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2011.03.05

ずっしりたっぷり、演舞場の昼

3月2日(水) 「三月大歌舞伎 昼の部」 11:00~ 於・新橋演舞場

恩讐の彼方に」松緑(市九郎のちに了海)、染五郎(中川実之助)、菊之助(お弓)、歌六(石工頭岩五郎)ほか 「伽羅先代萩 御殿 床下」魁春(政岡)、梅玉(八汐)、福助(沖の井)、幸四郎(仁木弾正)、芝翫(栄御前)ほか 「御所五郎蔵」菊五郎(御所五郎蔵)、福助(皐月)、菊之助(逢州)、芝雀(甲屋女房お京)、吉右衛門(星影土右衛門)ほか

 初日が水曜だったので、ラッキー!という感じでまずは昼の部へ。1月は国立の復活狂言をメインに見て、2月はルテで「お染の七役」を見たきりだったから、ほんと久しぶりに「しっかり」見たなあと。だって、終演は4時を少し回ってたみたいだもの。いや、その時間の長さ以上に、どれも息が抜けないんですもの。

 まずは、「恩讐の彼方に」。おお菊池寛の作。もちろん原作を読んだことはなくて、チラシをさらっと眺めていただけ。ここでは菊ちゃんが珍しく「悪婆」ってんですか? 強欲な「人でなし」女。つい、役の姿として福助さんあたりをイメージしちゃう(あら失礼!)けど、意外といけるかも、と思ったなぁ。というのは、そもそも情愛あふれるってタイプでないからかな。あははー。

 初めての演目の上に、かぶりつきから見ており、照明がくらいこともあって、ここで力を入れて見過ぎた気がする。後の2つを考えると・・・。

 昨日、図書館の文庫本コーナーに行く用事があって、ちくま文庫の「菊池寛集」をつい手に取った。もちろん「恩讐の彼方に」も入っていて、ぱらりと読み、次回(中日あたり)3階から見るまでに読んでおこうかな、と一瞬思ったけど、とりあえず棚に戻しちゃった

 お昼休憩の後は「先代萩」。歌右衛門追善狂言だけあって、ゆかりの方々が並んでいる。
 ちょうど「わが心の歌舞伎座」で、納骨の日、歌舞伎座ではそのためだけに道成寺の桜で迎えてくれ、大向こうさんもいらした、と梅玉さんが仰るのを聞いたばかり。それは山川静夫さんの著書でも読んだかな・・・3階に山川氏がいらしてたと幕間に友人から聞いて、そんなことも思い出した。

 先代萩の「飯炊き」は、ちょっと久しぶりに見るのかな(音羽屋は入れなかった)。かぶりつきとはいえ、右ブロックなんで、背中を見る感じで。これはもうちょっと後ろとかいっそ上から全体に見たほうがよかったかも。でも魁春さんの緊張が伝わってくるような気がした。
 しかーし、子どもがお腹をすかせても我慢してるのは、いつの時代も可哀想でけなげに思えるんだろうけど、現代ではいっそ残酷かも。見てる方にはもはやそんな「空腹」の記憶はないのに、5歳で体重10キロ、なんてニュースを見てるんだもの。・・・と脱線しましたが、むごたらしく殺される場面よりもつらく思えるのも、困ったものかしら。

 男之助=富十郎のイメージが私にはあるので、ここでも喪失感というか、映画はだらりと見たのに意外に引きずってる? 「恩讐の彼方に」に引き続き、綺麗な芝のぶちゃんを。というか、腰元の皆さん、そろって美人さんでしたねー。

 ここまでで相当くたびれたけど、いやいやここからじゃありませんかと「御所五郎蔵」が待っていた! ・・・が、土右衛門と五郎蔵の台詞の応酬を聞いてるだけで、私のキャパは限界に達したようでした。なので、その後、皐月が出てきてからあたり、印象が薄いのよねぇ。その昔、演舞場で見たような・・・と、思ったら、もう6年も前だけど團十郎-左團次の時、福助さんが皐月だったのねー(菊五郎は甲屋与五郎)。あの時、よくお話がわかった気がしたのは、すごい錯覚かしらん。逢州が松也くんで、うぉぉっと注目したのを覚えてる。

 ・・・と、自分の日記が備忘録として役立ったんだけど、この2005年1月の演舞場で、海老蔵-菊之助の「鳥辺山心中」を見たのが忘れられないんでした。この2人で、またやってほしいなぁ。え? 菊ちゃん、もうちょっと顎のラインをスッキリしてから(大爆)。言いたい放題であるな。

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コメント

まことにまことに、お疲れ様、でしたよねー、初日!
ホントに久しぶりに「歌舞伎をたっぷり見たなー」って気分になって帰りました。そして久しぶりにおしゃべりできたなーって気分にも。
御所五郎蔵で、松也くんが抜擢された話、新年会で登場したんですよ。映像つきで。初めて傾城の役で、総浚いで初めて衣装をきたら想像以上に動けなくてどうなるかと思ったとか、未だになぜあの時あの役を貰ったのか判らないとか(笑)
私は、その時よりも仁左衛門と玉三郎が、前段の時鳥殺しからやった時の記憶の方がはっきり残ってるんですが、おかげで今回の構成でも流れについていけたようなもので…皐月の方が重い役なのに、なんだか存在感が薄くて、やっぱりはしょり過ぎ?な気がしました。

