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2011.06.14

一人芝居×3=モリー・スウィーニー

6月13日(月) 「モリー・スウィーニー」 19:00~ 於・シアタートラム

(ポストトークあり)
作/ブライアン・フルーリー 翻訳・演出/谷賢一 出演/南果歩(モリー・スウィーニー)、小林顕作(フランク・スウィーニー)、相島一之(ライス医師)

 アイルランドの作家の作品。若手の演出家、3人しか出演しない、主人公は目が見えないらしい・・・事前に知ってたのはこれくらい。

 だが! この「新進気鋭」の演出家が今年29歳のアンチャンとは(休憩時にロビーでやたら目立ってた長身・金髪のジーンズ兄ちゃんが谷さんだった。ポストトークに出演していなければ、どこかの劇団の若い役者くらいにしか思ってなかったなー)。

 馴染みのない作品(しかも翻訳物)なのに見に行った動機は、ひとえに南果歩さん、かなぁ。私がお芝居を今みたいに見るようになった初期・・・つかこうへいあたりから始まって、南果歩「ガラスの動物園」「幻の光」(一人芝居)が、かなり大きな位置を占めていた気がする。できるだけ見続けていたい役者さんの一人なのだ。相島さんも好きだしね。

 始まってしばらくは、なんだか、??が頭の中を飛び交っていた。だって、舞台上に3人の役者が同時にいたとしても、それぞれが客席に向かって、喋っているんだもの。しかも、長い長い台詞を。それはまず、モリーが自分の幼少期を語るところから始まった。

 そうやってモノローグを重ねる中から、目が見えないけど聡明なモリー(41歳)は、山師のようなエネルギッシュな若いフランク(無職)と知り合ってすぐに結婚し、そのフランクの意志で「少しは光を感じるのだから見えるようになるはず」と、かつて優秀な眼科医で今はおちぶれているライスの診察そして手術を受ける、そしてその結果・・・と、話が進行していく。

 第2幕、手術して見えるようになってからの緊迫と、1幕のなんかわけのわかんないごちゃごちゃ(そこから3人の状況がわかってくる)と、ある種、スリルに満ちた舞台であった。

 特にフランク役の小林さん。いろいろ難しいこと(哲学的なこと=視覚と認識について)をホワイトボードで説明したり、テンションが高い上に、お客さんをいじったり、また客席から声がとんだり(アイルランドのところで)・・・これは毎日こんなコントのようなことをしてるんでしょうか?と思ってしまった。(ポストトークで理由はわかるんだけど)

 なので正直、最初のうちはのれなかった。小林さんのテンションについていけなかったので。だけど、それを我慢して(笑)見ているうちに、どんどん引き込まれていった。私たちが意識もせずにしている「見る」ことについて、あるいは逆に「見えない」ことについて、想像力を働かせていくのである。舞台の進行とともに。

 モリーが幼少期に失明したのであれ、様々な物が何か、見てわかる経験をしていたなら、いま見えるようになって幸せになれただろう。しかし、10ヶ月で失明して、あらゆる物--例えば花の形や匂いなどから名前を知る、「手で見る」ことで何の不自由もしてこなかった彼女は、見えるようになって「物」と「名前」を目で見ることだけで一致させなくてはならなくなった。このへんで、ホワイトボードの説明なんかが多少、フラッシュバックしてくるんだなー。

 圧巻はラストの、ほんとに真っ暗な何分間か。ここはモリーのモノローグで、なんと暗い中を舞台から客席に降り、通路をつたってぐるり一周して舞台に戻るのだ。私は通路際だったので、南さんが肩にさわって行ったので、ビックリしましたわー。この暗さを共有するという演出は、すごく斬新だと思った。

 ポストトークは出演者3人+演出家で、司会はプロデューサーの穂坂知恵子さん。出演者は皆さん、それぞれの膨大な台詞にまず戸惑ったらしかった(しかも会話じゃなくてモノローグだもん)。相島さんなんか、これのどこが面白いのか、と思ったそうで。でも、稽古をしていくうちにどんどん形になって、ということらしい。チームワークのよさも感じ取れたなぁ。

 印象的だったのは、読み合わせの初日が3月14日で、南さんはいろいろ不安だったので「お休みします」と連絡を入れたんだって。だけど、いや学校じゃなくこれは仕事なんだから、と思い直して、実際、稽古場にいて読んでいる間は、読むことで癒やされたのだそう。ほんと、あの頃はみんな普通の精神状態じゃなかったよね・・・。

 ところでポストトークで最初に質問したのが私のすぐ後ろにいらした松岡和子さん! 上で触れた小林さんの客いじりを踏まえて、「どこまで作ってるんですか」と。そうしたら、きほん台本の通りにやりたいのに、今日いきなり谷さんから「壊してやってみて」(言葉は違ったと思うけど)と言われて、頭が真っ白になったそう。だから決まった台詞以外は何を言ったか覚えてない、とか。

 また、もともとの台本にはト書きがほとんどなくて、真っ暗にするのも含めて谷さんのオリジナル。台詞も多少会話になっているところがあったけど、そこももとはモノローグだったところを、(内容は変えずに)割り台詞のようにしたんだって。

 7時開演で終演は9時半。そこからポストトークだから、全て終わったのは10時10分くらいかな。好みは分かれそうだけど、刺激的で面白かった!! 相島さんもほんと素敵でした

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