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2012.04.16

平幹二朗・王女メディア、私にとっては最初にして最後の

4月15日(日) 「MEDEA 王女メディア」 14:00~ 於・世田谷パブリックシアター

(幹の会+リリック)
原作/エウリーピデース 修辞/高橋睦郎 演出/髙瀬久男 音楽/金子飛鳥 美術/伊藤雅子
出演/平幹二朗(妻)、城全能成(夫)、石橋正次(乳母/土地の女)、有馬眞胤(守役/土地の女)、三浦浩一(領主/土地の女)、廣田高志(隣国の太守/土地の女)、斉藤祐一(夫の家来/土地の女)、南拓哉(夫の家来/土地の女)、若松武史(女たちの頭)

 世田谷パブリックシアターでの公演は4月11日~15日で、えっ?こんなに短いの、と思っていたんだけど、今年1月14日からスタートし、6月30日まで全国を回る公演日程のうちの一つなのでした。あ、全国というのは語弊があるかな。首都圏、近畿、九州といったあたり。各地の市民劇場・演劇鑑賞会などがメインのよう。

 それで・・・というわけでもないのだろうけど、S席は1万円だったのでやむなく3階席(=A席)から。役者さんにはもっと接近したかったけど、舞台美術がとても素敵で、衣裳の色彩なども含めて、引いて見るからこそわかる部分も楽しんだ。

 シンプルな舞台で、わかりやすい言葉、的確な台詞術。コロス(リーダーは若松武史さん)も素晴らしかった。

 さて、平幹二朗、御年七十八。俳優生活五十七年の彼の身体の中に棲み着いて離れない主人公の一人が、このメディアだという(後は「近松心中物語」の忠兵衛、「タンゴ冬の終わりに」の清村盛)。
 そしてこの度、新しい演出、スタッフ、コロス達で最後のメディアに挑んでいる。前述の公演スケジュール、101ステージ、「楽しく生きて演じぬき、晴れやかにメディアにさようならを言いたい」という(パンフレットの「さようなら メディア」と題する文章)。

 演出や出演者が変わろうとも、修辞=上演台本は高橋睦郎さん以外のものはありえない、のだそうで。なるほど、劇中にギリシア悲劇らしい固有名詞は全く出てこなかった! この国(コリントス)に、この家(や)の奥様(メディア)、といった具合。そうすると、このメディアの物語は、遠い遠い昔の神の世界の話ではなくて、今の我々が共感(あるいは反発)するような人間の物語として現われてくる。うーん、人って何千年たっても変わらないのか?と。子殺し(と、そこに至る心理)なんてねー。あ、子ども二人は人形で、黒子(実際は焦げ茶色)が付く場合もあった。

 音楽(「イリアス」と同じく金子飛鳥)も最小限で、それぞれの台詞の中に耽溺した、という感じかな。当たり前だけど、どの人の言葉も(コロスも)きちんと伝わったのだった。叫んでもね。そういう心地よさが、好みの舞台美術、音楽ともあいまって、素敵な時間をもたらしてくれたのだと思う。

 私は平幹二朗さんを、ごく最近から(たぶん蜷川「リア王」)しか見てないし、「山の巨人たち」や「ミシマダブル」など、見逃したものも多い。だけど、これらは70歳を過ぎてからのもので、ほんとにそのエネルギーははかりしれない。大変遅ればせながらではあるけれど、次回作も楽しみにしていよう。・・・あ、昨秋、なんと吉祥寺シアターなどという小さい劇場にも出演されて、チケットを持ってたのに何かの都合で行けなかったのでした。今更ながらくやしいぞ。

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コメント

きびだんご様ならきっと「王女メディア」はハズされないだろうと期待しておりました。私も見たかったのですが、何しろ日程が日程だから…。

ギリシア悲劇らしい固有名詞が出てこないというのが興味深いですね。「王女メディア」はやっぱり現代に通じるものがあるのかしら、ときびだんご様のレポを拝読して私も思ったのは、松井誠版を見た時に現代男性の案内役が出ていたことを思い出したから。松井版にそういう意図があったかどうかはわからないし、その時の自分がどう思ったかは忘れちゃったけれど、今思うと受け止める側は「現代に通じる」とやっぱり感じたかも。
ヒラミキさんは私にとってはまずは「三匹の侍」(古いっ)。
役者さんのエネルギーって本当にスゴイ!! だらだらと日々重くなっていく体を持て余す私はただただ感嘆するばかりです(歌舞伎役者さんのパワーもすごいですものねえ~)。

投稿: SwingingFujisan | 2012.04.17 16:20

SwingingFujisanさま
この日程(と値段)では、やはり躊躇する部分もありますよね。私はまぁ運良く見に行けた、というところです。
全国を巡演するから、という理由もありそうなシンプルな舞台装置が、かえって役者さんの力を際立たせていたような気がしました。若手もみんなよかったです。
松井誠さんのメディア! 全く知りませんでした。私は蜷川版(大竹しのぶ)しか見てないんですが、あちらが視覚的に記憶に残ってるのに比べると、今回は言葉かもしれません。
それにしても平幹二朗さんの若々しさ、エネルギーには恐れ入りにけり、ですわ。パンフレットには「泣き言」めいた文言もありますが、それだって「舞台」の上のご自分に自信があればこそ。
歌舞伎だと藤十郎さんかしら、いつまでもつやつや若々しいイメージの一番手は。いや皆さんほんとに素晴らしいですよね。そういう方々の舞台を見て、うっとりするのが、手っ取り早い美容法ってことで やっぱ鍛えなきゃダメ

投稿: きびだんご | 2012.04.17 22:16

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