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2014.12.29

観劇:終わりよければすべてよし

12月28日(日) 「海をゆく者」13:00~ 於・パルコ劇場

作/コナー・マクファーソン 訳/小田島恒志 演出/栗山民也 出演/平田満(シャーキー)、吉田鋼太郎(リチャード)、浅野和之(アイヴァン)、大谷亮介(ニッキー)、小日向文世(ロックハート)

 12月9日に、X列(最前列)23から見ていらい、2回目。今回の席はH列、つまり通路のすぐ後ろなので足は自由で気楽。その15番だから、ほぼセンターかな。千秋楽。ここから見ると、前回は前過ぎて、舞台下手側の壁にかかってたイエスの絵なんて見えてなかったよとか、いろいろ気付く。ましてやその絵の下に電灯がついたりするなんて。

 初演は全く同じキャストで、5年前だったという。なぜかその時は見てないんだなー。なので、取り戻すべく今回2回も見た ま、なりゆき、なんですけどね。

 5人の役者はそろいもそろって曲者である。というかそれ以前に、ほぼ同い年くらい。一番年長の役だった鋼太郎さん(平田満が演じるシャーキーの兄の役)が、実は一人だけ離れて年下だったのが、おもしろい。えーっと、いま調べたら、鋼太郎59年生れ、大谷・浅野が54年、小日向・平田が53年でしたわ。そう、大谷さんの還暦記念舞台をスズナリで見たもんね
 そしてみんな小劇場出身でもある。で、30年以上もやってるんだから、このコクのある味わいはたまりませんわ。

 舞台はアイルランド・ダブリンの北の港町。目の見えない兄と、世話をしている弟が暮らす家での、クリスマスイブの物語。
 兄のリチャードは、まぁやかましい! 最初、杖を捜したりしてるものの、目が見えないなんて思わないくらい、その騒々しさに驚きつつ見てました。家はちらかってるし、この兄はお風呂にもはいらなくて臭い。痰をそこらに(以下自粛。客席でけっこう、ギャッという声が)、んでもって酒好き。
 弟はなにやら理由があって、禁酒してるらしい。というか、よそで働いてたのが、ごく最近帰ってきたらしい。

 この家に前夜から泊まってたアイヴァン。見かけそのまま、恐妻家らしく、すぐに「家に入れてもらえないよ」と弱気になっちゃう。でも、ここんちが居心地いいんだね。起きてきた時には、めがねをどこに置いたかわかんなくなってた。すごい近視みたいなのに。

 3人でクリスマスの買い物に行き、帰宅したあと、訪ねてきたニッキーとロックハート。ニッキーはシャーキーの元妻がらみで、ちょっと不穏。だけど、ニッキーは陽気な男だから全然気にしてない。そしてくっついてきたロックハートは、なんだかこの場には異質な紳士。ほんとに異質だったね。

 役名はすぐに忘れても、それぞれの声のトーンは絶対覚えてると思う。それくらい、彼らの風貌以上に、声の記憶が大きい。ロックハートの異質ぶりは、この点でも際だつな。彼らが夜中にポーカーで勝負してる。100ユーロくらいまでつり上がったりするんだけど、シャーキーとロックハートは、そんなお金で勝負してるわけじゃない。時に、ヒューヒュー鳴る風の音とか、二人の物言わず交わす視線とか・・・。
 そして勝負がついて、シャーキーがすべてをあきらめたのに。
 ああ神様、素敵なクリスマスプレゼントをありがとう。

 ロックハート以外の4人の生活は、別にこれからも何も変わらないだろう。けれども、ポッとともる灯りの明るさや暖かさを、それぞれに、そして客席も感じ取ってるんだよね。と同時に、ロックハートが決して抜け出せない暗闇のことも。

 1年の終りに、こんなお芝居が観られてよかった。そして、おじさんたちはあくまで普通に東京公演・千秋楽を迎えたみたい。9日に見た時より、カーテンコールは1回多かったけれど、特別な何かがあるわけじゃなく、いつものように、最後、大谷さんが可愛く手を振って去って行く。客席も落ち着いたもので。こういうひとつひとつが充足感と結びついているのかも。

 ちなみに、平田さんはこのシャーキー役ほかで、今年の読売演劇賞を受賞されました。おめでとうございます。

*そういえば、私はけっこうポーカーをやってたことがあるはずだけど、いつごろの話かがさっぱり思い出せない。実家ではそんなことしないと思うんで・・・仲良しのイトコの家だろうか。
 などと考えてたら、いまは全然やんないけど、UNOとかドンジャラとか、さんざんやってたな(子どもと)なんて、ちょっと懐かしい。

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コメント

それぞれ異質ではあるけれど、ざっくりわけると暗い二人と明るい二人で、その間に挟まったアイヴァンが、いいタイミングでいいアクセントになってる…と思いながら見ていて、そのアイヴァンが最後にあんな鍵を握っていたなんて!と、初演も今回も、今になると私はそれを一番覚えています(変な文章ですみません)それでいてアイヴァンそのものは何も変わらない…浅野和之おそるべし…
どの役もどの役者もよく、どの役も難しくて役者が揃わないと成立しなさそうですよね
だから、役者も自分も年を重ねることを考えると、これぞ一期一会で、舞台を見る醍醐味を感じさせてくれる作品だと思いました。

投稿: 猫並 | 2014.12.30 09:39

猫並さま
そうですね! 彼らはそれぞれ明るさ暗さのタイプは違うけど、確かに、言われてみれば。
浅野和之って、私はわりと最近まであまり注意して見てなかった気がするんですが、すごいですよね。あの変幻自在感はほんと得難い。「藪原検校」再演に彼が出ないのが残念で……。
10年後くらいに、彼らがまた(この芝居とは言わないけど)がっぷり組んだ舞台が見たいな。なんかそれを思うと、年を取るのも怖くない(爆)。

投稿: きびだんご | 2014.12.30 23:33

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