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2011.03.31

静人くん、君はどうしているだろう

 わりと最近、遅まきながらこの直木賞受賞作をじっくり読む機会があった。主人公の坂築静人は、見知らぬ誰かの死(新聞などで報じられたものが多い)を、悼む旅を続けている。その人が確かにこの世に存在したことを忘れぬために。その彼の旅の軌跡と、並行して、エログロ記事が得意な週刊誌記者、そして末期ガンの静人の母親・・・3人の物語が進行する。

 テーマがとても重いというのはもちろんだけど(彼が悼む人たちはもとより、祖父母など「死」があふれている)、基本的にすごく受け入れにくいものがあった。もちろん、本の中でも、私が抱くような彼への違和感は、繰り返し語られてはいるのだけれど。まぁ、単純な私としては、そんなに一人一人の死を自分の中で受け止めていたら、あっという間にパンクしちゃうんじゃないの、と。じっさい、静人は消耗もしてるんだけど。
 それよりも、自分の母親の命がいまにも消えそうなことを知ろうともしない、というあたりで、突然、現実に引き戻されてしまう。そんなことで、赤の他人を悼んでいられるのか(とまぁ、息子を持つ母親の気持ち、かしら)。

 一人一人の命が、「数字」で表せるようなものではない、ということは、感覚としてはわかる。だからこそ、この3月11日の大きな悲劇とそれに続く日々を、彼ならどう捉えるのか、聞いてみたい気がする。

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