てたもの)の食べ方がダイナミックで思わず笑ってしまった。今回は彼が舞台上手の前で、下手に顔を向けて食べてたのでよーく見えたのよ(ロンドン版では、そういう向きではなかったと思う)。

 大竹しのぶも、さすが。ある意味、想像通りではある。ただ、感情MAXで声を張り上げる時の台詞回しが、どんな芝居でも同じような気もするんだよね。それが苦手だからなんだけど。この役、田中裕子で見てみたいな。渡辺いっけいは「雨夜の品さだめ」バラエティの司会者では、キラキラの衣装でハジけてましたワ。アドリブっぽい台詞もあるし。あぁ、この時、ロンドン版だとTVを見ている設定の女と観察している精神科医にも目が行ったはずなんだけど、今回はそこはすっぽり抜け落ちていた(私が見てなかった)。やっぱりいろいろ派手なんだもん、集中しちゃった。

 野田さんの芝居のもう一つの楽しみは、パンフレットの巻頭言(500円という値段も嬉しい)。今回は「『あなたは誰か?』と聞かれて…」というタイトルで、名前とアイデンティティについて書いている。そう、この「ザ・ダイバー」では「女」という役名しか与えられていない女に、山中ユミの名がある。ロンドン版の時、You and Me (Forever) とユミという名前、そして人格(の分裂めいたもの)が、ものすごく記憶に残ったのだった。これは英語上演だから、のことで、言葉のマジックのような気がする。

 ところで東京芸術劇場は中ホールも小ホールも(大ホールは忘れた)、それぞれの椅子に書いてある座席番号が見づらい。いざ席に着こうとして、??な人、多数。そのわりに案内の人がいない時も多くて、ちょっとうっとうしいというか。小さいところから、でも観客にやさしく、改善していってほしいな。

 

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コメント

おお、もうダイバーやってたんですか!
自分が観に行かないと決めた時点ですっかり頭から抜けて、秋…としか覚えてなかったので、まだずっと先のことだと思ってました。
大竹しのぶ…うん、なんか、別に、嫌いじゃないんだけども、桜姫が意外にイマイチだったこともあり、またそのあとの鵺の田中裕子がよかったことも記憶に新しいので、想像がつく気がします。というか、あっさり諦めがついたのは大竹しのぶのせいだもん(爆)

感想を拝見して惜しく感じるのは…ゆきやくんを観なかったこと、かなー

投稿: 猫並 | 2009.09.03 12:57

猫並さま
そうです! いつの間にか始まってるんですよん。
ユキヤくん、またすぐに別の舞台に出ることでしょう。ほんといろんな役にチャレンジしていってほしいです。
結局、書こうと思ってた感想がなかなか文章にできなかったりするんだけど、疲れを感じたときこそ舞台を見て元気になって(覚醒して)、しばらく見ないと禁断症状が出たりして(笑)そんなこんなで、抜けられないのかな。ま、身体はやせず財布がやせるだけ
来年の夏と秋、東京芸術劇場で野田の新作をやるようです。

投稿: きびだんご | 2009.09.03 22:43

きびだんごさま
「ザ・ダイバー」のご感想、興味深く読ませていただきました。
まさしく、演劇の魅力、魔力を実感する、これぞ演劇、
という舞台でしたね。
きびだんごさんのレポを読んで、ロンドンバージョンを
観なかったことが今さらながら悔やまれてなりません。

大竹しのぶさんは私は今回はOK(「桜姫」はちょっと
ダメだった)のですが、あの役を田中裕子さんというのは
ナルホド!と思いました。観てみたいです。

投稿: スキップ | 2009.09.05 08:44

スキップさま
お互い、見ることができてよかったですネ。
私はコクーンで「赤鬼」が上演された時に、日本バージョンしか見なかったのを深く後悔して、それ以後は、言葉がわからなくたってなんだって、見ることにしたのです。
ロンドン・バージョンでの予備知識があった分だけ、うちふるえ方が少なかったのかもしれません。こんな作品を書き、演出し、出演までしちゃう野田秀樹の凄さもほんと感じてしまいました。
大竹しのぶ、よかったとは思うんですよ。ふっと、「大竹しのぶだもんね」と思っちゃう部分が、ちょっとだけ・・・。
お能と同じように一度だけ静かに拍手して終わり、余韻に浸ってもよかったかな、と思います。

投稿: きびだんご | 2009.09.06 00:21

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