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2011.02.10

4時間の上演時間は、ちっとも長くなかった

2月8日(火) 「浮標 ぶい」 18:30~ 於・吉祥寺シアター

葛河思潮社 第1回公演
作/三好十郎 演出/長塚圭史 出演/田中哲司(久我五郎)、藤谷美紀(美緒)、佐藤直子(小母さん)、大森南朋(赤井源一郎)、安藤聖(伊佐子)、峯村リエ(お貞)、江口のりこ(恵子)、遠山悠介(利男)、長塚圭史(比企正文)、中村ゆり(京子)、山本剛史(尾崎謙)、深貝大輔(裏天さん)

 1時間半の公演時間でもグッタリ疲れるお芝居もあるけど、これは「覚悟」が肩すかしになったほど、時間の長さを感じなかった。6時半開演で、2回の10分休憩を挟み、10時半くらいまで(劇場掲出のタイムテーブルは22:22となってたっけ)。シンプルな舞台に、ちょっとした効果音(波音など)の他はほぼ台詞のみ。人工的な音が少ない分、後半に2度、アカペラで歌われる(流れる)「帰れソレントへ」(by京子)が、ほんと心にしみ入るようでした。

 各列はかなり階段状だから、前に大きな人が座ってもさほど苦にならないと思うし、小劇場によくある椅子にもクッションが載ってて、最後まで「お尻が痛い」ってこともなかった。2回休憩というのもよかったのかな。ただし、こういう静かな舞台だから、遅れて来た人が座るまでは(何人もサミダレ式に)、ちょっとねー。・・・でも、平日、吉祥寺6時半というのは限界だよねぇ。
 神奈川公演と交換した席は、F列のセンターブロックで、ちょうどいい位置だったかな。ラッキー!

 さて、「浮標」。三好十郎の戯曲では、「胎内」「炎の人」を見ているけれど、「胎内」の記憶はけっこう鮮明。あの時、三好十郎という人について、すごく興味を持ったのだった。そして「胎内」に出演していたのが長塚さん。なんとなく彼の演出のように記憶していたらば、鈴木勝秀演出であった。

 開演時間になり、暗転もせずに舞台に役者さん(この時は、めいめい上下とも黒の洋服)が全員登場。この舞台の殆どを、正方形に近い「砂場」が占めており、左右5客ずつの黒い椅子が砂のプールに向き合うよう置いてある。砂場の枠の4辺に全員が立って、長塚さんの挨拶、というかなんというか・・・長さに関してとか、携帯電話のこととか。そして、昭和15年に初演されたもので(?←この辺りの言葉が正確にはわからなかったのだけれど、時代設定は太平洋戦争直前あたりというのは理解)、「原作には『時は現代、場所は千葉』と書いてある」・・・と言ったところから、いきなり芝居に入る。

 左右5脚の椅子には、「今、芝居をしているのではない役者」が座って、見守っている(袖に引っ込んだと思うと、衣裳をつけて、登場してくる)。だけど、単なる傍観者ではなくて、ハッキリ意思をもって見つめているのがわかる。

 あ、砂場というのは、千葉に住んでいて海辺のシーンが多いからだけど、そこは妻が重い結核で療養している久我の家でもある。場面はその2カ所。両方がフレキシブルに「想像力」にゆだねられている。久我の家のシーンでは妻のベッド(というか籐製のサマーベッドふうのもの)が置かれる。
 想像力が必要なのは・・・たとえば初めに登場する妻・美緒の母と妹のうち、妹は洋装なんだけど台詞からは和服を着てることになってる。それってわざわざ洋服にしてるってことだもんね(母親は和服)。

 と、最初のうち、劇世界に入るのにちょっととまどう部分もあったけれど、導入のところから興味深くスンナリ引き込まれていたので、そこは問題なくクリアしたような気がする。田中哲司の圧倒的な表現と、妻役の藤谷美紀の「はかなげ」な風情が、対になって、濃淡が生まれてた感があるし。

 一方では、病気や生活苦や、妻の家族間の問題や・・・さまざまなことがありながら、また無条件にいい人の「小母さん」「裏天さん」がいて、そのいい人たちにリアルな生活感があったなぁ。戦前(戦中)と思うからかしら。

 三好十郎という人にもますます興味がわいている(この作品は、彼が先妻の「みさを」と千葉に暮らしていた時のこと)。三好作品と、演出家・長塚には、これからも注目していきたいと思う。

*もっと色々書きたいんだけどなぁ。

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