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2011.06.12

雨の6月に「雨」を見る

6月10日(金) 「」 18:30~ 於・新国立劇場 中劇場

作/井上ひさし 演出/栗山民也 出演/市川亀治郎(徳)、永作博美(おたか)、植本潤(花売・番頭の金七)、山西惇(釜六)、梅沢昌代(花虫)ほか 演奏/山田貴之

 鳥瞰図、雨、おどくみ・・・3作品の通しチケットを買っていたので、席はどこを選んだか(電話でのやりとり)すっかり失念。あんまり前じゃなくて、左右の中央と言ったんだね、たぶん。おかげで全体はよく見えたんだけど、ほぼど真ん中ということは、通路まで遠くて出入りが非常にしづらい。もうちょっと考えた作りにしてほしかったなぁ。

 基本、大きな木組み(最初はこれが両国橋の橋脚になる)のシンプルなセット。これがいろいろに応用されることに。いきなり歌い始めたのは・・・おや、もしや植本潤さん! 江戸の底辺で生きる人たち、そこにいる拾い屋の徳が、あるきっかけで東北の平畠をめざすことになる・・・。

 この徳は、極端に言えば生まれた時からの拾い屋で、道に鉄屑が落ちていたら決して見逃さない。実はここで私は「忍たま乱太郎」の、きり丸を思い浮かべちゃったのよー。「ちゃりん」と銭の音がしたらどんなに遠くても聞こえる。それはもう身に付いた貧乏であり、逞しさでもある。

 だけど、実はこの鉄屑などを見逃せない「習性」は、アハハと笑って見てたけど、ポイントポイントで重要だったんだ。

 さて、この徳は、平畠の紅花問屋の失踪した当主と瓜二つと言われて、財産と美しい女房めあてに、宇都宮~福島~米沢を通って平畠に行く。途中でも、言葉がどんどん変わっていって、たいそう苦労しつつ、平畠へ。そして、彼は無事に「なりすます」ことができるのか。

 珍しいことに、ミステリー仕立てというか・・・えっ? あら、そうだったの? というのが最後まで、いや見終わってからも考えたりするんで、ストーリーについてはこれ以上、触れないことにする。

 とにかく、永作博美の存在感がとても印象的。平畠小町と言われた美人だけど、それだけじゃぁない。したたかで、どこかミステリアス(暗さというか情念を感じさせる)。
 亀治郎も、言葉の違いにとまどい、それを克服する(!)徳を熱演・・・と書いたけど、亀ちゃんって、あんまり熱演という言葉が似合わない感じだね。不満があるとすれば、そういうところかな。ちょっと理屈で押してくるような←まるっきり先入観かも、だけど。だから、所作の美しさの方が、強く残ってしまうんだなー。

 脇を固める役者さんたちが、贅沢。手練れの皆さん、というところ。ただ、芸者・花虫役の梅沢さんは、ちょっとイメージが合わなかった。

 平畠といえば紅花でもっている土地柄で、第2幕の、それを生かした美術も素敵でした。基本が前述したように「木組み」なので、この紅花の「色」が鮮やか。ラストは特に、この劇場の奥行きを生かしていてさらによかった。また、確かに十字架と聖母のようにも見えた、と言ってもそうネタバレにはならないでしょうかね。

Inoue ←帰りに渡されたJTBのパンフ&ラスク、ほか。

 劇場内には山形コーナーが設けられていた。休憩時間に、お酒「樽平」も飲めたようだけれど、それは自粛。だって休憩込み3時間半近くて、食べる方が先ですもん。

 JTBのパンフは、山形の遅筆堂文庫や紅花資料館を訪ねたり、さくらんぼ狩りをするツアー。見てたら行きたくなっちゃった(さくらんぼ大好きなのよ。結局、食い気か)。画像の右下に見えるのは紅花の種。これは、パンフとは別に貰ってきたもの。井上さん関係の展示などもあったんだけど、あまりちゃんと見られなかったのが残念。

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演劇」カテゴリの記事

コメント

永作博美には圧倒されましたね。これまでおたかを演じてきた女優の名前を見ると、永作博美が一番合っているような気がします(舞台を見てもいないのに、ね)。
亀ちゃんは私も評価しかねているのは、熱演でないからかも? 所作は確かにきれいで、これも先入観かもしれないけどやっぱり歌舞伎の人よねえ、と思いました。
花虫、私も「え?」という感じ

さくらんぼ、私もだ~い好き。でも高いのよねえ

投稿: SwingingFujisan | 2011.06.12 11:53

SwingingFujisanさま
コメントをいただいてから、あら「タイトルを忘れてたんだ」 あわてて一応つけておきました。
永作博美は、テレビでは「功名が辻」の淀くらいしか知らないんですが、あれも情念系でしたかねー。また別の舞台も見たいです。
亀治郎・・・SwingingFujisanさまも「評価しかねて」らっしゃるのね。ズシンとくるものがなかった、という気はしています。もっと泥臭くてもいいのよねー。

