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2013.07.03

円形劇場という場所も堪能する

7月3日(水) 「断色 danjiki」 14:00~ 於・青山円形劇場

(ヴィレッヂ・プロデュース2013)
作/青木豪 演出/いのうえひでのり 出演/堤真一(小杉保)、麻生久美子(朝子/夕子)、田中哲司(刈谷基)

 キャストに惹かれてウホウホとチケットを取ったはいいけど、もしかして苦手なタイプのお芝居でしょうか・・・と、ちょっと不安になりながら。ほとんど予習はしてないとはいえ、「クローン」とかって言葉が出て来たりして。

 入り口で渡されたチラシ類の中に、今日のパンフ?も入ってた。A3の紙をたたんで(A4)たたんで(A5)たたんで(A6・・・ほぼ手帳大)。その大きさとなった時の表紙は、チラシでも印象的なあの絵=苺をくわえた3人と、赤ちゃんが手に持ってるのは林檎かな。

 パンフを広げた裏面には、プロデューサー細川氏と、青木、いのうえ両氏の言葉が載っている。15分くらい前に到着して、これらが事前に読めたのもよかったかな。全体の半分を占める細川氏の文章は「三年目の初夏に、亡き母に捧げる舞台を」と題されている。きわめて個人的な、両親(特に母親)とのかかわり。それを踏まえて、すっと舞台に入って行けたのかもしれない。

 ・・・とはいいながら、クローンだよ。クローン技術のある近未来のSF的世界。
 円形劇場の丸いステージにシンプルな道具類=苺を育てている畝だったり、テーブルと椅子だったり。それらを運ぶ場面転換ごとの「黒子」が、潜水服とマスクというか(南部潜りの感じ?)。一番最初は、ぐるり360度の壁面に水中のあぶくをイメージさせる映像が浮かび上がる。
 この壁面の映像がうまく使われてたと思う。
【追記】7月4日の朝日新聞夕刊に劇評が出ていた。黒子(黒衣)は防護服! そうか、黄色系だけどそうだね。「北」はなんだか環境汚染っぽいし。最初に、ぶくぶくって泡をイメージしたからとらわれちゃったのかな。でもまあ大勢に影響はない・・・ということに。

 そして、まずは保の母親・朝子として登場する麻生久美子・・・うーん、最初はSFプラス、ホラーでもあったな
 乳がんと腎臓がんにかかった母親に、スペアの乳房と腎臓一つを提供していたクローンは、母親の死とともに役割を終え、「処分」されるか「解放」されるか。解放を選んだ保(堤)のもとへやってきた彼女(夕子と名付けられる)は、死ぬために生きてきたわけだから、ほぼ何もできない。
 保険会社の担当者である刈谷(田中)が、まあアフターケアに当たるのだけれども。

 夕子は、恥じらいとか様々な感情も最初は欠落しているので、性的な言葉なども言いたい放題(笑)。対応する保はごく真っ当である。むしろ、刈谷の方が不気味。
 このクローンという設定に、麻生久美子がすごくよく合ってるんだわー。今まで映画やテレビでもほとんど見たことがなかった人だけど、感心しちゃった。

 彼らが住んでるのが一つの国なのかもよくわからないが、北から中央に来て南で暮らしてるんだったかな。今や保の出身地の北には老人と障害者しかいない、子どもも生まれない、そんな場所。・・・そこへ3人で出かけて明かされること、そして結末は

 全くの悪夢のような、まあSFではあるのだけれど、でも、突然(たとえば)我が子が死んだら、この場に、もう一度、クローンでいいから姿を現わしてほしい、抱きしめたい。そんな気持ちになるような気がする。・・・と、突然の事故で息子を失った友人のことも、ラストあたりでは少し考えてしまった。

 こんな濃密なお芝居は、円形劇場だからこそ、と思う。こどもの城、青山劇場も含めて2年後に閉館の予定、と発表されているが、存続に向けての活動に、私も少しは協力したい。

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