« | トップページ | 甘い歌声にポワン »

2012.08.04

最後の仕上げは「ふくすけ」で

8月3日(金)「ふくすけ」 19:00~ 於・シアターコクーン

作・演出/松尾スズキ 出演/古田新太、阿部サダヲ、多部未華子、松尾スズキ、大竹しのぶほか

 今週は、月曜「露出狂」、水曜「いつか見る男達~ジェネシス~」ときて、金曜に「ふくすけ」。よくもまあ、こんな並びで見たもんだ、と我ながら感心する。というのも、いずれも「良い子」には見せられません!という部類の、アブノーマル(?)、差別用語も満載。・・・で、極めつきがこの「ふくすけ」。

 そもそも「ふくすけ」初演(1991年)は、下北沢のザ・スズナリだそうで、さぞかし濃ゆ~い空間だったでしょう。想像しただけでめまいがしそう。その後、世田谷パブリックシアターで再演(1998年)されて、今回が3回目。私は全く初めて。

 チラシでも、近寄りがたい危ない雰囲気は漂ってたわね。でも、古田&阿部サダヲの魅力には勝てませんから、意を決して見に行ったのでした。
 結論からいえば、「露出狂」「いつか見る~」がウォーミングアップ代わりだっかのように、その延長線上で、スンナリ劇世界に身を置くことができた気がする。そうでなければ、ちょっと厳しかったかもしれない。(ネタばれあります)

 時や場所(北九州-歌舞伎町)が、めまぐるしく行き来し、歌舞伎町の風俗産業に片方の軸を置きつつ、薬害、監禁、畸形(畸形フェチ)、宗教などなど、あぶなすぎる話題のオンパレード。そもそも、ふくすけとは、ある薬を飲んだ母親から生まれた、頭が異様に大きい子=阿部サダヲ。

 しかし、古田と阿部サダヲは、これまでのイメージとは全く違って、それほど前に出てこない。むしろ「決め」の部分を担うというところか。特に古田新太は、北九州のメッキ工場の主人で、家出した妻(大竹しのぶ)を捜して東京にやってくるが吃音障害がある。

 やたらどす黒い、(しかも濃い)キャストの中で、多部未華子のキャバクラ嬢が、ほんと天使のよう。声もよく通るし、意外に舞台向きかもしれない。

 すごく気に入ったのは、平岩紙とオクイシュージの夫婦。紙ちゃんは盲目で、暴力をふるい薬もやってる夫に従っている。すっごく「ゆがんだ純愛」。彼女は穴に落ちて「神がかり」となる。彼女自身は「神の使い」で、ふくすけが「神の子」。この、普通だった時と、神がかりになった時の、たたずまいの違いが素晴らしい。また、ふくすけが信者に「言葉」を告げるときに、節をつけて歌うのが面白い。

 もうねぇ、みーんな怪しいんだけど、松尾スズキの男爵(=薬害を出した製薬会社を持ち、畸形フェチで14年も地下室にふくすけたちを監禁してた。捕まるも後に脱走)が、最たるものかな。歌舞伎町を牛耳る三姉妹は、小松和重、宍戸美和公、江本純子だし・・・。だから、大竹しのぶのも、そんな中に入ると力加減として、いい感じに見えてくる。

 でもね、最後は、ずーっと静かになすがまま、しいたげられていたかのような古田さんなんですわ。あなおそろしや。

 珍しく1階のバルコニー席から(左)。ここで見るのは、たぶん「王女メディア」以来。小田島雄志先生がいらしてて、御年80を超えてもすごいエネルギー!と感心してしまった。そしたら終演後、さささっと歩いて文化村前の信号を素早く渡るお姿にさらに感心。まさに観劇がエネルギー源に違いない。見習いたいものですわ(二十数年後にそんなことできるかしら)。

|

« | トップページ | 甘い歌声にポワン »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« | トップページ | 甘い歌声にポワン »