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2011.12.31

「90ミニッツ」で今年の〆

12月30日(金) 「90ミニッツ」 14:00~ 於・パルコ劇場

作・演出/三谷幸喜 出演/近藤芳正、西村雅彦

 2011年、三谷幸喜生誕50年まつりの年が暮れる。最後に登場したのがこの「90ミニッツ」。本日、千秋楽・・・とはいえ、追加公演が2月に予定されているし、小説も出版予定なんだよね。今年の三谷さんの仕事、私は舞台はすべて見たけれど、それ以外の、映画もテレビドラマも見ていない。まぁいつもこんなものね。舞台だけは頑張って見てるのは。

 そして、やっぱり三谷さんの芝居はパルコ劇場で見るのが、一番しっくりくる気がする。「ろくでなし啄木」の東京芸術劇場や、「ベッジ・パードン」の世田谷パブリックシアターは、空間の広がりが舞台の濃密さを薄める感じなんだもん。先入観とか偏見とかですかね。

 それはともかく。一応の区切りを迎えた「90ミニッツ」は、近藤&西村がガップリ四つに組んだ90分一本勝負! 台詞の応酬!! いや~、圧倒されたのでした(以下、ネタばれあり)

 舞台はとある病院の整形外科副部長室。交通事故に遭って緊急手術が必要な男の子の父親(近藤)に、承諾書へのサインを求める医師(西村)。しかし父親は、自らの住むコミュニティの教えの下、輸血が必要な手術を承諾することはできないと拒む。ここでは輸血拒否は、「宗教」ではなくて「先祖代々のその土地の因習」というような設定。みなベジタリアンであるという(が、牛乳は飲む)。

 要は、サインしないという父親をどう説得するか(説得できないで終わるのか)。90分のうちには少年の命も尽きてしまう・・・。医師のもとには少年が悪化していく様子が、電話で克明に伝えられる。

 だからといって、もちろん一方的に父親が「言われっぱなし」なわけではない。攻守逆転もある。承諾書を取る、ということは訴えられないため、だから。そこを突かれる。そのうち医師(病院)の保身だけでなく出世も関わることがあらわになる。このあたりの設定が、少し陳腐な気もするけど。しかし医師には「救える命は必ず守る」という使命も厳然とあるのだ。だから、みすみす息子を見殺しにするような父親が許せない。

 「あなたはそれでも父親か」「あなたはそれでも医者か」という二人の言葉のぶつかり合い(文字通り同時に何度も相手に言う)は圧巻だった。そして結末は・・・。

 確かに、病院ではなんでもかんでもサインさせられるよね、と思う。承諾書の類じゃなくても、「こう説明した」「確かに聞いた」みたいなサインも。でも一方、子どもは親の所有物じゃないんだからね・・・などなど、芝居の進行とともに、自分もあれこれ考えたりしてた。

 二人だけで、緊迫した90分。精も根も尽き果てるんじゃないかしら。千秋楽だからカーテンコールは3回くらいあったけど、さすがにこの内容では、いつまでたっても空気は重い。またそれが当然だけどね。別にカーテンコールとかなくても受けとめるものがあれば充分だろうな、とも。

 久々に、舞台の上のシリアスな西村さんを見た気がする。近藤さんはまぁイメージの延長線上という感じかな。なんにもせよ、今年の観劇納めが「90ミニッツ」で満足でしたワ。ついでにマークシティで友人とワイン飲みつつ、お芝居の感想&お疲れさま会。おや、今日はもはや30日なのに、こんなんでいいのかしら、いいのだ~

 

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コメント

日々、時の経過は早いなあと思っているのに、昨日が千穐楽だったとは私が見たプレビュー公演からずいぶん長かったなあと驚いています。

親が子の輸血を拒否するという問題はかつて大きな話題になったことがありましたよね(そういう親の気持ちを知りたいと思っていました)。承諾書の問題は責任逃れには違いないけれど、なんでも訴えるということへの疑問(もっとも、本当にヒドい医療ミスもありますから)もあります。どちらもある種タブーの世界かなと思いますが、そこに踏み込んだ三谷さんに感心しました。

1年間、きびだんご様にはいろいろ励ましていただきました。ありがとうございました!!
来年もたくさんいい観劇をしたいですね。

投稿: SwingingFujisan | 2011.12.31 20:29

SwingingFujisanさま
見応えがありましたよね!! 私はもちろん、輸血拒否なんて信じられない、という人間ですけれど、そういう「信条」(あるいは宗教)の人の、「理屈」をちゃんと聞いてみたい気はしました。医師側にたちながらも、父親に論駁されそうでしたもん・・・。
そう、触れないのが一番、ということどもが、案外多いのかもしれません。世の中には。そうして、見ないふり、気づかないふりをしてきたことの闇が、明らかになった年でもありました。

来年もお互い元気に劇場に通えますように! どうぞよいお年を。

投稿: きびだんご | 2011.12.31 23:06

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