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2011.06.29

昭和が終わる頃、私たちは・・・

6月28日(火) 「おどくみ」 19:00~ 於・新国立劇場 小劇場

作/青木豪 演出/宮田慶子 出演/高橋恵子(畑中美枝)、小野武彦(畑中幸広)、樋田慶子(畑中カツ)、谷川昭一朗(畑中二郎)、浅利陽介(畑中剛)、黒川芽以(畑中郁美)、東迎昂史郎(長崎久志)、下村マヒロ(石綿真)、根岸季衣(酒田京子)

 青木豪氏の書き下ろしで、半自伝的な作品という。舞台は横須賀のはずれの惣菜屋で、長男は学習院大学生(一浪して入学)。年子の妹は現役で医学部に入ったので同学年ということになる。時は昭和の終わりころ。

 予め知っていたストーリーでは、この惣菜屋(弁当の仕出しもしている)へ、葉山の御用邸から注文が来て・・・ということで、それにまつわるてんやわんやなのかと思ったら、そういうことではなかった。

 惣菜屋「はたなか」では、主に妻の美枝が、従業員の酒田とともに店をきりもりしていて、夫は「朝2時間働いたら、後はテレビを見てる」などと言われてる。寝たきりの舅と、いつも味付けに文句を言う姑、独立して一家を構えているもののすぐにお金を借りに来る困ったチャンの義弟。そして長男長女。家内労働でもあり、もともと小さな乾物屋を営んでいた舅の、「長男がきちんと家族の面倒を見る」という考えが、しみこんでいる。そういう「昭和」の家族関係、家族観が、長男の映画作り(天皇を狙うテロの話。最初は)をサイドストーリーに描かれ、昭和は終焉を迎える。

 なーんて、あれれ、まとめてみるとなんか小難しい感じがするけど、全然そんなことなくて、よく笑ったなぁ。

 あの時代のいろんなことが思い出されたりして。ま、主たる「時」である昭和62年というのは、息子が生まれた年なんですけどね。だから私は、ちょうど舞台の両親と子供たちの、中間くらいの年なのかなぁ。惣菜屋も、学習院大学にも無縁だけれど(笑)、それは単に入口なだけで、いろんな年代、立場の人に、フンフンと頷かせるものがあったと思う。

 孤軍奮闘する母親と、母に味方する子供たち。ナイーブで、夢もいっぱい持ってて挫折もしやすい大学生。いい年をして自立できない中年男に甘い甘い母親(姑)と見捨てられない兄。皇室大好きなおばさん・・・いろーんなことが、妙にリアルだけど、笑いにくるまれてるのよ。皇族が実名で出てくるし。ほんとよく笑い、身につまされもした。

 それだけじゃなくて、実は天皇制とか死について語ったりもしてるのよね。どちらも「誰も決して体験できない(体験した上で語ることができない」ものだから、「いっぱい語られる(評論される)」ものとして。これ、すごく納得しちゃった。

 天皇崩御や「平成」に決まった時のニュースの音声も流れ、ちっとも「平らか」じゃない2011年の皮肉も思わされた。江戸時代なら、とっとと改元してるのにね。さらにラストは、皇太子ご成婚の時。「はたなか」も、長男&友人たちも、みんな新しいあれこれが始まりつつある。舞台はそんな明るい雰囲気で終わった・・・。

 ところで、昭和62年生まれ(早生まれ)の息子は、皇太子ご成婚の時、小学校1年生。あの日、学校は休校になったのよね。なぜ休みなのかを家では一言も言わなかったし、テレビも殆ど見てなかったから、ほんと無知蒙昧一直線に育てておりましたです。偏向教育とのそしりは甘んじて(笑)。とまあ、そんな風にいろいろい思い出すのもまた楽しいお芝居だった。

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コメント

私は雅子妃と同学年なもんですから(^^ゞ

ちなみにエダノとゲンバも似たような。関係ないけど(爆)

ホント、思っていた以上に笑えて楽しめて得した気分になりました。でも、お父さんのムリな連想の中で、松下政経塾と松下村塾だけは、他と比べて上品過ぎてバランス悪いと思いません???^_^;

投稿: 猫並 | 2011.06.30 23:45

猫並さま
おおっ、雅子妃と同い年であらせられましたか(爆)。
「今」がわかってるだけに余計、・・・という思いに駆られましたワ。
でも、根岸季衣がいい味出してましたねー。

お父さんも、「踊る大捜査線」の人、というイメージでいたんだけど、ものすごくリアリティのある存在だったような。松下村塾も笑ったなぁ・・・字面は似てても言葉に出すと全然違うから、ワンクッションあったかも。
高橋恵子が惣菜屋のおかみさんにしては綺麗すぎる、と嫉妬しちゃった私です

投稿: きびだんご | 2011.07.01 08:53

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