さくらんぼ!! 昔、東京に来たばかりの頃、「さくらんぼを山形で死ぬほどたべたい」というのと「砺波平野のチューリップを見たい」というのが、夢といえば夢だったんですが、どちらも実現してない ほんとにJTBのツアーに行こうかしら。

投稿: きびだんご | 2011.06.12 14:58

☆書き忘れてましたが、2列ほど前に三田和代さんがいらっしゃいました。ご自身がなさった「おたか」をどんな風にご覧になってたのかしら。綾瀬はるか(コクーン)はパッとわからなくても三田和代はすぐにわかる私なのであった

投稿: きびだんご | 2011.06.12 18:24

そうそう、タイトルもしかして忘れてる?ってコメントに書こうと思っていてこっちも忘れ、次の「鑑賞教室」のところに書いておこうかと思って又忘れ…なのでした

三田和代さんがどんな風にご覧になっていたか、興味ありますね。もう三田さんがこの役を演じられることはないかもしれないし…。
今回はオジサンじゃなくてオバサン(失礼!!!)も発見できたのね

チューリップ見たい見たい、私も。さくらんぼも財布に遠慮せずに食べたいわ~

投稿: SwingingFujisan | 2011.06.12 22:14

永作博美ちゃん、とても良かったようですね。
舞台に立つ彼女を観たかったのですが、チケ取りに出遅れてしまい断念。
少女のような風貌なのに、悪女的な魅力が漂い、心惹かれる女優さんの一人です。

今日、コクーンを観てきました。
チェロの演奏と紗幕の使い方が印象的でした。
菊ちゃん、綺麗でした・・うっとり。


投稿: 尚花 | 2011.06.12 22:51

SwingingFujisanさま
でへへ。ご心配(?)をおかけしました。

それにしても、男女を問わず、若い人がわからない私の目。我ながら不思議です。芸能人、一般人の区別なく、みんな似たような顔に見えるのも、老化現象かしらん

今は何泊もするような旅行には行きにくいけど、たまには1泊旅行くらい行きたいですワ。とすれば、やはり東北かしら。あぁぁ、さくらんぼの季節

投稿: きびだんご | 2011.06.12 23:22

尚花さま
そうそう、永作博美さんの可愛らしさと裏腹の・・・というのが惹かれるところですよね。けっこうきわどい(卑猥な)シーンもあるんですが、重くないし。

ところでコクーン。今日でしたか チェロも紗幕も、少し後ろからの方が楽しめるだろうな、とは思ったのですよ。勘三郎さんのナレーション部分もね。でも、菊ちゃんは平場でバッチリ 通路を歩く菊ちゃんも、I列だとすぐそこ、ですよね。私、千穐楽は後からお願いしたので、K列の左ブロックなんですが、でも楽しみです。

投稿: きびだんご | 2011.06.12 23:33

きびだんごさま
「雨」とてもおもしろく観ました。
全く予備知識なかったものですから(現代劇かと思ってたくらい)、
「えっ!こんな話だったの?」と最後まで引き込まれてしまいました。

永作博美さん、よかったですね。
方言もすごくよくこなしていらして可愛いし色っぽいし、ステキでした。

亀治郎さんに「熱演」という言葉が似合わない感じ、わかります(笑)。
もう少し色気も欲しいかな、とも思いましたが、徳が徐々に喜左衛門に
なっていく様は細かい変化がすごく上手いなぁ、と思いました。
徳の最期は切なかったですね。

私が観た日は長塚圭史さんと辻萬長さんがご覧になっていました。

投稿: スキップ | 2011.06.25 12:05

スキップさま
先ほど、スキップさまの「雨」レポを拝読。いろいろと思い出すことしきりです。
最初に「喜左衛門さま」と徳に呼びかけたヘンテコリンな孝行息子の乞食。あの奇妙なスタイルにちょっと気を取られてましたが、その後、一度だけ姿を見せますよね。あれが妙に心に残って、すべてがわかってから(つまり見終わってから)、!!!、でした。うわっ、という感じ。
そして日がたつにつれて、徳に対する「いたましさ」が増してきた、というところでしょうか。頑張って「喜左衛門になった」から尚更ねー。その意味ではもう一度見てみたい、という気もなきにしも、でしたが、いかんせん・・・。

永作さんは、見かけの可愛らしさとのギャップが魅力的ですね。なんか、どこかで腹をくくってるみたいな感じがあって、そこが只者でないぞ、と。あくまで私のイメージですが。
新国立劇場の客席は、地味ですよね。いいけど(笑)。長塚さんの「荒野に立つ」はチケット確保しました。

投稿: きびだんご | 2011.06.25 15:26

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