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2010.03.14

「ゴミ」こそ重要(!?)な、「マクベス」

3月13日(土) 「マクベス」 (友の会貸切公演=抽選会、野村萬斎トークつき) 17:00~ 於・世田谷パブリックシアター

作/W・シェイクスピア 訳/河合祥一郎 構成・演出/野村萬斎 出演/野村萬斎、秋山菜津子、高田恵篤、福士惠二、小林桂太

 ちょうど1年半ほど前に、萬斎さん演出による上演の前段階としての「ドラマ・リーディング」があった(その時の記事はこちら)。私は、もっと大勢出演する中のメイン5人によるリーディングと思っていたのだけれど、じっさいにこの5人しか登場しないのである。「マクベス」をたった5人で、とは思わなかったなぁ。正直、リーディングはほんとおぼろにしか覚えていない。でも、骨格はあの時すでに決まっていたのねー。それに様々、肉付けし、そぎ落として、ここに至る、というわけか。

 貸切公演だから、席はこちらで選べない。当選後、代金を払い込んで送られてきたチケットを見たら、1階F列9、10(前から4~5列め)。おお、絶対に行きますとも。・・・だったのではあるが、ちょっと前すぎて、舞台の前面、足元あたりが、よく見えてなかった。中央のドームの周りをぐるぐるするベルトコンベアの辺がね。

 見ているときによくわかってなかった部分が、萬斎さんのトークによってずいぶん補完された、というところはある(そのことがいいかどうかは、さておいて)。現代の弱肉強食、消費社会のなれのはての「ひずみ」の中から生まれた「悪意」の表象としての「魔女」。おどろおどろしい妖怪のような従来の魔女ではなくて。そして、舞台の中央にデンとあるドームは地球。ゴミが堆積している。あちこちにほころびが見える・・・。もちろん、それだけではなくて、むしろ私には途中から、「壊れていく(自らが壊していく)マクベス自身の脳」を、より強く感じた。

 実は、春夏秋冬がぐるっと一回りしたんだけど、そこにもあまり意識が行ってなかったなぁ。どうもひたすらストーリーにとらわれてしまった。どんな風に魔女が予言するのか、王の亡霊はどう表現されるのか、バーナムの森が動くのは?? などの表現方法に、気持ちが行ってしまった気がする。それと魔女3人が、他のたくさんの役をするわけで、時に、えっ、これは誰?みたいな感じ。ストーリーの流れの中では、ま、誰であってもよいとも言えるのだけど、でもなんだか、?をかかえたままなのは気持ちが悪くて。

 まず「ゴミありき」なので(笑)、マクベスのかぶっていた冠はヘルメットの内側、王様のは五徳とのこと。そうそう、萬斎さんの衣裳がなんとなくカフェのギャルソンのように思えてしまったのでした。

 今回も秋山菜津子の上手さを実感。また、マクベス夫人みたいな役がイメージ的にもピッタリなんだけども。ほかに演技の上で記憶に残ってるのは、晩餐会の場に現れる王の亡霊。この動きはどうも受け入れがたいなぁ。現代の「マクベス」への意気込みは充分感じるものの・・・魔女だけを演じる3人がいてもいいと思うし、志に私がついていってないのかもしれない。

 ところで、公演パンフ800円也。開演前に買って、ほとんど読む時間もなく膝の上に置いていて、帰宅してハッと気づいたら持ってなかった!! なんと「不要チラシ」と一緒に劇場のチラシ入れに捨ててしまってた。翌日あわてて電話したら、無事に救出されてて、やれやれ。ゴミじゃないものをゴミにしてしまっては、全く今回の「マクベス」の意図に反するのではありますまいか。お粗末の巻。

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コメント

東京の日々を有意義に過ごされているようで何よりです(^^) マクベスもご覧になれてよかった!!!
公演パンフをゴミにしちゃったクダリには大笑いしました。

そういえば、10月からのクールでやっていた日テレの深夜ドラマ「傍聴マニア」の録画を今頃見ているのですが(こういうゆる~いドラマは時として良いものなんです)、その何話だかに、秋山さんが出ていてビックリしました。なんか聞いたことある声だなあと思いながら見てはいたのですが、まさかこんなドラマに出るなんて考えてもいなかったから、全然気づかなかった。最後に出演者を見て思わず「えっ」と声を出してしまいました。そして、なんだか得したような気になっちゃった
あんまり関係のないコメントでごめんなさい。

投稿: SwingingFujisan | 2010.03.15 18:15

SwingingFujisanさま
むはは。東京にいる限りはジタバタしても始まらないですから・・・などと言いつつ、あちこちしてます。これは、実家の世話係をやってくれてる姉には、絶対に内緒にしておかねば
マクベスは、とても楽しみにしていたので、見られてほんとによかったです。今月はなんとか無事に過ごせるのではないかと(期待)。
秋山菜津子さん、テレビにご出演だったのですか。知らなかったなー。ちょっとトクした気分だったりして。 

投稿: きびだんご | 2010.03.15 22:14

なるほど…プログラムも買わなかったし、オペラグラスも持っていかなかったので、はっきりゴミ!とは思いませんでした。そうだったのかー

ただ、マクベスとそれ以外っていう配役構成は、マクベスを内側から描いているような面白さがあって、魔女のありようがいつもよりすごく悪意に満ちて感じられたから面白かったです。

そして!今思うと、だったらマクベス以外だけど他と兼用じゃなかったマクベス夫人って、もしかしたらマクベスの鏡なの?!と思いついたりして。うーん。深いです。

投稿: 猫並 | 2010.03.15 22:28

猫並さま
トークを聞いて、えっ、そうだったのというのが多くて・・・。聞いてよかった、と思う反面、意図が充分伝わっていないうらみも。
マクベスが魔女たちに「ばんざいマクベス~」と呼びかけられる場面は、言っちゃえば「メイドカフェ」だな、とのことで、実際にスタッフと秋葉原へ行ったんですって。再演があるなら、どこかで使うかも(でもハヤリすたりがあるか)。

なるほど、マクベス夫人は鏡! それはあの舞台の形状からもイメージされるものかしら。今回は狂言の様式を殆ど使ってないけれど、そういう「そこにない物を喚起する」ことが、能狂言のあり方とすれば、猫並さんは、しかと受け止めたのでは・・・。

投稿: きびだんご | 2010.03.16 00:20

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