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2012.05.10

「読めない」本

水村美苗「母の遺産」(中央公論新社)

 今日の朝日新聞の広告に、「4刷」と出てましたが、私は先月後半に読み始めて、もっか断念中。広告でも引かれている、オビの言葉、「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」は、やはり衝撃的。
 主人公が親の介護をしており、2人姉妹の妹、というのも、この本に引き寄せられた一因ではある。

 著者が「自身の体験を交えて描く」とあるように、小説とはいいながら細部の描写ひとつひとつにうなずいてしまう。冒頭がいきなり「有料老人ホーム」に入居時に支払った大金のうち、未償却で戻ってくる金額の計算だもん。うち(義母)は、小説のように立派なホームじゃなかったけど、5年償却の1年分が戻ってきたし(いちおう長生きすればするほどオトクではあるの。施設側からすれば入れ替わりが多いほうがいいでしょうが)。

 細部の描写とは、たとえば入院・手術の際の書類のことであったり、衣類のすべてに名前を書いたり、パジャマのズボンの胴回りを直したりすること・・・いちいち思い当たるんである。そんなことから、当時のあれこれを思い出したり今後を思ったりしてしまう。で、どうにも気分がすぐれず、動悸さえしそうで放置に至る、というわけ。

 小説だから、主人公の母親は自我が強くて猛烈。お金持ちに嫁いだ姉とか、ストーリーの本筋は私が思い入れをするような要素はなくて、読み進めたいんだけどねぇ。さて、いつになったら読めることやら。

 それともう一つ。当ブログの初期の読者で、よくコメントもくださっていた先輩のタンゴちゃんのことも思い出してしまう。彼女は5年前の5月に亡くなったんだけど、大変な読書家だった。彼女に確か水村美苗の「本格小説」を勧められたのではなかったかな。読む機会がないまま初めて手にした水村さんの小説が、「母の遺産」だった。折しも5月、というわけで・・・やっぱりこの本はしばらくこのままにしておくでしょう。

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