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2013.07.02

ケラさんの三姉妹もの

7月1日(月) 「わが闇」 19:00~ 於・本多劇場

(ナイロン100℃結成20周年記念企画 第三弾)
作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演/犬山イヌコ(立子)、峯村リエ(艶子)、坂井真紀(類子)、岡田義徳(滝本)、大倉孝二(大鍋あたる)、長谷川朝陽(皆藤)、三宅弘城(三好未完)、みのすけ(寅夫)、廣川三憲(柏木伸彦)、松永玲子(基子/飛石花)ほか

 2007年に初演されて好評だったという舞台の再演。私は初めて見る。休憩込みで3時間20分くらい(休憩は15分)。ひゃー長い、と思ったけど、実際には面白くてそんな長さを感じなかったな。
 チケットはカンフェティで購入。D列すなわち前方のフラットな4列の最後列で、やっぱりちょっと首が痛かった。

 さて舞台は、小説家・柏木伸彦とその家族の30年ほどの時を隔てた物語。妻・基子と、三姉妹=立子、艶子、類子。(一番最初は、三姉妹が2歳、5、6歳くらいの時)
 妻は潔癖というか神経質というか・・・ちょっとしたことで、会話の矛先がずれていったりする点など妙に現実的。そのあたり、導入部分でムムムと思わされて、そこからすっと引き込まれていった。

 岡田義徳が、その導入部ではナレーションで人物、背景などの説明を。その後は伸彦の記録映画を撮る監督(?)として登場。早口なのもあるけど、ナレーションは今イチだったな、感情を込めた台詞に比べると。

 序章部分で母親は長い別居のあと(やや精神を病んで)自殺。本編はそれから20年くらいがすぎている。新しい母親は家を出ており、父は倒れて療養中。若くして(というより幼くして)作家としての才能を注目された立子、普通に結婚して家を出たらしい艶子(が、夫ともどもこの家にいる)、タレントになるべく家を出た類子(失踪さわぎのあげく実家へ戻る)、書生のまま居着いて皆の世話をしている三好、彼らがずっと田舎の家で暮らしている。

 ここへ映画撮影(父親の記録映画を作る)に関わる人たちや編集者が出入りするわけだけれど、なんといっても、三姉妹の性格づけが秀逸。冷静でおりこうさんの長女、たぶん才能に挟まれているがゆえに引っ込み思案で、身をかがめるように生きる次女、奔放な三女。さらに長女と編集者との関係、次女と夫との間の暗い出来事、三女の東京での挫折が、さまざまな出来事となって現われる。

 カメラを回しに来てる大鍋のあっぱれなまでの自己チューも、笑えるんだけど、なんかいるよこういう人、と思っちゃうし、次女の夫(寅夫)のホンにトいや~な人ぶりも、救いようのない過去を感じさせる。それぞれの人が、ちゃんと変な人だったり、イヤな人だったり、無理してる人だったり。引き込まれたのはそういうところなのかもしれない。

 神経質な妻を演じた松永さんが、その後、映画の製作委員会側のドーンとやり手な女性として登場して、あまりの変身ぶりがすごい。

 長女を襲う不幸が描かれるけれど、でもラストは暗くない。人っていろんなことがあるよね、いろんな人がいるよね、でも人生はつづく、みたいな感じ。ストーリー上で、編集者とその妹の存在が、私にはちょっと不協和音っぽいんだけど、不協和音であるがゆえにざらっと残る、のかもしれない。

 なんだかんだで、三姉妹という素材は魅力的なんだろうな、とも思ってしまう。

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コメント

十分長いのに、全然長く感じなかったですが、終わってビックリ、帰宅してまたビックリな時間でした(嗤)
私も初めて見たんですが、去年のウィルビルよりこっちの方が好きかもです。チェーホフよりも、好き。
チェーホフよりウィルビルより、感情の微妙なところ…苦いとかこそばゆいとか、が、感得できた気がするんですが…ただ、私は緒川たまきちゃんが大好きなので、これに出ていないのがなんとも寂しかったです。初演がかなり昔だからですかねー

投稿: 猫並 | 2013.07.11 16:06

猫並さま
ほんと面白かったな、と、また思い出しています。
ウィルビルは、これの延長線上にあったのかもしれないけれど(確か「三姉妹ものといえばケラ」みたいな惹句が)、「わが闇」は微妙な感情にも反応できるし、静かに深い、って気がします。
ちなみに「三姉妹」といえば、永井愛「萩家の三姉妹」が忘れられないんですが、姉妹の名前が、鷹子、仲子、若子で、なんとなくテイストが似てる! 昭和の名前かしらん(爆)。

投稿: きびだんご | 2013.07.12 01:00

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