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2011.05.12

劇団☆新感線はA席で見る

5月11日(水) 「港町純情オセロ」 18:00~ 於・赤坂ACTシアター

原作/W・シェイクスピア(松岡和子訳「オセロー」〈ちくま文庫版〉より) 脚色/青木豪 演出/いのうえひでのり 出演/橋本じゅん(藺牟田オセロ)、石原さとみ(モナ)、大東俊介(沖元准)、粟根まこと(三ノ宮亙)、松本まりか(伊東絵美)、伊礼彼方(汐見秀樹)、田中哲司(伊東郷)ほか

 高田聖子も、古田新太も出ないんである。「オセロー」を大胆に潤色、というのでなければ見てないと思う。それと赤坂ACTシアターのA席でわりといい場所が取れちゃった、という理由もあるかな。

 1930年の日本・神戸(かんべ)から始まる。といっても、最初にそう示されるだけであんまり意味はない・・・ような気がする。そして、国と国との戦争ではなくて、ヤクザの世界の抗争の物語。

 だんだん語られていく橋本・オセロの境遇は、ブラジルで奴隷だった黒人の父と、日本から渡った母親の間に生まれた、半ブラ(半ブラジル人)とのこと。ま、どうしたって、彼には黒い皮膚の色が必要なのだから。モナはヤクザとも付き合いのある病院長の一人娘。そして、オセロの子分、伊東郷=イアーゴー、汐見秀樹=キャシオー。全くオリジナルな存在が、原作ではエミリア(イアーゴーの妻)=絵美の弟・准。

 冒頭、橋本じゅんさんは腰痛ネタで笑わせる。前作・「鋼鉄番長」を降板してるからね。でも、すっかり回復してよかった。そこへ出てくるお嬢様のモナ・・・お嬢様っぽい喋りということだろうけど、声がキンキンして私にはダメだったなぁ。別に張り上げてるわけではないんだけど。ということで、初っぱなが ま、ヤクザの世界でもあり、多少バイオレンスっぽく、また下ネタも過剰気味。

 舞台は神戸(かんべ)の町から、小豆島(あずきじま)へ。ついいろいろと、記憶にある原作の流れを考えたりしながら見る。そうそう、原作ではキャシオーは「フローレンス生まれ」となってるけど、その言葉だけで「やさ男の二枚目」が観客にはイメージできたんだそう。そして今回その汐見役の伊礼さんは、まさにそういう感じ。私は初めて見たけど、ミュージカルの人なんだっけ。
 途中でギター&歌も披露したんだけど、マイクのせい?音響のせい? 2階の私の席では音量は大きいけど歌詞はまったくわかんなかったな。わからなくていいのか??

 そして伊東郷(イアーゴーの置き換えとしてはうまくいってるね)の田中哲司。やっぱり、「オセロー」の陰の主役か、という役だから、存在感バツグン。腹黒ぶりがいいじゃん!

 実は重要だったのが、全くオリジナルな沖元准という役。絵美の弟で、横浜にいたけど郷に救われ彼に心酔する、ゲイなのだ。この世界では誰からも愛されない、ほんとの自分は認められてない、だから誰よりも見た目云々じゃなく愛を求めてる存在。大東くんが熱演してた。

 この准は、面白いんだけども、イアーゴーとエミリアの間に割って入るかたちになるから、ストーリーとしてはどうなんだろ、という気がする。絵美と郷の間には、ずっと暗い影みたいなのがあって絵美はそれを匂わせてるのに、何かが明かされるとかいうことなしに、終わっちゃうんだ。

 当初は、ラストを変えたのかと思ってたけど、いややはりそんなことはなかったですねー。結局、橋本じゅん、田中哲司が頑張ってました、というお芝居だった気がする。古田主演の「リチャード3世」もそうだけど、なかなか料理しづらいんだろうか。こういう系統のだと、「メタルマクベス」が面白かったなぁ。

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コメント

1日違いだったんですねぇ。私は10日に見ました。
私はとっても面白いと思って見たのですが(きびだんご様とは逆に、よく料理されてるなあって…)、きびだんご様のレポを拝読しているうちに、大東クンの役とか絵美の問題とか、自分でも見ている最中に頭の隅で感じた疑問が甦ってきました。
「メタルマクベス」は見ていないので(「新感線歴、ものすごく浅いんです)、機会があったらぜひ見たい!

投稿: SwingingFujisan | 2011.05.12 10:04

SwingingFujisanさま
早速コメントありがとうございます
いやはや。私はちょっと乗れなかったんですが、それは席の問題もあるかなー。腐ってもS席(爆)といいますか、久しぶりのACTのA席は、やはり遠かったんですもん。
SwingingFujisanさまはすごくいい席でご覧になったとのことなので、その差は大きい気がします。サンシャイン劇場くらいなら、A席でもそんなに気にならないのに・・・。ACTと私の相性が悪いのかも。

昨夜わわわーっと感想を書いたんですが、冷静になれば、確かにうまく置き換えて話を作ってある、とは思います。ま、最初の5分でだったのが、敗因です。
次回の髑髏城は青山劇場ですね!! 期待はいっぱいだけどチケ取りが憂鬱です。

投稿: きびだんご | 2011.05.12 10:30

きびだんごさま
「港町純情オセロ」設定を置き換えてはありますが、思っていたよりずっとオーソドックスな「オセロ」という印象でした。

そこで思いだす「メタルマクベス」(笑)。
当時、宮藤官九郎さんが「意外とマクベスだったね、と言われたい」とおっしゃっていましたが、ほんとに、意外と正統派のマクベスなのにダブルプロットとかとても斬新で、改めてすごかったなぁ、と思いました。
きびだんごさんも「メタルマクベス」に触れられていたので、うれしくなりました。

絵美についても同感です。
今回、准という存在を新たに加えたことで(大東俊介くんの熱演はすばらしかったですが)、本来のエミリアの役割を絵美と准とで二分したような形になって、それで絵美の存在が弱まったのかなぁ、とも感じました。

でも今回は、とにかく橋本じゅんさん復帰おめでとう、ということで(笑)。

投稿: スキップ | 2011.05.15 14:56

スキップさま
そうそう、タイトルがいかにも「オセロは下敷きだけで、すっかり変えてますよ」って感じだったのに、意外にも、でしたよね。
ほほー、とは思いつつ、席が遠くて乗れなかったのもありで、思い出すのは「メタルマクベス」だった、というわけ。あれは、見た当初はけっこう圧倒されて、ろくに感想どころではなかったはずなのに、ずーっと記憶に残ってるんですよ。折りに触れて(こんな感じで)思い出しちゃう。じわじわとすごさを実感していく、というタイプのお芝居でした。

作者は名前を考えるのも楽しみかもしれませんね。私は原作のエミリアを忘れてたのに、絵美・・・? そうか、エミリアだよ、と思い出しました。ミミナシ=イヤーゴーにはしてやられましたが(全然気がついてない)。大東くんの役は、抱えているものが大きいだけに、いいんだけども逸れちゃう、というジレンマ、でしょうか。
でもほんと、橋本じゅんさんも、池田成志さんも、あのつらい時期を乗り越て元気になられて、ほんと、よかったです。

投稿: きびだんご | 2011.05.15 23:57

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