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2015.05.31

劇場で地震! 中断そして再開

5月30日(土) 「海の夫人」 18:00〜 於・新国立劇場小劇場

作/ヘンリック・イプセン 翻訳/アンネ・ランデ・ペータス、長島確 演出/宮田慶子 出演/麻実れい、村田雄浩、大石継太、眞島秀和、橋本淳、横堀悦夫、太田緑ロランス、山﨑薫

ほんとは、これより前に見た舞台が2本あるんだけど、全体の3/4くらい進んだところで地震発生なので、まずこちらを。(この部分が少し長くてすみません)

あれ?地震、と思ってから、ゆらゆら長く揺れてその後、少し強く感じて不安になってきたあたりで、2階から「舞台監督です。ちょっと舞台を止めます」との声が。その時は、大石さんと太田緑ロランスさんの、ちょっとコミカルな場面が進行中だったの。さすが役者さんは何があってもセリフ喋ってるわね。←耳には入ってなかったけど。そして、その舞台監督が降りてきて、「いったん中断します。客席は安全ですから、ここにいてください」。で、役者さんに引っ込むように促した。そのあとは、状況のアナウンスがあり、15分後に再開とのこと。
再開の直前には、震度などがアナウンスされて、新国立劇場は震度3、と言ってた。自前の震度計があるの?
そして、また舞台監督が登場して、中断した場面をすこし遡って、5幕?場の頭から再開します! パチパチっと拍手が上がって、もう一度。さっきと同じところで笑ってるよ、私たち。大石さんは、ちょっとだけ前と動きを変えたよね、なところも。

終演したら、出口のところに各交通機関の運行状況を書いたホワイトボードが出てました。

お芝居を見てて地震に遭遇したことは何回もあるけど、中断したのは初めて。頭上の照明器具とか音がしたり実際にずっと揺れてるのが目に入るから、気持ち悪いんだけど、でも、みんな落ち着いてるよね、とは思った。そして、対応なんかもけっこうシミュレーションしてるんだろうな。

これ、ビルの上階だったり、大きな劇場で通路から遠いところに座ってたりしたら、もっと怖かったかも。今回、小劇場で私は出入り口に近かったけど、(いつもとは舞台の形状が違うこともあって)足元が少し頼りない気がした。
新国立劇場って、地震の時の対応などを書いた紙がチラシの束の一番上に入れてあるけど、いつしか、ふーん、くらいで読みもしなくなってたな。

で、肝心のお芝居。これ、ちょっとサスペンスっぽくもあり、おもしろかった。イプセンって、前にこの新国立劇場で「ヘッダ・ガーブレル」を見てたんだわね。……って、それはすっかり忘れてました(ヘッダ・ガーブレルがイプセン作だということを)。
場所はノルウェーのフィヨルドに臨む小さな町。医師・ヴァンゲル(村田)の後妻であるエリーダ(麻実)は、最初から謎めいた存在。先妻の子である2人の娘とギクシャクしているらしいあたりから、本格的にストーリーが始まる。

もちろん麻実れいは素晴らしいし、他の役者さんもそれぞれに個性的かつ的確に、役になってた気がする。娘たち、太田緑ロランスと山﨑薫も、しっかり姉ー妹っぽくてね。太田さんは、野田・勘三郎と組んだ三人芝居「表に出ろいっ!」で、黒木華さんとのダブルキャストだった。その後、黒木さんほどはお名前を見かけてなくて、でも舞台の出演者に名を連ねてるとやっぱり気になってた。今回久しぶりに見て、いいなぁ……と思ったのでした。あの抜擢からここまでねぇ。これからも注目していきたい。

ちゃんとキャストを把握してなくて、でも見ればわかるだろう、くらいにタカをくくってたら、登場場面は少ないけど大きな存在の「見知らぬ男」(船乗り)が、誰だっけ、と焦ってしまった。あぁ、眞島さんだったのね。衣装も他の人が白やベージュなのに一人だけ黒ずくめだけど、もちろんそのためだけじゃない不気味さ大きさに説得力がある。

大枠の筋だけ単純化すれば、それこそ「土曜ワイド2時間サスペンス」めいてるんだけど、そういう入りやすさの奥に、女性の精神的独立、生きること選ぶことの苦悩が見える。それがエリーダだけのことじゃなくて、姉娘のボレッタの「同じ道」をも示しているところに、只ならなさがある。
ノルウェーという風土、度々出てくる「フィヨルド」、そして海から想像する心象風景も、物語の厚みとなって……長く命を永らえ続ける戯曲の強さを思った。

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