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2013.03.01

「ジュリアス・シーザー」、朝は映画

2月28日(木) 「塀の中のジュリアス・シーザー」 10:50~の回 於・銀座テアトルシネマ

Caesar

なかなか映画を見に行けないでいたのだけど、木曜の夜、「発情ジュリアス・シーザー」乱痴気バージョン(全役柄をシャッフルした公演)を見ることでもあり、その前に朝イチ上映を見に行くことにした。
 70分余と短いから可能だったわけで、見終わってから会社まで地下鉄で10分。1時の仕事開始に余裕で間に合った。

 予告編をいくつか見て、最後にこのルテアトルのPR映像=ランチなどが割引になる、が映ったんだけど、それがもう画面ボロボロというかチカチカというか。もはや閉館間近、というわびしさを思わぬところで感じてしまった。

 さて映画の方は・・・もともとあまり予備知識がなくて。イタリアの刑務所の囚人たちが、芝居の「ジュリアス・シーザー」を上演する。ドキュメンタリー、なの?というくらい。

 これがねぇ、すごくおもしろかった! 純粋なドキュメンタリーというわけではないようだけど、でも出演してるのは現実の囚人たち。しかも重警備棟に収監されている人ばかりで、軽くても刑期は15年、終身刑の人もいる。

 だいたい、こういう刑務所に演劇実習なるプログラムがあり、それを一般の人に見せる、ということに驚くしかない。現実には、囚人たちはそれぞれ頑丈な二重の扉の中で暮らしている(普通のTシャツ姿なんだが)。

 映画ではまず、「ジュリアス・シーザー」のラストシーン、そして拍手、スタンディング・オベーションが映され、そこから発端(オーディション)へ戻っていく。そして、時を追いながら、ジュリアス・シーザーのストーリーもすすんでいく。

 オーディション場面がけっこう長かった印象。与えられたテーマは、「あなたはいま国境の町にいて、妻とわかれなければならない。そこで、係官に、自分の名前、生年月日、生まれた場所を言う」。まずは、別れの悲しみの中で。次には尋問を受ける怒りの中で。だから同じことを、全く別の言い方で繰り返すわけ。その時、字幕で、名前、罪名、刑期も示されている。
 私はなかなか顔が識別できないので、これを見てても、じゃあブルータスをやったのはこの人、とか、わからないんだけど、皆けっして軽い罪じゃない、というのはここでつきつけられる。

 配役が決定・発表されて、稽古に移る。稽古場となるべき場所が工事中ゆえ、刑務所内のさまざまな場所で稽古が行なわれる。廊下みたいなところだったり、小部屋、屋上、中庭・・・。
 ここで演じられてるのが他でもない「ジュリアス・シーザー」というのが、一番重要な所、なんだよね。シーザーに立ち向かう人たちは「自由」を叫ぶんだもの。こんな不自由な場所で、だよ。

 時に、役者=囚人の、個人的な事情も織り込まれる。刑務所内の人間関係が、役の台詞に影響したり、面会者があったために落ち込んだり。でもそこはサラッとのぞき見る程度で、あくまでも「ジュリアス・シーザー」なんである。

 キャシアスを演じた人は1975年生まれだけど、終身刑。自伝を出版したとのこと。ラスト、劇が終わって、「芸術を知った時から、この監房は牢獄となった」と語るのは、まさしく本人の言葉だという。

 う~む、これもう1回見てもいいな、というくらい。

 

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