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2015.04.24

幸せな少年

4月15日(水) 「ウィンズロウ・ボーイ」 13:00〜 於・新国立劇場 小劇場

作/テレンス・ラディガン 翻訳/小川絵梨子 演出/鈴木裕美 出演/小林隆、竹下景子、森川由樹、川口高志、中村まこと ほか

時は第1次世界大戦直前(かなりきな臭くなってる)の1912年からの2年間。場所はロンドンのケンジントンにあるウィンズロウ家(の居間)。銀行を退職していて年金暮らしの父と母。子供達は、婦人参政権運動にかかわっている長女、オックスフォードの学生だけど勉強に身が入らない長男、そして海軍士官学校生すなわち優秀な次男、の3人。ほかに孤児院からきた当初は小間使いだった、長く仕えるメイドもいる。当時の中流家庭で、いかにも謹厳実直らしいお父さん!

士官学校で寄宿舎生活をしていたロニー(その時は14歳か、14になる前)が、5シリングというわずかなお金を盗んだとして退学となり戻ってきた。けれども無実を訴える彼を信じた父は、士官学校(これって王立!)を相手に裁判で戦う決意をして、敏腕の弁護士に依頼する。
学校の様子も、裁判の経過も、このウィンズロウ家の居間で語られる。ロニー少年の弁明や、傍聴に行った家族らの言葉を通して。

父親(小林)はたぶん実際の想定年齢よりも、年上っぽい作り。最初は膝が痛む程度だったのが、杖となり車椅子となり。それで時間の経過がわかるよう。息子を信じて戦うことを決めるけれど、あくまで「静」のイメージ。対する敏腕弁護士(中村)は、彼を嫌う長女のフィルターもかかって、いやみな奴?と思わせる「動」の人。彼が弁護を引き受けるにあたり、ロニー少年を居間で「尋問」していく時の凄まじさ!

裁判を続けるにはお金がかかるし、社会的にも注目を浴びるがゆえに、姉も兄も、変わらざるを得ない。結婚を諦める、勉強を諦める……。でも、それぞれの立場に適応しようとしてる。全員が、これでいいのかと迷いつつも、進んでいってる。
そして、そもそもの当事者ロニーくんは、いざ裁判の以後はとっても呑気に見える。これが実はとても大きかった。家族が依存したり非難しあったり、ではなくて、大人は個人としてしっかり立っていて、子供は守られている。だからこの先、大人になって、行く道は平坦ではないかもしれないけれど、大丈夫じゃないかな、と思える。
いろいろ犠牲はあったけど裁判に勝ってよかったね、ではない明るさが、感じられたのだった。

中村まことって、声の良さは前から感じてたけど、そして癖のある役がうまいんだけど、まぁ弁護士役がすごかったなー。竹下景子の出番が思ったより少なかったものの、あの、ふわっとした雰囲気が生きてたし、「そうよね」と共感させる部分も。反発を感じさせないってのは、得難いのかも。

あとは新国立劇場の養成所出身の役者さんたち。特に、長女役、森川由樹がよかった。最初のうち、例えば長男が必要以上にコメディっぽかったりして、全体の空気がギクシャクしてるみたいに思えたけれど、彼にもメイドにも、2年の時の流れを感じさせられた。

こんな風に、ゆっくり思い出しながら考えたりできるお芝居を、これからも新国立劇場には期待している。
*なかなか行ける日がないなぁと思っている時に、けっこう安いチケットを見つけて、エイっとばかりに見てきたのでした。ありがたや。

♪はっと気がついたら、記事がアップできてなくて、消えたのか!?と思ったら、日付を間違えていて、予約状態になってました。

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