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2010.12.01

ノンビリ、今日も映画を見る

 「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」 10:50~ 於・下高井戸シネマ

Amsmuseum
オランダ/2008年/117分
↑チラシの絵。工事仕様だけど、元の絵はヨハネス・コルネリス・フェルスプロンク「青い服の娘」1641。このセンス

 静かに12月が始まりました。今、ちょっとだけ仕事が暇なので充電中。そもそも手帳には「令嬢ジュリー」と「アントニーとクレオパトラ」を書き込んでいて、時間があれば行こうと思ってた。得チケにも出たっ。
 が・・・時間はあるけど、どうもエネルギーがなくて(というよりも、家族持ちとしては夕飯作りを普通にしようという気分が大で)、おとなしく、昼間活動してます。「アントニー~」は今日がソワレで、明日あさってはマチネなのが痛いのよ。

 で、本日1000円で見られる映画にいざ

 ぜーんぜん旅行なんてできないけど、オランダは行きたい所の上位にはくるかな。え? フェルメールの旅、とかね。でも、アムステルダム国立美術館は、長い長い改装期間中でして(限られたものは見られるらしい)。だから、フェルメールやレンブラントが日本にも来てるのか。
 その改築計画をめぐる舞台裏が、あからさまに映し出されるドキュメンタリー。そもそも、こんな映画を作ろうとしたわけではなくて、改築の記録として撮り始めたら、ちっとも進まずに、こんな「てんやわんや」物語になった(しちゃった)。日本では考えられないねー。

 映画は、重機で建物内部を壊している様子と、それを見学するおエライさんのシーンから。どうやら、それは2004年だったらしい。・・・が、建築計画には様々な問題が起こり(サイクリストからの反対、地元住民の意見などなど)、なかなか進まない。完成予定も遅れに遅れ、今のところ2013年とか。

 最初に「反対勢力」として出てくるのは、美術館を、(南北に貫く)通路として使っているサイクリスト。そういえば、サッカー・ワールドカップのおかげで、対戦相手・オランダの紹介を随分見たけど、自転車王国というのが印象的だったっけ。

 反対が続くと、せっかくコンペに勝った建築家(スペイン人)も、盛り下がりっぱなし。そういう議論の様々なシーンが、こうしてカメラに晒されている。

 いっぽう、美術館内で働く学芸員、美術修復家、あるいは「美術館は自分が守る」という気概の持ち主の警備員などの姿も印象的。常々、私は美術館の「見せるための作品構成」にすごく惹かれるので、「新しい美術館ができた時」を考えている様子が、すごく面白かった。休館中、作品のほとんどを収めている収蔵庫の様子なども。
 また、その中で、辞めていく学芸員もいる。権力争い(館長が辞任して後任選び)もある。たぶん救い(?)は、アジア担当者が、日本から買った金剛力士像を荷ほどきして対面するシーン。惚れ込んだ作品で、ほんとに嬉しそうなんだもん。

 なんとかうまくいきそうだったのに、入札(けっきょく1社だけになったから当然なんだけど)で提示された金額が、予定額よりものすごく高いし・・・ユーロ経済の行方も気がかりだなぁ。

 こんなことになっていたとは、と思いつつ、いや、こんな映画を、黄色ヘルメットを被せた絵も込みで作っちゃうんだから、たいしたもんでないの?などと、明るい気分にもなってしまう。議論を尽くす、過程を公開する、ということの大事さも改めて思うのだった。

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コメント

実に興味深い映画でしたね。苦労はあってもハッピーな改装物語になるはずだったのに、トラブルが次から次へとというのをよく記録しましたよね。
美術館の学芸員ってものすごくプライドが高いらしいけど、そういうのも確かに見えて面白かった。担当大臣とか入札の責任者とか、ダメな人間はどこの国にもいるんだなあというのも (^-^;。
アジアの担当者、少年のように目をキラキラさせていたのが印象的でした。
きびだんご様のご意見どおり、議論を尽くすこと、過程を公開することの大切さを私も思いました。

投稿: SwingingFujisan | 2010.12.02 22:30

SwingingFujisanさま
おはようございます。昨夜、レスしようとPCに向かったものの眠気に勝てず・・・。今SwingingFujisanさまの丁寧なレポを読み返してきましたワ。私はでっかい館長さんのことに触れずじまいでしたが、ほんと彼の存在が強烈でした(で、辞任してもウィーンで優雅な生活かぁ、なんてちょっと反感を持たせる)。
ほんとアジア担当者の「少年のよう」なキラキラした目には、引きつけられました。今どき、あんな目をした人を見たことがない、というくらい。そして館長レースに敗れた17世紀担当者は・・・タコという名ゆえに覚えてる私
映画を見ながら、そういえば私の役に立たない資格(社会科の高校教諭のみ、とか)の中で、最たるものは学芸員のだな、などと思い出しました。

投稿: きびだんご | 2010.12.03 09:35

おおっ、きびだんご様、そんな資格をお持ちだったのですか!! すっご~い!! ご専門は何ですか? 
今でも色々勉強されているきびだんご様のことは常々尊敬しているんですよ。私なんて考えてみたら何の資格ももっていないなあ。もう今から勉強する気力も体力もないし…。

そうそう、タコさん。厳しい現実はお気の毒でした。ずいぶん落ち込んでいましたけれど、立ち直ってほっとしました。
館長ってあれだけ強力でないと大きな美術館を引っ張っていけないのかもしれないですね。ま、結局仕事投げ出しちゃったわけだけど。でもああいう人って、ウィーンでの優雅な生活に満足するのかなあ。しばらく休んだら又何か活動したくなるんじゃないか、なんてチラッと思いました。

投稿: SwingingFujisan | 2010.12.05 13:28

SwingingFujisanさま
むはははは。つい先日も夕食の時に「向学心に燃えていた時があった」などという話題に・・・。長続きしないんです。身近に研究者がいるのでよけいに思うのですが、「執念深く追究する」というのが見事に欠けてますです。その分、あれこれ気が多いの!!
実は私はウスボンヤリ大学に6年も通ったので、さすがに何か資格を取ったと親にアピールしなきゃマズイと思って、教員とか学芸員の単位だけは取ったのですよ。もちろん、見せかけだけなんで、こんなことでもないと、持ってることすら忘れているのです。

館長さんは、ほんとあれくらいじゃないとダメなんでしょうねぇ。日本でも、たとえばお役人のトップあたりは、ずいぶん叩かれて退職しても、いつのまにかいいポストを手に入れてたりしてる、そんなことをふと思ったのでした。

投稿: きびだんご | 2010.12.06 00:13

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