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2015.02.13

贅沢なキャスティング

2月10日(火) 「三人姉妹」 18:30〜 於・シアターコクーン

(シス・カンパニー公演 KERA meets CHEKHOV Vol.2/4)
作/アントン・チェーホフ 上演台本・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演/余貴美子(オーリガ)、宮沢りえ(マーシャ)、蒼井優(イリーナ)、山崎一(クルイギン)、神野三鈴(ナターシャ)、赤堀雅秋(アンドレイ)、段田安則(チェプトゥイキン)、堤真一(ヴェルシーニン)ほか

たまたま3日前、7日にNHK「ザ・プレミアム」ロマノフ秘宝伝説を見ていたら、サモワール(お茶をいれるためのポットというか湯沸かしというか)が出てきて、おお!チェーホフ、と思ったばかり。思ったはいいけど、これは「かもめ」に出てきたんだっけ、「三人姉妹」?と、記憶が定かじゃないのも私らしい。答えはすぐに出ましたわ、「三人姉妹」。身始めたらわりとすぐにね。おじいちゃん医師チェプトゥイキンからイリーナへの困ったプレゼントでした。

チェーホフの四大戯曲、かもめ、三人姉妹、桜の園、ワーニャ伯父さんは、それぞれ一度ならず見ていると思うけれど、どれもなかなか手強いという感じがしている。見終わった時にずしっとくるもの、のせいかもしれない。

それはともかく、今回の「三人姉妹」、実際に見てみると、配役を眺めて思っていた以上に適役揃いという気がする。特に姉妹の一家の人たち(長男アンドレイとその妻ナターシャ、次女マーシャの夫も含めて)が。
蒼井優は、KERA meets……の前作「かもめ」に続いての出演だけど、希望にあふれた若い女の子らしさから、だんだん日々の生活に疲れていくさまに胸が痛むほど。そういえば、三姉妹の一般的な性格付け=長女しっかり者、次女は奔放、三女は甘えん坊、といった雰囲気もすごくくっきり出てたのかも。

宮沢りえのマーシャは、ミステリアスな雰囲気も持つとても魅力的な女性、だけれども、俗物の夫には思いっきり幻滅してる。そりゃあ、新しく赴任してきた砲兵隊長ヴェルシーニンは魅力的ですわよね 教育者である長女役、余貴美子は眼鏡や髪型など、いかにも、っぽくもあるけど、抑えた演技とか、ほんと長女だわ。

でも、この三姉妹が、教育を受けてて自制心もあって、というのと対照的なナターシャ。ある意味、「おっかさん」かも。あー、いやな女だよ。神野さんは、この前の「カッコーの巣の上で」に続いて、うわぁ、という役。そして、彼女に支配されちゃう長男アンドレイも、モスクワ大学の教授を目指してたのにねぇ……。

本当に、誰もが、今目の前にあることではなく、別の何かを夢見ていて、何もかもが夢見てるだけで終わってしまう。目の前のことを見ないようにしてる人たちだから? この辺りの塩梅が、ちょっとズキンと来るのであるよ。
愉快に登場したヴェルシーニンも、全く同じだと思う。この役はほんと華のある役者さんじゃないと説得力ないだろうな。

……などなど、ここに名前をあげなかった人(くせのありすぎるソリョーヌイ役・今井朋彦とか)も含めて、キャストがぴったりだったと思う。この企画自体が(あと2作残っているわけだが)、上演台本やキャストが揃った時に実現されるタイプのものらしいので、納得!ではある。そして……また次の作品が待ち遠しくなるわけだわ。

*パンフレットの解説「渇望から祈りへ」(沼野恭子)で、三姉妹のモスクワへの渇望を具体的な形として示すものとして、サモワールが挙げられている。家庭の団欒・憩い・癒しを象徴するものとしての機能を伝統的に担ってきたのだという。

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