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2012.08.15

終戦の日に見た映画

8月15日(水) 「かぞくのくに」 14:30~の回 於・テアトル新宿

脚本・監督/ヤン・ヨンヒ 出演/井浦新(ソンホ)、安藤サクラ(リエ)、津嘉山正種(父)、宮崎美子(母)ほか

 映画のチケットは前日、ネット予約済。1000円だったのでビックリした(←水曜日だから)。映画館は新宿三丁目なので、神保町まで行ってお昼を食べてから映画館へ。神保町の駅付近(靖国通りあたり)は、ものすご~い警戒態勢。そうか、武道館、靖国神社のそばだもんね。

 時は1997年。70年代の「帰国事業」(注*追記)によって、家族と離れて「地上の楽園」北朝鮮に渡っていた兄・ソンホが「病気治療」のため、3ヶ月という期限付きで帰国した(他にも同じく治療目的の人がいる)。25年ぶりらしい。
 ソンホは今(97年)何歳なのかな、と思ってたら、16の時に「帰国」と後から出てきた。父親は総連の幹部だから、立場上も長男は帰らざるを得ず、その事情がわかっていたからこそ従ったんだ、と、それは叔父(父の弟)が明かす。

 もちろん、ソンホには常に監視の目がある。再会の喜びに浸る家の外で、車の中からじっと見ているのだ。

*注  自分で書いておきながら、帰国事業って70年代まであったの?などと思ってしまい、少し調べてみた。1959年に始まったから「帰国」のピークはもっともっと前。ソンホが「帰国」した頃には「楽園」の状況もわかってきてたんじゃないかな。それでも、送り出さねばならなかった、行かねばならなかった。

 何かを主帳するわけでもなく、諦めているかのようにさえ思えるソンホ。対照的にストレートに感情を表わす妹のリエ。肉親の情、友人たち・・・。

 ソンホの脳にできた腫瘍は、3ヶ月という期限ではとても責任をもって治療できないと言われる。個人がどんなに頑張ろうとしても不可能な壁がある。そこをなんとか突破しようと動き始めた矢先、突然の帰国命令。3ヶ月どころか・・・。
 その理不尽さに、だれも抵抗できない。国家側の人間の監視者でさえも、「質問」は許されない。「あの国ではよくあることだ」とソンホ。ただただ、命令は絶対なのだ。

 悲しみや怒り、(再会の)喜びはあふれるほどなのに、映画の中では誰も大声で泣きわめいたりしない。静かに涙を流すのがかえって印象に残る。
 私はどうしても親、特に母親の立場で見てしまう。長い間、頑張って息子に仕送りをしていた母(だって栄養失調になったんだもの)、東京にいれば病気は治せるのにむざむざ見送らねばならない絶望。同行の「監視者」に精一杯の贈り物をする気持・・・。

 印象的な言葉がある。明日は発たねばならない、という夜、兄は妹に言う。「あの国では、考えることは『どうやって生きていくか』だけ、後はすべて思考停止だ。だけど、おまえは(この日本で)、いっぱい考えろ」。
 兄が気に入った(あこがれた)スーツケースを、妹は買う。それが彼女の答えであり、決意、だから。

・・・・・・・・・・・

 ソンホの実家が千住柳町らしく、千住龍田町という地名も見えてあらあら。そういえば、空港から車で実家に行く途中の風景が、ちょっと見覚えがある気がしてたの(南千住付近)。いや、実際はどうかは知らないけど、どこが舞台か全く知識がない時点で、「懐かしい風景」を感じたのは確か。

 この映画は、監督のヤン・ソンホさんの、ほぼ実話らしい(=妹のリエね)。少し前に、アエラの「現代の肖像」で読んではいたのだけれど、休み明けにでももう一度読み返そう。

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