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2010.07.10

想像力が見せるのは、虫か人間か?

7月9日(金) 「変身」 19:30~ 於・シアターイワト

原作/フランツ・カフカ 構成・演出/松本修 出演/中田春介(グレーゴル・ザムザ)、小嶋尚樹(父)、石井ひとみ(母)、山田美佳(妹グレーテ)、高田恵篤(女中アンナ/手伝い婆さん)ほか

 機会があればできるだけ見たいと思っている演出家がMODEの松本修氏。今回はカフカ「変身」ということで(再演だが初見)、楽しみに待っていた。牛込神楽坂のシアターイワトには何度か行ったことがあるけど、とても小さい会場で、その狭いスペースの半分以上は舞台なのでは?? そしてなぜか最前列真ん中に座る私(けっこう階段状になってるからもっと後ろの方がいいとは思う)。

 舞台の上には、ベッドと小さな机、長いす、箪笥(どれも木製)。そして木のドア・・・と思ったら、このドアが紗幕になっていて向こうに立つ人の姿が見える仕掛け。このドアが、グレーゴルの部屋と、家族がそろうダイニングを隔てる。

 オープニングの暗転から明けると、ベッドに人が寝ている。これがグレーゴルね、いきなりあの「朝」なの?と思ったら、そうではなくて、手足が何本も、ニョキッ。3人が連結して部屋中を這い、そこへセールスからこの部屋の主が帰ってくる。・・・そして、朝。

 グレーゴルは最後までずっと眠りについた時のパジャマ姿のまま。だけど家族には、普通に喋る彼の声は獣のうなりのようにしか聞こえないし、おぞましい姿にしか見えない。それでも最初は、何を食べるかしら・・・と、いろいろ持ってきてくれていた妹(好きだった牛乳は変な味に思え、むしろ腐った葱やキャベツを美味しいと思う)。それがだんだん、なおざりになっていく。*ほんとに茹でた長ネギ(長いままチュルチュル食べる)や、キャベツ(蒸し焼きみたい)を食べるのが、いかにも「虫」。人間たちの食事シーンは3回あるけど、すべてリズミカルなジェスチャーだけなのと好対照だった。

 グレーゴルという存在は、どうしても、「現在」のことのように思えてしまう。突然、家族には理解不能のモンスターのようになって家に閉じこもる、なんとかしなくちゃ家族だもの・・・だけど、もう限界だ・・・いなくなってくれればいいのよ! だんだん弱っていくグレーゴルが悲しい。

 役者さんたちはみな、不思議な存在感をもっている。ほぼ誰も知らない分、ストレートに役として見ることができた。あっ、最近では萬斎さんの「マクベス」で魔女の一人だった高田さんが、なんと女中と手伝い婆さんの2役でビックリ。気弱で逃げ出しちゃう女中と、なんでも来いのすごい婆さん(結局、死んだグレーゴルを担いで片付けるんだから、ほんとの女性には無理だわね)。

 この作品をもって、今年5~6月にルーマニア(シビウ国際演劇祭)、プラハなど、東欧3カ国(4都市)公演が行われた。そしてこれが、凱旋公演、ということになるのかな。そうは謳ってないけど。秋には「かもめ」(あうるすぽっと)、そして来年2月「マッチ売りの少女(別役実)」が予定されているとのこと。とりあえず、「かもめ」は見たいなー。

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