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2009.12.31

生誕百年の作家の「自画像」

 今年2009年は「生誕百年の作家」の当たり年、だったそうで。特に話題になったのは、太宰治と松本清張かしら。1909年は元号でいえば明治43年。ほんとに明治も末期で、翌年には大逆事件、韓国併合・・・そして大正デモクラシーを経て・・・満州事変(1931年)から日中戦争へ至る道に、青春時代という感じかなぁ。

 そんな作家たちの一人に中島敦がいる。「山月記」を残し33歳で没した作家。きまじめそうな写真と漢文イメージが、そのまま今に伝わっているのだと思う。今年縁あって「山月記」の全文(短いよ)を読む機会があって、改めてその若さと自負心と屈折と・・・さまざま思い描くことになった。

 全集には彼の描いた「自画像」が載っていて、その「痛ましく思えるほどの叫び」(と私には思えた)が、画家・高島野十郎(1890~1975)の若き日の自画像とそのままつながっていった。それはあのちょっととりすましたふうな中島のイメージとはまったくかけはなれていたものだった。
 最近、テレビ東京「美の巨人たち」で小出楢重の自画像を見たけど、見た目だけからは、中島・高島と全く対極にあるものだった。全くの偏見と思うが、小出の自画像にある「満たされた」部分が、彼らには見事に欠落しているようだから。

 ま、「山月記」のイメージのみを彼の「自画像」を重ねた、というだけの気もするけれど、それが一般的なイメージではないかしら。

 ところで、世田谷パブリックシアターで「敦 山月記・名人伝」が上演された時のパンフレットで、この中島敦が義父よりわずか2歳年上なだけ、ということに気がついたのだった。同じ旧制一高に通っていたので、どこかですれちがったこともあったのかしら?? 義父は一高在学中に店を継いでいた兄が亡くなったため、進学せずに商店主となり、その後、長らく戦地に行っていた。戦後は陽気な下町の商店主として、まぁ平和に生きた、と言えるけれど、たまーにドイツ語が出たりするとちょっとだけ「下町のインテリ」の側面を感じた。
 やはり思う通りにはいかない人生だったのではないか、と思うこともある。でも長生きできて家族にも恵まれたのだから、それはそれで幸せな一生だったに違いない。可愛いお嫁さん(私だよっ)も来たことだし。

 と、年の暮れに、義父と今年亡くなった義母のことを思い出したりして、静かに2009年を送ることになったのでした。

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コメント

「山月記」!! 高校の国語の教科書に載っていて、当時の私には難解だったことを懐かしく思い出しました。
お義父さまが中島敦と同じ一高生、そして息子さんは野田秀樹のおとうさんの没年に誕生された(同じ名前だし!)…かわいいお嫁さんは文学にかかわりが深い運命(?)をおもちだったんですね

今年も1年ありがとうございました!! 来年もきびだんご劇場を楽しみにしております。

投稿: SwingingFujisan | 2009.12.31 21:54

SwingingFujisanさま
年の瀬、穏やかな日々で、朝夕、富士山が美しく見える日も多かったですね。
「山月記」といえば、我々には「教科書で読んだ!」だけですよねぇ。読まされていた頃には気づかなかったことがいっぱいありました(むしろ高校生にはちょと無縁の感情かも)。
中島敦と義父が年も近いことに気がついてから、どうもセットで思い出してしまうんですよ。年が明けるとそろそろ十三回忌です。
いま、うちの鉄っちゃん息子は、終夜運転の電車に乗るためだけに、出かけて行きました。ま、好きなことは誰がなんと言おうと続いていくもののようですね。それが演劇だったり文学だったり、鉄っちゃんの道だったり・・・
こちらこそ、今年1年ありがとうございました。アツイ柔軟な「Swing」を見習って、来年も楽しく過ごしたいです。

投稿: きびだんご | 2009.12.31 23:04

今年は思いがけずお目に掛かれて感激致しました。
ブログを通してやり取りをしていても、実際にお会いすることができるケースは少ないのではないかしら。
初対面の時はいつも緊張してしまうため、何だかいつもの私とは違う様子だったなぁと、思い出すとチョット恥ずかしくなります。
またお目に掛かれる機会がありますように・・
どうぞ良いお年をお迎えください。

投稿: 尚花 | 2009.12.31 23:55

尚花さま
こちらこそ、お目にかかれてとても嬉しかったです。
お喋りしていた時間が、ほんとあっという間に過ぎてしまい、夢じゃなかったのか、と思うくらいです。
国立劇場では一日違いの観劇になりそうですが、いずれまた近いうちに・・・楽しみにしています。
(日付が変わりました)
今年もいっぱい楽しいことに出会えますように。どうぞよろしくお願いします。

投稿: きびだんご | 2010.01.01 00:54

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