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2009.11.22

ベルリンの壁崩壊から20年:舞台上で壁を作り続ける

11月20日(金) 「エドワード・ボンドのリア」 19:00~ 於・シアタートラム

作/エドワード・ボンド 翻訳/小宮山智津子 演出/白井晃 音楽/朝比奈尚行 出演/串田和美(リア)、緒川たまき(墓掘の息子の妻(コーディリア)ほか)、久世星佳(ボディス、農夫の妻ほか)、村岡希美(フォンタネル、スーザンほか)、水橋研二(墓掘の息子、亡霊ほか)、アサヒ7オユキ(老議員、囚人ほか)ほか

 串田和美と白井晃のプロジェクト4作目。(順番らしく)今回は白井さんの演出で串田さんが主役。私は第1作を見ていないが、あとは見ている。なにがなんでも見よう、とかいうことではなくて、トラムの小さな空間で彼らの空気に触れられたら・・・というところだった。初日観劇だったのはたまたま。

 題名から、どうやら「リア王」をモチーフにしたもの?というくらいで、ほぼ予備知識なし。女優さんが3人出るからこの3人が姉妹?と思ったら違ってた。久世さんと村岡さんが王様であるリアの娘。

 客席は、舞台に向かういつもの席のほかに、舞台横、左右に2列ずつ作られていて、私はその右サイドの1列目。目の前を役者さんがしょっちゅう通っていく。

 タイトルに「ベルリンの壁」としたのは、前日にBSでドキュメンタリー「旧東ドイツ激動の日々」という壁崩壊の前後のことを見たばかりで、お芝居でも「壁」そのもの(敵の侵入を防ぐ物として)が出てきたから。作者エドワード・ボンド(イギリス人)がこれを作ったのが1971年だから、まさに壁が存在した冷戦の時代。偶然に見たテレビとはいえ、どうしたって考えないわけにはいかない。

 独裁的な王様・リアは壁の建設を急がせていて、作業員の命よりも何よりも「壁」の完成が大事。しかし娘たちは、リアが「敵」と見なす2人の男と結婚することを告げて、父親との間に戦いが起きる(でも姉妹も仲がいいわけではない。1人の男をめぐるさや当ては「リア王」での姉ふたりとエドマンドを思い出させる)。

 姉妹は王に勝つけれども、勝利は一瞬でしかなく、さらに権力を持つ者が現れる。権力者はそれぞれ壁を完成させようとする。この戦いの過程で、囚われたリアは(人体実験のように)目をえぐられるし、妹娘の死体も医者により傷つけられる。いろいろ想像するものはある・・・。

 老いて盲目となったリアは、優しい家族に面倒を見て貰いながら、村人たちに対する語り部となっている(ここで、桜姫・南米版で十字架を背負ってあるいていた白井さんを想起)。最後に、今の壁を壊しに行ったリアを殺させたのは、かつて最初にリアをかくまった墓掘の妻、かつては弱々しかったが今は権力者となった彼女だった・・・戦いや残虐さの描写よりも、その連鎖が重い。

 串田さんが、台詞も他の人たちの何十倍?という感じで、10分+5分の休憩を加えて2時間40分を疾走。このキャパだからできる生の音(壁を作る現場で労働者が金属を叩く音など)、言葉、表現・・・全てがゴツゴツとリアルな感覚で迫ってきたのだった。

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