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2009.09.05

充実の「ござる乃座」

9月4日(金) 「狂言ござる乃座 42nd」 19:00~ 於・国立能楽堂

蝸牛」萬斎(山伏)、遼太(主)、裕基(太郎冠者)--休憩--「月見座頭」萬斎(座頭)、石田幸雄(上京の者) 「附子」万作(太郎冠者)、深田博治(主)、万之介(次郎冠者) (中正面6列左より)

 いつもながら、ござる乃座(と、万作を観る会)は、演目の構成が素晴らしいと思う。今回はまず「蝸牛」の他愛ない、荒唐無稽のような笑い。「月見座頭」ではガラリ趣が変わって、秋らしい澄んだ季節感と、それと裏腹の人間の内面を見つめ深く黒く沈んでいくラスト・・・。最後の「附子」はもう、万作・万之介コンビ最高!! 1日の「ザ・ダイバー」に引き続き、観た時の思いを大事にしたいな、と思える舞台だった。

 裕基くんを初めて見てから、はや何年? 凛々しい少年はもはや「あら可愛い」となごませるような存在ではなく(それは勿論あるけど)、声にも動きにも、次の段階なのね、と思わせるものが。そもそも「蝸牛」ってのは奇想天外な上に、囃子物でウキウキしちゃう楽しさがあるけど、子どもが演じることでそれが余計に強まるような。 パンフレットに萬斎さんが書かれているところによると、今月末にイタリアでも同じ配役で演じるのだそう(ゆえに今回の「ござる」はイタリア公演に向けての「プレ公演」という意気込みもある、と)。

 「月見座頭」は世田谷パブリックシアターの狂言劇場で見た記憶がかなり鮮明。・・・だけれども、演劇的な趣向が全くない能楽堂の方が、よりイメージを喚起する気がした。そのイメージは当然、狂言劇場で見たものに依っているのだけれど。
 結末を知っているから、というのも大きいかもしれない。特に今回は、月を愛でての酒宴で、上京の男が舞うときの「よしの葉」の明るい楽しさと、その後に座頭が舞う「景清」の、謡の落差に愕然。不穏な空気(気持ち)はここで生まれたのか、みたいな。

 普通の演劇の舞台(オムニバス形式などの)なら、ここでお開きとなっても、観客はそれぞれの思いを抱えて劇場を後にして、はぁぁ・・・と月を見上げるかもしれない。が、狂言は狂言らしく、最後は「附子」で大笑い。狂言=「附子」と刷り込まれていたような(教科書のせいね)有名な曲でありながら、最近まで見たこともなかった私。今回は、太郎冠者と次郎冠者のキャラクターの違いなんかも、より楽しくて笑った笑った。教科書で読んだ「附子」は太郎冠者だけだったよね??
 万之介さんの次郎冠者がまた、逃げ足は速いし(笑)、理屈を言っても結局は太郎冠者の言う通りにしちゃうあたり、いかにも、という雰囲気。万作さんはといえば、好奇心いっぱいの太郎冠者を生き生きと。壺の方へ風を送るときの扇の動かし方がダイナミックで、ほれぼれしちゃった。

 来月の東西狂言の会(三鷹)、万作家は「蝸牛」と「附子」だということを客席に座ってからやっと気づいた。いや、知らなかったというのではなくて、それぞれ別に考えていて座ってからやっと、あっ、そうだった、と。←いつものこと。それこそ同じ演目を違う配役で見る楽しみが待っている、ということだわね。

 毎年、ファンクラブ(よいやよいや)の更新はしなくていいかな、なんて思う頃に「ござる」と「万作を観る会」があるもんだから、やっぱり「ついていきます」になっちゃうんだなー。

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能・狂言」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
私は今日(5日)行って参りました。久しぶりに見る裕基くんの成長ぶりにびっくり。最初の頃は、後見が台詞(と言ってよいのかしら)のとっかかりを教えてあげてたのになぁ、なんて思いながら見ておりました。遼太くんはもう立派な狂言師ですね(^-^)。
「月見座頭」は新宿狂言で見た記憶が。なので能楽堂で見たのは私も初めてでした。後半というか終わりの部分は本当に悲しくなりました。上京の者に座頭がころがされるところで、勢いあまって杖が舞台から落ちてしまいました!すぐに後見の月崎さんが立ち上がり、切戸口へ下がり、代りの杖を持ってらして舞台の正先(今調べました(^_^;)に置かれました。
落ちた杖は、というと「附子」の後見の竹山くん(どうしてもこう呼びたくなってしまう)が最後に撤収(笑)していかれました。すべてさりげなく、でした。
それにしても野村ブラザースは最強ですね。
11月の万之助狂言の会も行こうかしらん、のからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2009.09.05 22:58

からつぎさま こんばんは。
土曜日の客席は、より華やかだったでしょうか。
裕基くんの成長には、ほんと目をみはるものがありますよね。私も、最初に小舞を見たとき、扇子がものすごく巨大にみえたことなどなど、思い出してしまいました。月日がたつのははやい
「川上」を最初に見た時も、ちょっとショックでしたけど、「月見座頭」はまた違う重さがありますよね。今もしみじみ思い返しています。杖のアクシデントとフォロー。なるほど!!
そして、附子。次郎冠者の万之介さんの可愛らしさな、なんなのでしょう。
演目&配役の妙、堪能でしたねー。

投稿: きびだんご | 2009.09.06 00:40

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