投稿: 猫並 | 2011.03.05 23:43

猫並さま
いやはや、なかなか記憶に残る初日でしたね。お喋りも込みで
私は夜の部を明日、見るので(3回も見るんですが、まずは)、2日目にご覧になった猫並さんのご感想からして、そっちもどうなってるか、気になりますわ

松也くんの逢州はそんな大抜擢だったのですね。ってか、傾城の役が初めてだったなんて!! いろんなことを聞くにつけ、音羽屋の新年会よりも松也くんの方に行きたくなりますわ。やはりファンクラブくらい、入ろうかしらん
私は仁左・玉は見てないんです。いろんな配役で、いろんな構成(演出)で、見てみたいものです。確かに、皐月のことは、どういう人かわかって見てないと・・・

投稿: きびだんご | 2011.03.06 10:07

本日観てきました。
きびだんごさんや猫並さんの感想を拝見し、覚悟していたのですが、予定通り飯炊きで休息(笑)、気力体力を温存して御所五郎蔵に臨めました。

菊ちゃんのお弓、すごい迫力だったけれど、性悪過ぎて恐ろしく、後味悪し。
綺麗な逢州で口直しができて、ホント良かった~(笑)

ところで、ずっと以前から気になっていたのですが、魁春さんの目の紅の入れ方って独特じゃありませんか?
他の女形さんは目尻に入れていますよね?
魁春さんは何故か目を囲むように紅を入れている。
目の周りの皮膚が剥けちゃってるみたいに見えて、怖いんです。
狐憑きみたいにも見える。
そんな風に感じてしまう私って変かしら??


投稿: 尚花 | 2011.03.06 22:44

尚花さま
お疲れさまでした・・・が、ちゃんとペース配分できたようで
「恩讐の彼方に」は、ほんと菊ちゃんの役に関しては救いようがなかったですよね。いろんな役を演じて、幅を広げてもらいたい、と思う一方で、やっぱりどうせ見るなら綺麗で可憐なのがいいワ、とか思ってしまいます。確かに、後で逢州で出てきてくれてよかった

魁春さんの目の紅、独特ですよねー。それがものすごく気になる(怖い)時と、そうでもない時があるような気がします。私は、今回はあんまり気にならなかったんですが。

私の知人の、中村屋&福助ファン(かつて、ブログに差し入れのお花か何かの写真が)も、今日の昼の部に行ったようでしたよ。

投稿: きびだんご | 2011.03.07 00:58

海老―菊の「鳥辺山心中」、私も見ましたよ!! きれいだったけれど、なんで正月公演にこれなの?と疑問を感じたのでした 以降、この演目は見ていないような気がするので、そろそろ見たいかも(^^)
今月の演目とは関係のないところで、ごめんなさい。

魁春さんの目の紅は私もいつも気になって仕方ありません。以前、小山三さんが最近の女方は紅がなっていない、と苦言を呈していましたが、その時も真っ先に魁春さんを思い出してしまいました(小山三さんはご自分のところの福助さんや七之助さんについて言ったんだと思いますけれど)。でも、今回はきびだんご様ご同様、どういうわけか私もあまり気になりませんでした。

5月の松竹座を考えて演舞場昼の部のリベンジはしないことにしました

投稿: SwingingFujisan | 2011.03.07 16:17

SwingingFujisanさま
「鳥辺山心中」の2人の美しさは、やはり、記憶にすごく残りましたよね。でも、今考えると、この1月の演舞場はとても豪華なメンバーだったのです。成田屋、音羽屋ともに親子で出てたし・・・。
で、なんで正月公演にこれが、ということについて。私もきっとそう思ったのでしょうが、実はその前の月、南座の顔見世が海老蔵の襲名興行で、「助六」の前に「隅田川」だったんですよ。助六好きの友人と、京都食べ歩きを兼ねて遠征したんだけど、未だに(つい先日も)「なんであのとき隅田川」と、言い合うくらい、衝撃が大きかったのです。だから、それに比べれば許せちゃう、みたいな感じ。そう、海老・助六に菊ちゃんの揚巻だったし、あの頃は、よく一緒の舞台で見てたのになぁ・・・。
(私も更に脱線してしまいました)

魁春さんの目元の紅。今月は夜の部の方が目立つのではないかしら・・・? 今日、そう思って見たからかなぁ。

SwingingFujisanさまは、時蔵さんですもの。そらぁ、今月は国立>演舞場でしょうし、5月の松竹座は大変ですよね。先の楽しみがあるのも、また嬉し。

投稿: きびだんご | 2011.03.07 23:34

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