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2011.08.28

愛すべきおじさんたち

8月27日(土) 「大鹿村騒動記」 於・丸の内TOEI

監督/阪本順治 出演/原田芳雄、岸部一徳、三國連太郎、石橋蓮司、でんでん、大楠道代ほか

 友人に会う用事があって、お互いに「大鹿村騒動記」を見たいと思っていたところだったので、ちょうどいいや、とランチ&映画に。その友人があらかじめチケットを入手してくれていて、のんびり。1000円とは知らなくて、あらまあ、でした。

 ちょうど封切りの直前に原田芳雄さんが亡くなられて、舞台挨拶時の車椅子姿のことを雑誌などで読んだりはしてたけど(映像では見ていない)、映画の原田さんはとても力強く、イメージ通り。歌舞伎では景清を演じていて、その声は力強かった。

 大鹿村で「ディア・イーター」(!)という、シカ料理店・・・まぁ食堂を営む善ちゃん(風祭善=原田)のところへ、ある日、18年も前に駆け落ちして出て行った妻・たかちゃん(貴子=大楠)と、その相手・治ちゃん(岸部)が戻ってくる。認知症をわずらってどうしようもなくなった貴子を「返す」という・・・おりしも、村では300年続く歌舞伎を5日後に控えており、善ちゃんはもちろん花形役者、なのだ。

 この3人の関係、リニアが通るという村の様子(石橋蓮司は土建業者で、小倉一郎は白菜を栽培する農家で・・・)などをからめながら、一大イベントの歌舞伎上演までの紆余曲折。

 原田芳雄、大鹿歌舞伎、というくらいしか知らなかったけど、ちょいっと加藤虎ノ介が出てたり、佐藤浩市、松たか子、瑛太・・・なにげに豪華な出演陣。で、もういい年をしたおじさんたちの、たとえ意見の違いはあっても昔から続く関係や、いざという時の力、なんかをさりげなくひょいひょいと見せるんだなぁ。だって、何年たっても善ちゃん治ちゃんだもの。

 原田・大楠・岸部、3人の関係が面白い。出て行った頃も想像できるよう。ぐいぐいエネルギッシュにやっていく原田。そこにふわっと存在した(実際は融資のことなどの相談相手だった。信用金庫に勤めてたんだっけ??)岸部。たかちゃん・大楠は、とりあえずディア・イーターで暮らすんだけど、時に壊れてしまう。彼女の表情の陰翳に引きつけられる・・・。

 そんな様々が、クスっという笑いに包まれて、そして過去の事情はさりげなく断片的に語られる。たとえば、駆け落ちした治ちゃんは東京でタクシーの運転手をしてたことが彼の寝言で。「世田谷の道は難しいんですっ!!」 またたかちゃんの実父(三國)は村の長老(歌舞伎保存会の会長)で、かつて善ちゃんの父とともにシベリアに抑留されておりその最期を看取ったこと、妻は旅芸人と出て行ったことなど。それらの説明調ではないエピソードが、いやに心に残る。というか、三國連太郎の存在感!! 映画の中でもそこだけ違う空気を感じましたわ。

 大鹿歌舞伎は、女性も舞台に立っており(戦時中はそうやって伝統を守った)、実は善ちゃんの景清に対する道柴の役はたかちゃんの当たり役でもあったのだ。台詞はすべて言えるんだよねー、今もたかちゃんは。

 ちゃんと盆も回る機構や、衣装の手入れや管理といった裏方仕事もさりげなく見せつつ、生活の中に農村歌舞伎のある風景が、きちんと描かれてたなぁと思う。農村の現実もね。そんな地に足のついた日々と、寓話のような「やんちゃおじさん」たちの物語。そして、やっぱりカッコイイ原田芳雄さん!!

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