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2012.05.22

世界の終わりを告げる雲

5月20日(日) 「燕のいる駅」 15:00~ 於・三鷹市芸術文化センター 星のホール

作・演出/土田英生 出演/酒井美紀、内田滋、千葉雅子、土屋裕一、尾方宣久、中島ひろ子、久ヶ沢徹

 三鷹市芸術文化センター、土田英生セレクションのvol.2。
 vol.1は「-初恋」で、今回も出演されてる千葉雅子さんの存在感が印象的だった。私が初めて土田作品に触れたのも、ここ三鷹だったし、やっぱり三鷹は大好きな劇場!(何よりも近くて気軽に行ける、というのがポイント高し。日曜日に出かけるのも苦痛じゃない)

 この「燕のいる駅」の初演は1997年。この時は「未来の戦争前夜」という設定だったけれど、1999年に劇団MONOで上演する際に、「終末」に変えたという。
 
 といっても、この芝居が深刻だったり暗いわけではない。どこかは知らないけれどローカル線の駅らしい所の駅員休憩室が舞台で、のんびりした雰囲気で話は始まる。

 いつまで経っても電車は来ないし(でも「電車がまいります」のアナウンスだけは止めようがなくて、繰り返し流れる)、どうなっいるのか情報も入らない。ほとんどの人はもうここを去っており、いわばゴーストタウンに取り残されている状態。
 空を見ながら「あの雲が出たらもうおしまいと聞いた」とか「だんだん雲が大きくなってる」などと語られるけど、だからといってパニックになったりしてるわけではない。

 実はこの土地が「日本村4番」という所で、日本人以外はバッジをつけている、そのバッジも緑と赤(だったかな)で扱いが違う、なんていうこともわかってくる。それで、内田滋くんの役名がローレンコ次郎だったのか。
 このローレンコと先輩の高島(久ヶ沢)は子どもの頃から仲がいいんだけど、そういうバッジをつける痛みを高島はわかっていたのか? わかっていても気づかないふりをしていたのか??
 なかなか進展しないらしい有本さん(酒井美紀)との仲もそう。自分からは何も動かない、根本的に善意の人であるであるがゆえに、高島は深い部分で身近な人を傷つけ、それに「気づかないで」生きているのかもしれない。明日で世界が終わるという日にさえも。

 ストーリーをまとめるのはとても難しくて、比較的「静」の駅で働く3人と、それ以外の「葬儀社の二人組」(千葉&土屋 アクティブ=出て行く人)、奇妙な人見知りの旅人(尾方=予言者)、駅へ弟を迎えに来た女性(中島=待つ人)、というイメージ。

 じゃあここに出てきた一人一人はどうなったのか、何かが示されるわけではない。いや、はっきりと「終わり」を告げた祭くん=旅人の死や、鉄橋を歩いて出て行った葬儀社の二人は「一日かかっても渡れない」らしいことなど、ほかの人の会話の中では語られるんだけれど。

 こんなふうに考える材料をぱーんと渡されて、ふと「終わりの風景」について自分も考えてみる、そんな不思議な時間。けっこう曲者の俳優さんたちの中で、酒井美紀と久ヶ沢徹の「普通っぽさ」のバランスがよかった。内田滋くん、久しぶりに見たけど、あいかわらず可愛かったよ(笑)。

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