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2011.06.23

ハムレット役者の戦後史

6月22日(水) 「夢、ハムレットの ~陽炎篇~」 19:00~ 於・吉祥寺シアター

(Pカンパニー 第6回公演)
作・演出/福田善之 出演/林次樹(彼[ハムレット])、平田広明(従弟[レアティーズ])、菊池章友(叔父-座長[クローディアス])、木村万里(母[ガートルード])、染谷麻衣(妹[ホレーショ])ほか

 それにしても、シェイクスピアは死後400年近くたった今も、様々な芝居を生み出す力となっているのだなぁ・・・。これを見に行った理由はいくつもあって、身近な吉祥寺だったこと、カンフェティ席で安く買えたこと(最前列の右端でした)に加えて、やっぱり「ハムレット」を素材にしていることが大きかった。

 主人公の「彼」=老人は、芝居の一座で「若」と呼ばれていた男。彼の父(座長)は、空襲で亡くなり、同じように逃げまどった母は叔父に助けられて2ヶ月後に結婚。叔父が座長となった。「彼」も同じように、つないでいた妹の手を離してから行方不明になり、かなりたって戻ってきた時にはなぜか海軍飛行兵の制服を着ていた。そしてそれを脱ごうとしない。

 一座はGHQの命令で、「ハムレット」を上演することになり、その稽古が行われる(しかし翻訳にからめて上演中止が言い渡されたりもする)。ハムレットの境遇はまさしく「彼」のものである・・・というか、今もずっとその「離人症」世界を生きている「彼」の、現実と劇世界が、日本の戦後史の中で描かれていく。

 とまぁ、ちょこっと書いてみたけど、こんな書き方で正しいのかどうかもよくわからない。ただ、舞台の中央(と、時に左右も)に張られた白い布に映し出される、戦時中の写真や、戦後史の様々なシーンのフィルムなどが、「時代」を感じさせる。また、3人の女性が歌う歌(「リンゴの唄」に始まって、反戦フォークとか・・・)が、場面転換にとっても、いい効果になっていた。曲目リストが欲しいくらい。最初は、浮浪児のような汚い格好で歌ってたからなんとも思わなかったけど、途中、黒っぽいドレスなどのあたりで「3人の魔女」をイメージしちゃった。

 現実の中の「彼」は母とも妹とも、近親相姦的な感情を持つ。それもまた、原作の持つ「気配」のゆえ、だろうか。実際にはホレーショはもちろん男だけど、置き換えられて、「彼」を囲む3人の女=母、妹、恋人、の関係こそがハムレットの課題とされている。

 そうそう、実際に舞台上では、小田島雄志「ハムレット」の白水uブックス版が小道具となっていて、To be or not to be. 「このままでいいのか、いけないのか」が、まぁキモでもあるのでしょう。作家は「意識的誤解から出発」と言っているけれど。

 面白かったけど説明は不能。知った役者さんもほとんどいないし。でも、ラスト近くの従弟と「彼」の(レアティーズとハムレットの:重なっているのだわ)、剣による決闘の迫力はすごかった。従妹(オフィーリア)もバレエを生かした踊りなども、雰囲気に合ってたと思う。

 けっこうこの手のお芝居は好きなんだ、ということは実感した。近いがゆえに、ちょっとコンビニまで出かけるくらいの気分で、「ハレ」の感じはないのだけれどね。我が家からは、三鷹市芸術文化センターも吉祥寺シアターも、似た距離にあるものの、駅そばの猥雑さを通り抜けて行く分、吉祥寺が気分が出るなぁ、とも思う。そういう気分って、小劇場だと特に大事で、だから下北沢なんかが好まれるのかもね。

☆シアターガイドの「上演時間情報」に2時間とあったので、そのつもりで出かけたら、休憩込み2時間半でした。あら~。でも、吉祥寺発の終バス(我が家はバス停の真ん前なので、これに乗れるか乗れないかは大きい)には、間に合ってよかったぁ。

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