« サッカーボール!? | トップページ | 地元書店で買った雑誌 »

2010.06.26

シアタートラムという空間ごと、二人芝居を堪能

6月25日(金) 「アット・ホーム・アット・ザ・ズー」 19:00~ 於・シアタートラム

作/エドワード・オルビー 演出/千葉哲也 翻訳/徐賀世子 美術/松井るみ 照明/笠原俊幸 ほか
第1幕「ホームライフ」堤真一(ピーター)、小泉今日子(アン) 第2幕「動物園物語」堤真一(ピーター)、大森南朋(ジェリー)

 いやはや。この3人だけの出演で、シアタートラムで・・・SePT(パブリックシアター)会員になっていてよかった、と心から思うよ。といっても、抽選ではあったのだけれど、上乗せ料金は全くかからなかった。しかも、3列目のほぼ中央! これはシス・カンパニーの企画製作で、同じパブリックシアター/トラムで上演しても以前はものすごくハードルが高かったことを思うと、風向きが変わってきたことを実感する。20分ほど前に到着したら、当日券を求める人(?)の長蛇の列が。最終的に、左右の壁沿いにも立ち見の人がぎっしり。女子率きわめて高し、というところ。そうそう舞台の左右にも3列ずつほど、観客席が作ってあった。

 私は「堤真一の舞台を見に行く」という意識だけだったもので、席についたとたんに、しまった!たぶん私の苦手な類の話だよね、と。早く気がつけ? 苦手な類というのは、つまり観念的な台詞の応酬のような、ということで。

 第1幕は、ニューヨークのアッパー・イーストサイドに暮らすピーターとアンの家(リビングルーム)。ピーターは教科書を出版する会社の役員で、妻と娘2人の、満ち足りた生活を送っている。少なくともピーターはそうなんだけど、アンの方は違う。「このままでいいのか」というモヤモヤを抱えているのに、そういう気持ちが夫に全く伝わらないことにいらだち、いろいろ議論めいたものをふっかける(というか、突飛なことを言ってみたりする)。もっぱら、喋るのは妻の方で、妻の言葉に誘導されたかのように、過去のことなんかも思い出すピーター。

 きわどい(性的な)会話があったりもして、でも重苦しくはなく、わりと笑ったなぁ。舞台に置いてあるのはソファとテーブルと、動物のオブジェ(椅子?)、そしてテーブルの上の小物。この物たちの使い方がまた秀逸。そして秀逸といえば、第1幕から第2幕への場面転換が、素晴らしい(そもそも、開演時には舞台の中央はちょうど歌舞伎のセリのように横長の穴が空いていて、そこへソファに腰掛けた状態で堤ピーターがせり上がってくるのだ)。いやはや、あえて美術、照明のお名前も記したように、影の使い方も印象的。

 そして第2幕は、この家から散歩がてら出かけた公園で(休日にはいつもこのベンチで本を読む)、ピーターは見知らぬ男、ジェリーに出会う。というか、一方的につきまとわれ、相手したくないのに、話を聞かされる。「動物園に行ってきたんですよ」でも、動物園でどうだったか、ということとは無関係に、どうやって行ったか、どんな所に住んでいるか、アパートの他の住人は・・・ピーターには何の関係もない、聞きたくもないような話なのに、つい巻き込まれてる。だけど、話はだんだん暴力的になってくるんだ。気にくわない大家の犬を殺す、とかという話題で。そして、えっという結末が待っていて、この第2部はずいぶん昔に作られたらしいのに、すごく現代的な感じがある。

 ここでも、堤ピーターは聞き役。妻との会話よりももっと口をさしはさめない反応しようのない内容なので、ほぼ一方的に大森ジェリーが喋る。さすがにこのあたり重苦しさを感じる。だけど、第1部でもそうだったように、短い言葉で、あるいは表情で、動きで、その言葉を受ける堤真一の存在感は圧倒的だった。と同時に、3人の役者のバランスがいいというのか、「人」を得て、面白さが増しているのかも、と思ったのだった。

|

« サッカーボール!? | トップページ | 地元書店で買った雑誌 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

きびだんごさま
1日違いの観劇だったようですね。
私は諸事情により(笑)、あまり完璧に観たとは言えませんので、「そうそう」とか、「へぇ!そうだったの」とか思いながら、きびだんごさまのレビューを楽しく拝読いたしました。

あの1幕から2幕への舞台転換、本当にステキでしたね。
そうそう、おっしゃる通り、1幕の登場からしてカッコよかったのでした。
そして、やはり私も堤真一さんの物言わぬ存在感というか、黙した演技に見惚れました。
キョンキョン、大森さんとのバランスもとてもよかったですね。

投稿: スキップ | 2010.07.05 01:01

スキップさま
レスが遅くなってごめんなさい。無事復旧、ふーっ。
私はこういうチケットの取りにくそうなお芝居は特に平日狙いなので、なかなか劇場でご一緒する機会はないかもしれません。でも、「一日違いだったのね~」というのも、なんかホワッと嬉しいです。
小泉今日子は同じシアタートラムで「楽屋」も見ましたが、このくらいのサイズにちょうどいい感じなのかも・・・。一緒に行った友人が「堤に比べて顔ちっちゃ!!」と言ったので、いやいや渡辺えりと並んだ時の方がもっとだったよ、なんて。

遠征の時にはあれ見てこれ見て、あそこで食べて・・・と欲張りますよね。せっかくなんですもの、貪欲にならなきゃ。お互いにバシバシ働いて元気に、観劇を楽しみましょうね。

投稿: きびだんご | 2010.07.06 23:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« サッカーボール!? | トップページ | 地元書店で買った雑誌 »